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“身の丈サイズ”なゴルフが欲しいなら?【VW GOLF FAN Vol.7】

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“身の丈サイズ”なゴルフが欲しいなら?【VW GOLF FAN Vol.7】

※この記事は2006年3月に発売された「VW GOLF FAN Vol.2」から転載されたものです。

やはり注目すべきはベーシックグレード

とにかく運転しやすくユーザーフレンドリーなのがイイ!「フォルクスワーゲン Tクロス」試乗記

R32の登場にともなって、いよいよ完成したゴルフのラインナップ。スポーツ系ならGTIにR32、ファミリーユースならプラスにトゥーラン、セダンのジェッタや、コンパクト系のポロやルポまで視野に入れると、いまやゴルフを中核とするフォルクスワーゲンは立派な大家族だ。しかしフォルクスワーゲンというブランドが持つ魅力の多くは、実はベーシックグレードにこそ、宿っているのではないか? ほどよいサイズに高いユーティリティ、必要にして十分なパワー。そんな“身の丈サイズ”のベーシックグレードを再検証してみたい。

Introduction
ゴルフ本来の魅力はスタンダードにある


いよいよR32が登場した。ともすれば初代以上にインパクトのあったGTIだけでは飽きたらなかったらしい。ゴルフの成長っぷりには驚かされることしきりだ。
ここまで血気盛んなモデルが揃うと、ゴルフ=ホットハッチみたいな図式で捉えられがちだが、しかし昨年にはゴルフよりほんの少し背の高いゴルフプラスがデビューして、ファミリー層のハートもグッと捕らえて離さない。いまやゴルフは、大家族を構築してすべての人々のニーズに応えようとする、巨大ブランドへと昇華した。
とはいえ、ゴルフにゴルフプラス、その前後に位置するポロ、パサート、ジェッタと、ここまで豊富なラインナップが存在すると、チョイスするグレードを含めて、どのモデルがベストバイか——という悩みが発生する。もちろん、100人いれば100通りの環境や嗜好があるわけで、一概に決めつけることはできない。ただ、ひとつだけいえることは、ゴルフの主力選手はGTをはじめ、GLiやEといったスタンダードモデルであって、そこにゴルフのポリシーはすべて内包されている。
では、数あるスタンダードモデルの差異はどこにあるのか? そこで、ゴルフGLiとE、同じくゴルフプラスのGLiとEを持ち出して、徹底的に検証してみたい。スペシャルモデルは確かにすばらしいけれど、ゴルフ本来の魅力、それはスタンダードモデルにこそ宿っているのではないか。

Road Impression
似て非なる存在の4車それぞれに性格が違う


Golf GLi
歴代ゴルフ達の伝統的な乗り味を継承
まさにゴルフの中核選手という印象がある ゴルフに対して、ゴルフプラスをどう捉えるべきか。まずはこの難解な問題に直面する。単純に85mmほど車高を上げたという意味だけでのプラスなのか、それともなにか別のプラスな要素がどこかに存在するのか。

その答えを、実際に乗り比べることで探してみよう。まずはゴルフVのGLiだ。このグレード、Vになってイマイチ影の薄い印象があるのはGTとの距離が近すぎたからか。ともあれ、スペック上でGTとの差異はごくわずか。GTには標準のスポーツサスが付かず、20mmほど車高が高いだけだ。

このGLiだが、改めてジックリ乗ってみると、歴代と同じくゴルフの中核選手そのものという印象がある。動力性能は必要にして十分、常に美味しい部分を引き出してくれる6速ATによって、街中から高速までストレスは感じない。唯一、ストップ&ゴーが連続する流れの速い渋滞のような場面だと、ギアセレクトが頻繁すぎてギクシャクするのが惜しまれる。

フットワークはドッシリとしていて、操作に対してあくまでも忠実、ドライバーの意志通りにクルマが動く。まさにゴルフの味だ。

Golf Plus GLi
重くなった分をカバーしようとして
必死でアクセルを踏む、これが楽しい


これらの感覚は、当然ながら同じパワーユニットを積むプラスのGLiにも当てはまる。だが、ゴルフから乗り換えると、最初、ブカブカのシューズに履き替えたような、クルマとの距離感が感じられた。

車高以外の全長および全幅は同一だから、単純にサイズの問題ではないと思いつつも、ヒップポイントが上昇し、さらに運転席まわりの空間が広がった心理的作用は大きい。包み込まれた感のあるゴルフのコクピットに対して、プラスはいかにもミニバン的な開放感のあるエリアが存在する。

これをネガティブと捉えるかは、人それぞれだろう。しかし、豊富な小物入れや多岐にわたるシートレイアウトなど、プラスが持つ使い勝手のよさは見過ごせない。

また、GLiで比べるとプラスのほうが100kgほど車重がプラスされ、それは確実に動力性能に影響している。ひとりで乗っている分にはとりわけ不満は感じないが、乗り比べてみると、ハッキリとプラスの重さを実感する。だが、ケガの功名ともいうべきか、重くなった分をカバーしようと必死でアクセルを踏んで走る行為は、エンジンを使い切っている感覚があって、ゴルフよりも楽しいと感じた。欧州のスタンダードモデルはこういう部分に奥深さがある。

Golf Plus E
元気よくワインディングを走ったら
一番面白いのは、コイツかもしれない


と、走りの面でのよさが光ったGLiであったが、Eはどうだろうか。こちらもパワーユニットは両車とも同じ、1.6L FSI+6速ATという組み合わせだ。

さすがにプラスだとパワーが厳しいと感じるが、それは乗り比べたから分かること。アクセルの踏み込む量が必然的に多くなり、キックダウンは頻繁になる。だが、ひとりで走る分にはギリギリ不満はない。

むしろ印象に残ったのは、GLiよりもマフラーから聞こえるエキゾーストノートのボリュームが大きくなり、それはより澄んだ気持ちのいい音色だったこと。絶対的な速さは別だが、もしかしてワインディングを飛ばして一番楽しいのは、コイツかもしれない。

Golf E
随所に見え隠れする軽快感が清々しい
クルマはこれで十分、と教えられたようだ


対してゴルフEは、ビュンビュンと上まで回るエンジンにフロントノーズの軽さと相まって、軽快感にあふれている。絶対的な動力性能はたかが知れているが、それでもプラスEよりは余裕がある。

このEというグレードだが、ゴルフとゴルフプラスともども、当然ながら装備品はGLiに比べて簡略化されている。とはいっても、エアコンがダイヤル式のマニュアルエアコンになり、サイズは同じままにスチール製のホイールとなる程度だ。重いスチールホイールのほうが、路面の凹凸を忠実に伝えてくるので、快適性は少し低くなる。EにもGLiと同じアルミホイールが欲しいと思った。

ちなみにGLiとEでは、価格差が40万円近く、ゴルフとゴルフプラスの価格差は5万円程度しかない。チョイスするオプション装備を含めて、この4グレードからの選択は、本当に悩ましい。

では、冒頭に挙げた問題に戻る。ゴルフプラスとは、ゴルフに対してどのような存在なのか? ここまで述べてきた両車の差異をもとに、結論に急ぐことにしよう。

Detail Check
詳細徹底解説!


この4車、みんな兄弟であるがゆえ当然似ているし、共通パーツも多い。だからこそ、細かい部分を徹底的に調査して、その差を確かめたい。ここに、GLi、Eの装備差を始め、ゴルフプラスとゴルフVの違いを、それぞれ説明してみたいと思う。

Golf Plus 




Golf

ベーシックゴルフの最高峰、その名も“GT”

ゴルフとゴルフプラスを、またはGLiとEを比較するにあたって、どうしても無視できないモデルがある。ゴルフVに存在するGTだ。そこで、GLiの豪華、スポーティ版というGTの内容を確かめたい。

随所に見え隠れするプレミアムテイスト

GLiとEを考えるとき、その上に位置するGTの存在が浮かび上がってくる。GTというグレードはいまのところゴルフVにのみ存在し、プラスには用意されない。

現在、ゴルフVの中でもっとも販売台数が多いというGTだが、基本的なパワートレーンはGLiと共通になる。車高が20mm低くなるスポーツサスペンションや16インチアルミホイールなど、フットワークのチューニングが異なるのみ。

その上に位置するGTI(325万5000円/6MT)こそが本当にお買い得だとは思うが、装備としてスポーツシートやレザーステアリング、フォグランプなど豪華装備満載で、車両価格がGLiに比べて20万円弱アップの299万2000円というのは、まさにバーゲンプライスだ。

さすがにこれだけの装備が加わると、雰囲気はスタンダードを超えて完全にプレミアムハッチだといえる。これでオプション扱いとなるレザーシートをチョイスすれば完璧だろう。しかし、ローダウンされた足回りは、常に落ち着かずにヒョコヒョコとした挙動を見せるのが気にかかる。

街中メインの使い方をするならば、GLiのアシにGTの装備品を、と思う人はけっこう多いのかもしれない。モディファイを試みるならベースはGLiでキマリだろう。

ともあれ、1.6Lか20Lかという悩みに加え、GTという選択肢があるゴルフVは、実にユーザーを悩ませるラインナップだ。

Conclusion
キープコンセプトかニューカテゴリーか


ゴルフプラスなんて、所詮ミニバンの一種じゃないか。最初はこんな風にあなどっていたのを認めよう。ゴルフのシャシーおよびパワートレーンを用いた便利で快適なマルチパーパスカー。確かに便利だろうが、そこにドライブの楽しさや刺激は存在しない、と。
そして、勝手なこの先入観は、見事に覆えされたのである。絶対的な動力性能云々といった話しではない。ゴルフに比べたらデカイ図体ながら異様にガッシリしたボディを、アンダーパワーのエンジンで精一杯走らせる。これが実に楽しく、ありていにいえばドライビング・プレジャーが存在した。それはまるで、ゴルフIやIIのベーシックグレードを振り回した時のような清々しさがあった。

ゴルフVは、このクラスのベンチマークへとのぼり詰め、必然的に背負い込むものが大きくなった。となると、必然的に保守的なクルマ造りにならざるを得ない。もちろん、クルマとしてのデキは、難癖を付けるのも難しいほどすばらしいものだ。だが、ゴルフIが世に出た時の、常識を覆されたような衝撃はなく、あくまで歴代の正常進化型として造られている。
自身が構築した既存の2ボックス像を継承するゴルフVに対して、ゴルフプラスは新しい2ボックスの概念を構築している。ミニバン並みの高いユーティリティと、ドライブの楽しさが同居しているゴルフプラスは、21世紀におけるゴルフI的な存在なのである。

リポート:中三川大地/フォト:佐藤正巳(Golf GLi/Golf E)/山本佳吾(Golf Plus GLi/Golf Plus E/Golf GT)

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