今年3月で創立110周年を迎えたダイハツは、新たなブランドスローガンである「Light you up ~らしく、ともに、軽やかに~」を東京モーターサイクルショーの同社ブーステーマとし、顧客ひとりひとりを照らし、「輝いたライフスタイルと軽やかな気持ちを届けたい」との思いを込めたコンセプトカーを提案した。
それがダイハツの目指す、さらなる良品廉価なクルマ作り「DNGA(ダイハツ・グローバル・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」が実現した際に、展開される未来のダイハツ新ラインアップの姿を示す5台のコンセプトカーだ。
アストン風デザインと究極のエンジン マツダの「次」は二本の矢で勝負だ!!
興味深かったのは、多くのメーカーが「未来」を指し示したのに対し、ダイハツは「過去」を振り返る点に重きを置いたブース設定だったこと。
まさに「温故知新」。東京モーターショーの会場で、華やかな次世代技術を積んだモデルのなかに、懐かしさを感じさせる旧車と、のオマージュとしてのコンセプトカーが飾られるダイハツブース。見応えがありました。
文&写真:大音安弘、DAIHATSU
■ぜひ市販してほしいダイハツ製コンパクトセダン
メインステージにズラッと並んだ世界初披露となるコンセプトカー、中でもユニークなのが、ダイハツが最初に手掛けた小型四輪車のコンパーノをモチーフとした「DN COMPAGNO(ディーエヌ コンパーノ)」だ。
スタイリッシュな4ドアクーペで、前席優先としたキャビンとスポーティかつ上品なインテリアが与えられている。パワートレインは、1000ccターボもしくは1200ccハイブリッドを想定している。
もうひとつダイハツのヘリテージを受け継ぐモデルとして日本の街角で活躍した3輪トラックの初代ミゼットのオマージュとなる商用EV軽自動車「DN PRO CARGO(ディーエヌ プロカーゴ)」。スクエアなボディには低床フラットフロアのキャビンが備わり、室内高を1600mm確保するなど、積載性に優れるだけでなく、車内の移動や作業もし易い空間づくりがされている。
■前後スライドドアに市販可能性はあるのか
このほかにも、大開口の前後スライドドアを持つ軽トールワゴンの「DN U-SPACE(ディーエヌ ユースペース)」、小型クロスオーバーSUVの「DN TREC(ディーエヌ トレック)」、3列シートを持つ小型ミニバン「DN MULTISIX(ディーエヌ マルチシックス)」は、コンセプトカーといえど、デザインに現実的な部分が多く、既に市場でもニーズが高いものであるため、近い将来の製品化されることも期待できそうなだけに注目だ。
特に「DN U-SPACE」は次期タントと見なされており、このコンセプトカーに設定された「前後スライドドア(リアドアだけでなく、助手席側の前ドアが襖のように前方にスライドする)」が次期型の市販車に搭載されるとしたら大変な事件なのだが、はたしてその結果やいかに。
今回のコンセプトカーは、ミニバンタイプの「DN MULTISIX」のみが日本初公開で、その他の4台はワールドプレミアとなるので、ぜひ、ダイハツブースでチェックしてみて欲しい。
■「先進技術は手頃な価格で用意してこそ普及する」という哲学
登壇したダイハツの奥平総一郎代表取締役社長は、DNGAが育んでいく未来のモデルたちを紹介し、「DNGAの開発には、昨今注目が高まるEVやハイブリッド、自動運転などの先進技術も含む」とコメント。
もちろん、まだバッテリーの価格やサイズなど現時点ではまだまだ課題が多いとしながらも、手頃なEVやハイブリッドの開発を実現したいとした。
また先進機能を手頃な価格で提供し、普及を図っていくことも明らかにしている。すぐにできる取り組みとして、商用車へのスマートアシスト搭載を本格化。年内にハイゼットカーゴに「スマートアシスト3」を搭載し、発売することを発表している。
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