2021年7月19日、ハイブリッド専用モデルとなる2代目アクアがデビューした。約10年ぶりとなる今回のフルモデルチェンジとなる。
気になるのは同じトヨタ車のヤリスHVやプリウスとバッティングするのではないかということ。
HVに革命起こす? 新型アクアの世界初搭載バッテリーは次世代の本命か
WLTC燃費に関しても、ヤリスHVの36.0km/Lを超えることはできず(あえてしなかった?)、先代から約20%向上した35.8km/L。後発モデルだから余裕でヤリスHVを超えてくると思ったのだが……。
そのほか、バイポーラ型ニッケル水素電池を搭載し、従来のニッケル水素電池に比べ、セル当たりの出力が約1.5倍、先代の約2倍の高出力を実現している。
また、このバイポーラ型ニッケル水素電池搭載車には走行モードからPOWER+モードを選択すると、アクセルペダルを緩めるだけで回生の減速度を増やし、滑らかな減速が可能なワンペダルの「快感ペダル」を採用したことも新しい。
まさに身内同士の戦いの様相が感じられるが、実際のところ、販売現場である営業マンは、アクアとヤリスHVの棲み分けというか、どのようにお客さんへのセールストークをどうしているのだろうか?
文/小林敦志
写真/トヨタ
【画像ギャラリー】約10年ぶり刷新!! トヨタの本命 新型アクアが登場!!
■アクアのほうが10万円強ほど高いが、ヤリスHVとの棲み分けは?
2021年7月19日に発表発売された新型アクア。パワートレインは1.5Lエンジン+モーターのハイブリッド。価格は198万円~259万8000円
ボディサイズは全長4050×全幅1695×全高1485mm、ホイールベースは先代より50mm延長された2600mm
2021年7月19日、2代目となる新型アクアがデビューした。初代デビューから10年を経てのフルモデルチェンジとなるのだが、初代のこの“ご長寿”ぶりもあり、自動車専門メディアの間では、「次期型はなくそのまま終わってしまうのでは?」との噂が絶えなかった。
そして、2020年2月に正式発売された、日本国内ではヴィッツの後継に位置付けられるヤリスにハイブリッド仕様がラインナップされていたので、「やはりアクアの次期型はない」との見方が濃厚であった。アクアについては、モデルチェンジに関する情報もほとんどなかったことが、このような噂に真実味を与えていたのである。
そんななか、新型アクアはデビューした。販売現場ではさぞや歓迎ムードかと思いきや訪れると、そうでもないことに驚かされた。あるセールスマンは「ヤリスハイブリッドとの売り分けが難しい」と頭を抱えていた。
■アクアの価格とラインナップ
・B FF(35.8km/L)=198万円、E-FOUR(30.1km/L)=217万8000円
・X FF(34.6km/L)=209万円、E-FOUR(30.0km/L)=228万8000円
・G FF(33.6km/L)=223万円、E-FOUR(30.0km/L)=242万8000円
・Z FF(33.6km/L)=240万円、E-FOUR(30.0km/L)=259万8000円
■ヤリスハイブリッドの価格とラインナップ
・X FF(36.0km/L)=199万8000円、E-FOUR(30.2km/L)=224万円1000円
・G FF(35.8km/L)=213万円、E-FOUR(30.2km/L)=233万8000円
・Z FF(35.4km/L)=229万5000円、E-FOUR(30.2km/L)=249万3000円
※カッコ内はWLTCモード燃費
現行型ヤリスハイブリッドの価格は199万8000円~249万3000円。新型アクアと価格帯がかぶっているが、ディーラーは両者をどう区別するのか?
トヨタ自動車のホームページにある見積りシミュレーションを利用して、ヤリスハイブリッドと、アクアのそれぞれ最上級グレードの試算を行った。
オプションを限りなく同じものにして試算すると、アクアのほうが10万円強ほど高くなった。つまり、価格差が際立ってないのである。
さらに、60回(5年)払いでの残価設定ローンシミュレーションも行った。支払最終回分を車両本体価格で割った、残価率の目安ではアクアのほうが約25%となり、ヤリスより5%高いものとなっていた。
そのため支払最終回に据え置く額ではヤリスが14万円ほど少なくなることもあり、月々の支払い額ではアクアが約9000円高くなっている。
ヤリスはすでにレンタカーなどへのフリート販売を積極化しており、それがアクアより残価率目安が低くなっているものと考えられるが、アクアも先代の動きを見ていると、早晩フリート販売を積極化させていくことになるだろうから、残価率もそのうちヤリスと横並びとなることは十分考えられる。
■新型アクアのアピールポイントは地味?
新型アクアのダッシュボード中央には10.5インチの大型ディスプレイオーディオが配置される。ボックスティッシュが入る助手席アッパーボックスや電子式シフトノブ下のスライド式スマホトレイなど、便利な収納スペースが満載
ヤリスの上級グレード、Zのインパネ。基本レイアウトに大きな違いはない
ヤリスはデビュー当初から、“後席居住空間が狭い”とか、“質感がいまひとつで安っぽい”との声が、購入予定者だけでなく、販売する側、つまりセールスマンからも多く聞かれた。
メディアでは、日産ノートやホンダフィット、マツダデミオなどとライバル関係にあると紹介されていることが多いが、ヤリスのライバルとされたモデルを扱うディーラーでは、「ヤリスとは直接的なライバルとはならない」との声も多く聞く。
ノートはレンジエクステンダーEVとなる、“e-POWER”のみの搭載となるが、ヤリスと同じくガソリン車とハイブリッド車をラインナップするフィットを扱うホンダの販売現場では、「向こう(ヤリス)は3気筒ですが、こちらは4気筒です」と強調している。
“軽自動車=3気筒”ということもあり、欧州車では車両軽量化などもあり、高級ブランドでさえ3気筒が珍しくないなかでも、日本ではネガティブに捉える人も多いので、ホンダは積極的にセールストークとして使っているようである。
アクアも3気筒エンジンベースなので、その面では状況はヤリスと変わらないのだが、質感の高さや、後席居住空間の使い勝手の良さなどを強調しているので、自ずと“ヤリスより上ですよ”といったメッセージを感じることができる。
新型アクアのインテリア。ホイールベースの延長により後席空間、特に膝周りにゆとりを確保した
ヤリスの後席に身長170cmの大人が座ったときの膝先空間はコブシ1つ少々。居住空間は新型アクアだけでなくライバルのホンダフィットと比べても劣る
ただし、「ステアリングはヤリスと同じだったりするので、上質感の演出がもう少しほしかった」という話も聞く。電子式シフトノブ(エレクトロシフトマチック)を採用し、ヤリスと差をつけているが、パーキングブレーキは電子式ではなく足踏み式になるなど、チグハグともいえる部分も目立つ。
現場のセールスマンは、「見た目や装備では、“これだ!”という華がありません。燃費性能が高くなったとされていますが、そこまで燃費性能を気にされるお客様は極めて限定的であり、新型電池の採用なども含めてアピールポイントとしては地味ですね」と語ってくれた。
■現行プリウスからアクアへのダウンサイジングが進む?
2015年に登場した現行型プリウスはそろそろモデル末期を迎える。新型アクアはプリウスから乗り換えるユーザーの受け皿となりうる
事情通氏は「ヤリスと比べるのではなく、プリウスとの関係で見ると、新型アクアのキャラクターが見えてきますよ」とのことであった。プリウスは現行モデルが2015年12月に発売となっている。
そして、すでにフルモデルチェンジ情報もwebなどでは飛び交っている。その現行プリウスユーザーからのダウンサイズ需要について、新型アクアが受け皿になろうとしていると事情通は話す。
「現行モデルだけでなく、大ヒットした3代目ユーザーもまだまだ多いです。現行モデルや3代目プリウスユーザーでは、年配の人も目立つので、『同じハイブリッド専売車ですが、サイズが小さくなるアクアはいかがですか』とアプローチをしやすくするためにも、プリウス並みともいえる上質感を新型アクアはアピールしているとも考えられます」。
新型アクアに初採用されたバイポーラ型ニッケル水素電池。小型化により従来型ニッケル水素電池の約1.4倍に相当する電池セルを収容できる。バッテリー出力は旧型の約2倍向上
ヤリスではプリウスからの乗り換えの受け皿としては、役不足なのは否めないところである。
「プリウスに乗っておられるお客様がヤリスハイブリッドにご試乗いただくと、『EVモードでの走行距離が短いね』というお話をよく聞きます。新型アクアでは、新型電池の採用などにより、ヤリスと比べてEVモードでの走行距離が長くなっている点ではプリウスのお客様に薦めやすくなっておりますね」(前出セールスマン)。
現状ではプリウスクラスのハイブリッド車については、カローラセダンや同ツーリング(ステーションワゴン)のハイブリッド車を選ぶ人が多くなっている。
そもそもハッチバックのプリウスを「新世代のセダンですよ」などとして売り込まれて購入していた人が、カローラセダンのハイブリッドや、より多用途性を求めてツーリングのハイブリッドに流れた。
しかし、カローラというネーミングに馴じまない(大衆車イメージを嫌う)人や、ハイブリッド専用車に価値を見出す人は根強くプリウスに乗っていたりする。ただ、年齢的なこともあり、プリウスからダウンサイズを希望する人も目立つので、そこで新型アクアが受け皿になるのである。
プリウスだけではなく、歴代のトヨタ車のなかでハイブリッドか否かを問わず、マークII(Xではない)あたりに乗り続けているユーザーも多いので、ダウンサイズニーズを新型アクアで受け止めようとしているとも考えられる。
国産車販売台数ランキングのトップに君臨するヤリス。他メーカー含め幅広い客層をターゲットに堅調な売れ行きを維持する
つまり、ヤリスハイブリッドは他銘柄(トヨタ以外のメーカー)からの乗り換えなど広く門戸を開放していが、アクアは既納トヨタユーザーをメインとして、“ダウンサイジングのニーズの受け皿”となることをより強く意識してラインナップすることで棲み分けを図ろうとしていると考えると、この2車が存在することに違和感を覚えることはないといえよう。
ただ、ヤリスハイブリッドと新型アクアで迷ったお客がいたら、メカニズムの多少の違いはあるが、明らかな差というものがないので、エクステリアやインテリアなど、見た目についてのお客それぞれの好みに任せるしかない、とセールスマンは語っていた。
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みんなのコメント
軽買うより安くつくし、安全性もあって悪くない選択だと思う。