バイクのホイールは、「スポーク」と「キャスト」の2種類?
バイクのホイールは、旧車ではスポークホイール(正確には“ワイヤースポークホイール”)が一般的ですが、現代のロードスポーツ車で主流のキャストホイールが登場したのは1970年代の中頃で、最初はカスタムパーツとして販売されました。そして1970年代後半からバイクメーカーが採用し、80年代からはロードレースのマシンにも使われるようになりました。
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スポークホイールは現在でもオフロード車が採用し、ロードスポーツ車では一部のクラシック系が装備するのみとなりましたが、いずれにしても、バイクのホイールは大別すればスポークホイールとキャストホイールの2種類になります(原付スクーターは鉄製ホイールもあり。ドゥカティにはカーボンホイール装備モデルも存在するが、かなりレア)。
ワイヤースポークホイールは、見たままのスタイルと構造なので解りやすいですが、キャストホイールの呼び名は製造方法が由来です。
「キャスト=Casting」とは「鋳造」の意味で、溶かした金属を型に流し込んで作る製造方法を指しています。バイクのホイールの場合、素材はアルミニウム合金が主流になり、海外ではアロイホイール(Alloy Wheel:合金ホイールの意味)と呼ぶこともあります。
またレース用のホイールでは、アルミニウムより軽量なマグネシウム合金を素材とした鋳造ホイールも作られていました。
というワケで、現状ではワイヤースポーク以外のホイールは、押しなべてキャストホイールと呼ばれている状況です。
軽量で高強度な「鍛造ホイール」が登場
ところが、ルックス的にはキャストホイールと同様の合金ホイールですが、異なる製法のホイールが登場しました。アルミニウムなどの合金のインゴット(金属塊)を成形金型に挟み、高圧プレス機で何千トンもの圧力や熱処理を加えて作る「鍛造製法」です。
鍛造で有名なのは「日本刀」で、こちらは刀鍛冶が熱した鋼を鎚で叩いて作ります。手法は異なりますが、叩いたり高圧プレスする鍛造製法によって高密度化し、金属粒子の流れを整えることで強度や剛性が格段に向上します。
鍛造は“身が詰まっている”ので、比重としては鋳造より重くなりますが、強度が高いためホイール各部の肉厚を薄くしたり、スポーク部分を細くすることができるため、結果として鋳造ホイールより軽量化できます。
クルマ(4輪車)用の鍛造ホイールは1980年代半ばに登場しましたが、バイク用は2000年頃です。その後はレース用ではマグネシウム鍛造ホイールが主流になり、一般向けのアフターパーツ(カスタムホイール)はアルミ鍛造ホイールがメジャーになりました。
また、バイクメーカーも一部の限定モデルに鍛造ホイールを装備したモデルを販売することもありました。
レーシングマシンやスポーツバイクにとって「軽さは正義」なので、軽量で高強度な鍛造ホイールの登場は画期的でした。
とくに“バネ下”と呼ばれるサスペンションのスプリングより下部の軽量化は重要で、しかも高速で回転するホイールはジャイロ効果(回転する物体がその場に留まろうとする力)を発生するため、ホイールの軽量化はバイクの運動性に大きく影響するからです。
鍛造ホイールは「フォージドホイール」
そんな鍛造ホイールが登場したことで(少し)問題になったのが「ホイールの呼び方」です。従来からの鋳造製法ならキャストホイールですが、鍛造製法は英語で「FORGED(フォージド)」なので、鍛造ホイールは「フォージドホイール」と呼ぶことが正しいのです。
……が、一見すると鋳造と鍛造は見分けにくく(鍛造はホイール表面を全面的に削って仕上げる場合が多く、鋳造は鋳肌の部分が残っている場合が多いので判別できなくもないが、塗装すると解りにくい)、昔からの慣習もあるため、前述したようにワイヤースポークホイール以外は総じてキャストホイールと呼びがちになっています。
正しくはキャストホイールとフォージドホイールを使い分けるべきですが……この辺りは(鉄道が趣味ではない人が)鉄道の車両をなんでも「電車」と呼ぶような感じでしょうか。
ということは、海外のようにアロイホイール(合金ホイール)と呼ぶことが、広い意味で正解なのかもしれません
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