■「N-VAN e:」はN-VANの「もう少しここがよかったら」をほぼ解決?
働くクルマとしての需要から、キャンパーなど趣味を楽しむクルマとしての需要まで、幅広く支持されているガソリン軽商用バンの「N-VAN」をベースに、大容量バッテリー搭載で一充電航続距離を245km(WLTCモード)とした軽商用EV(電気自動車)の「N-VAN e:(エヌバン イー)」が2024年6月13日に登場しています。
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10月10日の発売開始を前に、今回クローズドコースでの試乗が叶いました。
N-VANといえば、助手席側のドアをセンターピラーレスとした大開口部や、運転席以外が低いフロアでフルフラットになる積載性の高さといった特徴がありますが、N-VAN e:は、EVとなってもそれはいっさい失われることなく、むしろ内装をガラリと作り変えることによって、もっと使いやすくしているのがすごいところです。
とくに、開発当初からバッテリーを床下に搭載しても、フロアを上げたり全高を上げることは絶対にしたくないと試行錯誤。もともとの構造上の特徴であったセンタータンクレイアウトによるガソリンタンクが置かれていた空間や、フロントシートの下などに主要システムを配置したことと、バッテリーの薄型化によってクリアしています。
そのため、シートアレンジもN-VANからそのまま継承。今回、N-VAN e:では4人乗りの「e:L4」と「e:FUN」のほか、法人などで乗員は1人か2人で十分という需要に応えるため、1人乗りの「e:G」と2人乗りの「e:L2」もラインアップ。1人~2人乗りモデルはリース契約のみの取り扱いとしています。
N-VAN e:のエクステリアデザインはほぼN-VANと変わっていませんが、大きな特徴となっているのがフロントグリル。普通充電と急速充電の2つの充電口が備わっており、サステナブルマテリアルを活用した素材が使われているのもポイントです。
ホンダでは35年前から、ディーラーでの困りごとを解決する事案として創業者の本田宗一郎が提案したバンパーリサイクルを行なっており、回収したバンパーを洗浄・粉砕・塗膜剥離をした上でコンパウンド・ペレット化したものが使われています。
充電口のリッドなどをよくよく近くで見ると、微細な赤やブルーが見えてきて、「これはフィットの赤色だ」などわかる人にはわかるのだとか。開発者も「これまでのHonda車の歴史が詰まった素材になっています」と話してくれました。
また、充電口の開け方にも工夫があります。普通充電用が左、急速充電用が右のリッドなのですが、自分が使いたい方を間違えて開けることのないよう、普通充電用は外からプッシュオープンするタイプ。
急速充電は車内でスイッチを押して開けるタイプとなっています。ユーザーは業務で使う方、時間を気にする方も多いと想定されることから、「操作ミスによる小さなイライラをなくしたい」という想いがあったのだそうです。
充電性能は、普通充電は6kWまで、急速充電は50kWまでの充電器に対応。普通充電は100%までの充電が6kwで約4.5時間、急速充電は80%までの充電が約30分と、利便性の高さも魅力となっています。
さて、運転席に座ると、N-VANとはガラリと変わったインパネにびっくり。低く抑えられた水平のダッシュボードで視界は広く、ホンダの軽初となるエレクトリックギアセレクターによってセンターパネルがスッキリとしており、エアコンのスイッチなどがドライバーに近い位置に配置されています。
窓の開閉ボタンもセンターに集約され、プッシュスタートボタンで宅配などの頻繁な乗り降りでも使いやすくなっています。
N-VAN e:では、モーターならではの加速性能はもちろん、重量が増えた分の減速コントロールを調整したり、操縦安定性や乗り心地向上のためタイヤサイズを13インチにアップしたこともトピック。
バッテリーを床下に敷き詰めたことで、結果的にフロア下からのノイズも抑えられ、静粛性アップにも寄与しているとのこと。さっそく高速周回路から走ってみます。
N-VANとの比較試乗をしてみましたが、やはり発進直後からの軽やかでなめらかな加速フィールはガソリン車とはまったく別次元。
ただ、少し踏んだだけでビュンと不自然に出るようなことはなく、操作に対してリニアに反応してくれる感覚があるので安心です。
これは、ヤマト運輸などにヒアリングしたところ、加速の良さは欲しいけど、速すぎると荷崩れを起こしやすくなったり、安全な運転がしにくくなったりするのは困るという話があり、リニアでスムースでコントローラブルな発進と、運転しやすさ、安心感にはとくに注力したところだといいます。
あくまで商用タイヤとのマッチングも考え、ストップ&ゴーの多い住宅街でのコントロールしやすさを実現しているという通り、カーブではじわりとした安心感の高い挙動が印象的。ステアリングの操作感にも落ち着きがあり、高速域での直進安定性が高いと感じました。
加えて、フル積載時でもガソリンターボ車並みの加速性能は確保しているとのことで、追越し加速はもちろん、市街地を想定した一時停止からの発進時のもたつきなどもまったくないことに感心しました。サスペンションは、システムそのものは変えていませんが、重量増に伴ってスプリングレートやダンパー減衰力を最適化。
段差の突き上げや路面からの微細な振動もクラストップレベルまで抑えられており、長時間走行でも疲れないだろうと感じました。商用車では荷物の積載を考慮してリヤが固めにしてあるモデルもある中、前後重量配分に気を配り、リヤを固めすぎないようにしているとのことでした。
EVならではの静粛性の面では、やはり乗用EV並みとまではいかないものの、商用車としては十分な静かさを実感。とくに高速道路への合流などで、エンジンなら唸り音が上がるようなシーンでも静かなのは精神的にもラク。逆に、静かすぎないことでロードノイズやモーター特有のキーンといった音も聞こえにくく、自然な静かさが印象的でした。
そして電動サーボブレーキを採用したというブレーキフィールでは、しっかりとした効きの良さと、効きすぎない安心感が両立していると感じました。
カーブの手前でブレーキングをして侵入していくようなシーンでも、ギクシャクせず一筆書きのように曲がっていけます。
荷物が多い時のようにブレーキ負荷の高いシーンでも、ブレーキフェードを低減するためにブレーキサイズを13インチにアップしたことや、減速度を選択できる「Bレンジ」があることも、安心感につながっていると感じました。
ちなみにBレンジで減速度を強めていても、ブレーキランプが頻繁に点灯しないようにするなど、後続車への配慮も考えられています。
このように、N-VAN e:の走りはN-VANの時に「もう少しここがよかったら」と思っていたことがほぼ、解決していることに驚きました。
圧倒的な室内空間・積載性はそのままに、もっと力強い加速や乗り心地の良さ、静かさを手に入れていたN-VAN e:でした。
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みんなのコメント
一軒家は全て太陽発電のパネルつけたら、停電の時充電ができる
EVを悪いように言うのがすぐ青ポチにしやがるがな。