ソフトトップと2+2を獲得したSL
7代目に当たる、新型SLが登場した。ラグジュアリー・ロードスターの進化度は極めて大きく、先代からの改良を超える内容が施されている。デザインやエンジニアリングだけではない。パッケージングやパフォーマンスなど、あらゆる面が一新している。
【画像】モデルチェンジしたメルセデスAMG SL 競合するカブリオレ・モデル 6代目SLも 全104枚
メルセデス・ベンツを代表するモデルだということ考えれば、重視されたモデルチェンジであることは想像がつく。象徴的なガルウイングを備えた1954年の初代SLは、現在においても、モデルラインナップに小さくない影響を与えている。
R232という型式を持つ新型SLは、ドイツ・シュツットガルト南西に位置する、ジンデルフィンゲンのチームではなく、北東のアッファルターバッハのチーム、AMGが主導となり開発された。SLに込められた熱い想いや、能力をうかがわせてくれる事実だ。
ニュルブルクリンクで磨き込まれたメルセデスAMG GTの開発チームが関わることで、四輪駆動に四輪操舵、アクティブエアロなど、先進的な技術がふんだんに盛り込まれている。ドライバー・フォーカスのSLとして仕上げるべく。
ハリウッドの目抜き通りを流すカブリオレではなく、よりピュアなスポーツカーが目指されている。果たしてその仕上がりは、いかほどだろうか。
7代目SLの特徴といえる1つが、先代の2シーター・レイアウトをやめ、実用的な2+2レイアウトを獲得したこと。またアルミニウム製フォールディング・ハードトップは、往年のSL ロードスターを彷彿とさせる、ファブリック・ソフトトップへ回帰した。
AMG GTへ接近したスタイリング
車載システムやインテリアなど、デジタル化も進展。6代目SLが古びて見えるほど。アストン マーティン・ヴァンテージ・ロードスターやBMW 8シリーズ・コンバーチブル、ポルシェ911 カブリオレといった競合に対し、優位性を与えることは間違いない。
AMG部門で最高技術責任者を務めるヨッヘン・ハーマン氏は、この7代目に関して次のように述べている。「SLの歴史を振り返ると、常にモータースポーツがそばにありました。新しいモデルでは、そのつながりの再生を目指しています」
「しかし、近年のお客様は実用性も重視しています。そこでレイアウトを見直し、追加の2つのシートを与えることで日常性を高めています。既存の構造を改めるのではなく、ゼロからの開発に取り組むことが可能でした」
さて、SLを眺めてみよう。スタイリングは、6年前に発表されたメルセデスAMG GTとの共通性を感じられる。キャビンがボディ後方に位置するプロポーションや、前後のデザイン処理などは特にそうだ。
同時に、6代目SLからは距離を取っていることも明らか。フロントマスクで主張する逆台形のパナメリカーナグリルや、絞られたテール周辺のボリューム感などによって、ドラマチックな雰囲気を漂わせている。
ボディサイズは先代より成長。全長は4705mm、全幅は1915mm、 全高は1359mmとなり、それぞれ88mmと38mm、44mm大きくなっている。ホイールベースは、117mm伸ばされ2700mmが与えられた。
ボディ拡幅に合わせて左右タイヤの間隔、トレッドも広げられ、堂々としたスタンスを実現。低重心化にも貢献している。
新設計のスペースフレーム構造
新しいSLがベースとしているのは、独自のスペースフレーム構造を持つMSAプラットフォーム。アルミとカーボンファイバー、マグネシウム、スチールが適材適所で用いられている。製造はドイツ北部、ブレーメンのメルセデス・ベンツ工場だという。
ハーマンは、従来のMRAからMSAへプラットフォームを変更したことで、車軸の位置を低くできたとも説明する。これに伴い、大幅な低重心化も実現したとのこと。
このスペースフレームは270kgと軽量。だが、拡大したボディと追加のリアシート、四輪駆動システムなどの採用によって、車重は125kg増えている。現時点でのトップグレードとなるSL 63で、1895kgに達した。
そのかわりボディ剛性は高い。AMG GTと比較して、ねじり剛性は50%も向上したそうだ。
サスペンションも基本的には独自設計。フロントが5リンクのダブルウイッシュボーン式で、リアがAMG GTにも似たマルチリンク式。専用開発のアダプティブダンパーと軽量なコイルスプリングがボディを支える。
SL 63には、油圧制御のアンチロールバーが備わる、アクティブ・ライドコントロールも選択が可能。こちらも新開発となる。
シャシーはまったく新しいと呼べるが、英国へ導入される2種類のエンジンは、おなじみのもの。SL 55に搭載されるM176ユニットは、4.0L V8ツインターボで、最高出力475psと最大トルク71.2kg-mを発揮する。
今回試乗したSL 63に搭載されるのはM177ユニットで、585psと81.4kg-mを発揮。それぞれ0-100km加速は3.9秒と3.6秒、最高速度は294km/hと313km/hに設定される。
多彩な電子制御システムをふんだんに搭載
とはいえ、吸気系やオイルパン、クランクケースに改良を受け、インタークーラーの位置も見直されている。排気系もアップデートされた。SL 63には、負荷に応じて硬さが変化しエンジンの揺れを抑える、アクティブ・エンジンマウントも与えられている。
新しいSLは、ボンネットの長さが一目瞭然。V8エンジンはフロントアクスルの後方に搭載され、前後の重量配分も改善した。
エンジンと結合されるトランスミッションは、AMG MCTスピードシフトと呼ばれるウェットクラッチ式の9速AT。ステアリングホイールにシフトパドルが付く。
SL 63には電子制御のリアデフが標準。SL 55でも、オプションのAMGダイナミックプラス・パッケージの一部として追加が可能だ。
ドライブモードには、スリッパリー(滑りやすい路面)とコンフォート、スポーツ、スポーツ+、インディビジュアルの5種類が用意された。さらにSL 63には6番目のレース・モードも備わる。
電子制御のスタビリティ・コントロール、AMGダイナミクスも搭載。ベーシックとアドバンスド、プロ、マスターの4段階で、操縦の自由度を拡大してくれる。
メルセデスAMGによれば、最新のS 580eに準じたプラグイン・ハイブリッド版も計画にあるという。ただし、早くても2022年後半まで待つ必要がある。純EV版の噂もあるが、これは明らかにしていない。
予習はこのくらいにして、新型SLの長いドアを開いてみよう。Sクラスに準じるデジタル技術とコネクティビティを備えた、豪華で実用的なインテリアが目指されたという。実際、6代目からの進化は顕著だ。
この続きは後編にて。
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みんなのコメント
万人向けの一般的な車に成り下がったなぁ。