現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ホイールもまた「最新こそ最良」だった! アルミホイールの世界で急速に進化する「剛性」とは

ここから本文です

ホイールもまた「最新こそ最良」だった! アルミホイールの世界で急速に進化する「剛性」とは

掲載 30
ホイールもまた「最新こそ最良」だった! アルミホイールの世界で急速に進化する「剛性」とは

急速に進化しているホイールの世界も「最新こそ最良」

 身近な高性能ホイールといえば「アルミホイール」。いまやメーカー純正でアルミを履くのが当然になっている。だが、もっと軽くて強いアフター品のアルミホイールに交換するのも定番だ。同じアルミホイールでも、「鍛造」や「鋳造」といった違いがあるが、何がどう違うのだろうか。

軽量化するとメリットだらけの部位! クルマの「バネ下」って何のこと?

アルミの強みは軽さだけではなく総合バランス

 高性能ホイール=アルミである。これはズバリ、「軽くて強い」から。たしかにスチール製ホイールの強さは抜群で、アルミに比べて肉厚を薄くすることはできる。純正鉄チンホイールやテンパータイヤのホイールも肉厚は薄い。しかし、決して軽いわけではなく、どうしても重量はかさんでしまう。

 では、アルミが最高なのかというと、必ずしもそうではない。実際、F1のホイールは現在すべてマグネシウム製で、軽さと強さではマグネシウムの方が勝る。しかし、耐久性や耐腐食性など、ストリートで総合的に考えると、アルミがもっとも適した素材なのだ。

剛性に優れるワンランク上の製法が「鍛造」

 では、よく聞く「鍛造」と「鋳造」とは何なのか。

 鍛造とは、熱したアルミの塊をプレス機で押しつぶして成形する製法。日本刀の製造方法と同じで、熱した金属を叩きながら伸ばしていく。そのときにアルミの繊維状組織の方向が揃い、「鍛流線」(メタルフロー)と呼ばれる筋肉の筋のようなものが生まれる。これが強さの秘密だ。繊維同士が均一に絡み合うことでより変形しにくく、衝撃を受けても元の形に戻るような特性になりやすいのである。

 対する「鋳造」は、ドロドロに溶けたアルミを型に流し込んで作る製法。日本の伝統的なものでいうと南部鉄器の鉄瓶を作るのと同じだ。鍛流線は生まれないので、素材としての性能は鍛造に一歩劣る。しかし、鍛造ではできないような細かいデザインができたり、製造コストが抑えられるので、リーズナブルに購入しやすい。

「鋳造」も「フローフォーミング製法」で鍛造並みの性能に

 ということで、軽さと剛性を求めるサーキット走行や、スポーツ走行には鍛造が向いている、という結論になりやすい。もちろんそうなのだが、だからといって鋳造がダメなわけではない。

 鋳造製法でも適切な設計をすれば鍛造に遜色ない重量と剛性も可能だし、力の掛かりやすいリム部分だけ鍛造のように圧延ローラーで力を掛けていく、「フローフォーミング」と呼ばれる製法を採用する鋳造モデルも多い。こうなるとリムは鍛造に近い性能があるので、慣性がつきやすく変形しやすいリムは軽くて強い。鋳造と遜色ない価格で鍛造並みの性能が手に入るということもあるのだ。

 ホイール選びのポイントとしては、スポーツ走行をしたいとか、もっと運動性能を上げたいというなら鍛造を選びたいというのは基本だが、そのモデルがどんな狙いで開発されているのかを、よく確認してもらいたい。

 たとえば、鍛造でもスポーツというよりは、究極のスポークの細さと長さを求めるために鍛造されたモデルもある。逆に鋳造でもラリーや耐久レース向けに作られているモデルもある。

ホイールの剛性・強度がいま急速に進化中

 これまでホイールは軽さにフォーカスされてきた。バネ下重量の軽さは、バネ上重量の何倍も効果があるので、少しでも軽いホイールはアドバンテージになる。これは事実だ。だが、近年の車両重量の増加とタイヤのハイグリップ化たるや、凄まじい進化の度合いである。

 実際、大手ホイールメーカー「レイズ」の軽量高剛性ホイールの定番である「TE37 SAGA」は、近年の車両の性能に合わせてわずかに重さは増しつつも、さらなる高剛性、高強度化を図り「TE37 SAGA S-plus」としてマイナーチェンジしたほど。それほどまでに急速に、ホイールには剛性と強度が求められるようになっている。

 すなわち、鍛造・鋳造を問わず、古い設計のホイールでは、現代のクルマの性能をフルに活かしきれない可能性があるのだ。じつはホイールは使い込むと徐々にバランスが狂ったり、真円度が落ちたり、そして時代に合わせた性能にマッチしなくなることもある。見た目には綺麗であっても、ホイールも消耗品。「最新こそ最良」であるのはポルシェだけでなく、ホイールもまた然りなのだ。

こんな記事も読まれています

延期となっていたスーパーフォーミュラ・ライツ第1大会もてぎが12月6~8日に開催へ
延期となっていたスーパーフォーミュラ・ライツ第1大会もてぎが12月6~8日に開催へ
AUTOSPORT web
航続距離がすべてじゃない! ミニ・カントリーマン SE オール4へ試乗 「ゴーカート」感なSUV
航続距離がすべてじゃない! ミニ・カントリーマン SE オール4へ試乗 「ゴーカート」感なSUV
AUTOCAR JAPAN
コーンズが18台限定のベントレー「CORNES 60th Edition」を発表! フライングBを日本に紹介して60年、純ICEモデル最後の特別な「GT/GTC/フライングスパー」とは
コーンズが18台限定のベントレー「CORNES 60th Edition」を発表! フライングBを日本に紹介して60年、純ICEモデル最後の特別な「GT/GTC/フライングスパー」とは
Auto Messe Web
メルセデス・マイバッハ、旗艦『Sクラス』に日本限定30台の特別仕様車“ナイト・エディション”を導入
メルセデス・マイバッハ、旗艦『Sクラス』に日本限定30台の特別仕様車“ナイト・エディション”を導入
AUTOSPORT web
BYD、国内第3弾の電気自動車『シール』を販売開始。“e-スポーツセダン”の確立を目指す
BYD、国内第3弾の電気自動車『シール』を販売開始。“e-スポーツセダン”の確立を目指す
AUTOSPORT web
「22歳元アイドル」が家族にトヨタ「ミニバン」購入!? 元HKT48・田中美久、“親孝行”な姿に「かっこよすぎる」「マジでスゴい」と話題
「22歳元アイドル」が家族にトヨタ「ミニバン」購入!? 元HKT48・田中美久、“親孝行”な姿に「かっこよすぎる」「マジでスゴい」と話題
くるまのニュース
RB20の縁石問題を解決するためフェルスタッペンがイモラでテスト。旧型マシンを“参考資料”に弱点を探る
RB20の縁石問題を解決するためフェルスタッペンがイモラでテスト。旧型マシンを“参考資料”に弱点を探る
AUTOSPORT web
小さいけど400馬力のスポーツセダン アウディ新型「RS3」 ニュル記録更新、8月発売へ
小さいけど400馬力のスポーツセダン アウディ新型「RS3」 ニュル記録更新、8月発売へ
AUTOCAR JAPAN
ジープ新型「ラングラー」が大幅改良! エントリーモデルは799万円から。「サハラ」は31万円も値下げをした理由とは
ジープ新型「ラングラー」が大幅改良! エントリーモデルは799万円から。「サハラ」は31万円も値下げをした理由とは
Auto Messe Web
【全長以外は同じ?】 90とはどう違う ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション
【全長以外は同じ?】 90とはどう違う ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション
AUTOCAR JAPAN
早期スタートに終盤遅延。雨対策で6時間超のウエットタイヤ戦をトヨタのベルが制覇/NASCAR第18戦
早期スタートに終盤遅延。雨対策で6時間超のウエットタイヤ戦をトヨタのベルが制覇/NASCAR第18戦
AUTOSPORT web
“直6”×MT設定あり! 新型「“コンパクト”クーペ」公開! 後輪駆動“継続採用”でめちゃ楽しそうな「M2」独で登場
“直6”×MT設定あり! 新型「“コンパクト”クーペ」公開! 後輪駆動“継続採用”でめちゃ楽しそうな「M2」独で登場
くるまのニュース
WRC最高峰デビューのセスク車が公開。母国ラトビアカラーのフォード・プーマ・ラリー1は初のノンハイブリッドに
WRC最高峰デビューのセスク車が公開。母国ラトビアカラーのフォード・プーマ・ラリー1は初のノンハイブリッドに
AUTOSPORT web
イース・コーポレーションが露チェルノフケーブルのデジタルケーブル2アイテムを販売開始
イース・コーポレーションが露チェルノフケーブルのデジタルケーブル2アイテムを販売開始
レスポンス
車名の由来は「セクシー」&「エレガント」! 日野「セレガ」の最新モデルが最新技術のるつぼだった
車名の由来は「セクシー」&「エレガント」! 日野「セレガ」の最新モデルが最新技術のるつぼだった
WEB CARTOP
厳選値引き実例 X氏の値引き特報
厳選値引き実例 X氏の値引き特報
グーネット
『バルセロナで速ければどこでも速い』はもう幻想? F1マシンの実力テストコースと言われた評価にドライバー疑問符
『バルセロナで速ければどこでも速い』はもう幻想? F1マシンの実力テストコースと言われた評価にドライバー疑問符
motorsport.com 日本版
40歳になっても大丈夫。フェラーリF1代表、来季加入のハミルトンに全幅の信頼「チャンピオン経験者のノウハウが、我々には重要」
40歳になっても大丈夫。フェラーリF1代表、来季加入のハミルトンに全幅の信頼「チャンピオン経験者のノウハウが、我々には重要」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

30件
  • 割れない
    曲がらない
    が最優先だ
    そこからの剛性バランスだ!
  • 初期ロットのTE37はすぐ曲がったな
    すぐ肉厚に改良したけど重量表はそのままで詐欺ってた
    SSRの軽量もすぐ曲がった名前出てこねー
    もう20年くらい前の軽量ホイール黎明期の話だけど
    ビンテージとか流行ってるけどヤフオクとか気をつけてね
    修正で一回熱を入れちゃうと強度なくなるから
    飾って楽しむ用だあれは
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

95.2105.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.088.0万円

中古車を検索
ストリートの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

95.2105.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.088.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村