11月23日(土)、愛知・岐阜県を舞台に開催されている2024年WRC世界ラリー選手権第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2024』のデイ3が行われ、午後の3ステージと豊田スタジアムでのSS16を終え、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合首位をキープしている。日本人ドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合5番手でデイ3を終えた。
午前中にはSS10~12の3本が行われたが、SS12は安全上の問題が発生し、コースインしていたアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)は走行中断、エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)とタナクはコースイン前にキャンセルとなった。
FIA/WRCがラリージャパンのSS12キャンセル理由を説明「許可されていない車両が進入し、スタートラインを塞いだ」
SS11終了時点で総合3番手だった勝田は、SS12でスピンし、10秒ほど留まり大きくタイムロスしてしまう。SS13開始前の時点でセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)とフルモーに先行されて総合5番手に後退した。
中津川公園に設けられたタイヤフィッティングゾーンでの軽整備で、勝田はスピン時に破損した右リヤカウルに応急処置を施し、午後3本のステージへと挑んだ。また、アンドレアス・ミケルセン(ヒョンデi20 Nラリー1)は、SS12終了後に技術的な問題でリタイアしている。
午後1本目のSS13『笠置山2』は13時05分に開始された。SS13は、午後になって気温も上がったことで完全ドライという、午前と違う路面コンディションの笠置山SSとなった。
グレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)は、スタートからプッシュするものの、最序盤のインフィールドセクションで右フロントをガードブロックに当ててしまう場面も見られた。
ここでは、タナクが驚速のアタックでベストタイムをマークし、デイ3で初めてのステージウインを決めた。一方でエバンスは、朝のSS10と打って変わってタイムを伸ばせず、6.1秒差のステージ6番手となった。
朝のSS10で慎重に走行していたドライバーもSS13では攻めたドライビングを見せ、オジエが0.8秒差のステージ2番手タイムを記録。勝田が3番手、ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)が4番手、フルモーが5番手と続いた。
続くSS14『根の上高原2』では、走行順が遅いほどタイムに伸び悩むコースの性質は午前と変わらず、タナクがステージ4番手に留まり、エバンスが5番手と後塵を拝した。勝田は、3番手タイムを刻み、総合4番手のフルモーとの差を0.2秒まで縮めた。
そして、このステージでは、ヌービルとオジエがまったく同じタイムでステージトップをマーク。ふたりが同じステージトップタイムを記録するのは、2024年シーズンで4回目だ。
日が落ちはじめ、コースが陰っていくなかのSS15『恵那2』。このSSでは、序盤の県・市道と農道の高速な区間ののち、休みなくカーブが続く狭い峠道で構成されている。中盤からは長いダウンヒルもあり、後半になるほどタイヤに厳しいコースだ。
SS14の再現のような走りを見せ、オジエがトップタイムをマークし、ヌービルがその0.1秒差の2番手に続いた。そして、フルモーも光る走りを見せ、この『恵那2』でステージ3番手のタイムを残し、勝田との差を0.2秒から5.4秒にまで広げている。
総合首位を争うエバンスとタナクは、SS12で走行できなかったことが大きく響いたのかタイムを伸ばすことはできなかった。タナクはトップから3.3秒差のステージ4番手。エバンスはとくに影響を受けていたようで、トップから15.5秒差のステージ7番手に沈むことになった。
各ドライバーたちは45分間のサービスののち、デイ3最後のステージへ挑む。SS16『豊田スタジアムSSS2』はデイ1のSSS1以来、2回目のステージだ。
デイ1と同じく2台が並走するスタイルのまま、WRC2のドライバーからコースインし、SS15までと逆の出走順で始まった。デイ1のSSS1の最速タイムは、フルモーの1分44秒4だ。
WRCクラスの1台目は、ミュンスターがコースイン。ニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)の『頭文字D』カラーのWRC2マシンと並走となった。ミュンスターは、SSS1のフルモーより0.1秒速い1分44秒3を記録した。
続くフルモーは、グリップ走行の様なスタイルでデイ1と近い速さを見せ、走行後のインタビューで満足そうな表情を見せた。一方で並走したオジエは初日と同様苦戦しているようで、インタビューではあまり語らずに終えた。
勝田とエバンスのトヨタ同士の並走では、勝田が先にゴールする。しかし、フルモーには0.7秒届かずステージ4番手。エバンスはオジエと同タイムで大会3日目の走行を終えた。
WRCクラスの最後は、ヌービルとタナクのタイトルを争うヒョンデ同士の並走。ヌービルはタイムが伸びなかったが、インタビューで「日曜にフォーカスしている」と語り、明日のためとも思えるSS16の走りであった。
そしてタナクは、ここまでの暫定トップタイムを1.1秒も更新する驚速を披露。1度も総合トップを譲らずに大会3日目を締め括った。
デイ3が終了し、土曜日時点の暫定順位に従い、総合トップのタナクが18ポイント、2番手のエバンスが15ポイント、3番手のオジエが13ポイントを獲得。以下10番手までが暫定ポイントを手にした。こちらは最終日までの完走が獲得条件となる。
なお、チャンピオンシップ1位のヌービルは、必死の追い上げで7番手に食い込み、4ポイントを獲得し、タナクとの差を11ポイントに抑える見事なダメージコントロールを見せた。
また、マニュクチャラータイトルの奪取を狙うヒョンデと、逆転での防衛を狙うトヨタとの差は11ポイントに縮まっている。
最終日は、最大12ポイント(日曜総合1位:7ポイント+パワーステージ1位:5ポイント)が獲得できるが、前述の通り、リタイアした場合は暫定ポイントが剥奪されるため、最後のSS21まで両タイトルともまだ分からない。
WRC2クラスでは、前述したグリアジンがクラス2番手のサミ・パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー2)に対し、1分以上のリードを保ってクラス首位をキープ。クラス3番手には、新井大輝(シュコダ・ファビア・ラリー2)が続いた。
明日の大会最終日は、総合優勝だけでなく、2024年シーズンのドライバーとマニュファクチャラーの両タイトルが決まる。走行は、SS17からSS21までの計5ステージが行われる。5本のステージ総距離は70.57km、リエゾン(公道区間)を含めた1日の総走行距離は235.45kmだ。
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