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街が得意になったJEEP「レネゲード」!積極的にEV走行ができる48VマイルドHV搭載

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街が得意になったJEEP「レネゲード」!積極的にEV走行ができる48VマイルドHV搭載

悪路が得意なJEEPは卒業!史上初のマイルドHVの燃費は良好

モータージャーナリスト斎藤慎輔が2025年7月から発売を開始したJEEP「Renegade Altitude e-Hybrid(レネゲード・アルティチュード・ハイブリッド)」の約1000km試乗をしました。JEEP初のマイルドハイブリッドを高速道路だけでなく一般道、ワインディングロードなどさまざまな道を走って感じた印象をリポートします。

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ステランティス傘下でイタリアにさまざまな兄弟車が存在するJEEPレネゲード

ジープ「レネゲード」が発売された2015年当時、プラットフォーム、パワートレーン系、基本ボディワーク(骨格)までがフィアット500Xと共用と知り「イタリアブランドとアメリカブランドの中身が一緒とはねぇ」と思わされたもの。これはフィアットがジープブランドも持つクライスラーへの資本参加形態から2014年の買収に至るまでに、開発から生産拠点、サプライヤーまで、シナジー効果をもたらす施策を進めてきた結果だった。

フィアットを軸としたFCA(フィアット・クライスラー・オートモーティブ)は、2019年にはフランスのプジョーやシトロエン、DSブランドを抱えるグループPSAと経営統合、2021年に正式に対等合併し、マセラティやオペルなどを含め計14ブランドを抱えるこの合併会社が現在のステランティスだ。

レネゲードは、ジープ初のコンパクトサイズSUVだったが、こうした紆余曲折の10年の間もモデルチェンジすることなく貫かれてきた息の長い1台である。

日本でもその手頃なサイズ感や当初は300万円を切る価格のモデルもあったことなどもあり、2025年3月までに累計2万7000台以上を販売してきたそうだ。昨今の話題からすれば、なんだアメリカ車もちゃんと売れているじゃないかとなりそうだが、日本向けのレネゲードはイタリアで生産されているので、北米からの輸入扱いにはならない。

都市型SUVとしてEV走行モードスイッチを装備

このレネゲードにジープ初のマイルドハイブリッドモデルとなるアルティチュードe-Hyburid(車両本体価格544万円)が7月に発売された。パワートレーンは最高出力131psの1.5L4気筒直噴ターボ+7速DCTに最高出力20psのモーターを内蔵した48Vマイルドハイブリッドによる前輪駆動仕様のみ。これを機に1.3Lターボエンジン搭載車もPHEVの4Xeも消滅。このためだろうか、グレード名やハイブリッドを示すエンブレムは一切なく、さらにはドアハンドルやドアミラーもボデイ同色からブラックに変更されるなど、レネゲードとしては最新仕様でありながら、地味な印象をもたらすようにも思える。

ちなみに、このパワートレーンは、2023年に日本に導入されたアルファロメオ・トナーレのマイルドハイブリッドモデルと基本は共通で、モーター出力、トルクは同一。しかしエンジンはトナーレ用が160psの高出力版に対して、レネゲードはジープとしての走行特性を重視してか、最高出力は131psでその発生回転数は抑えた設定となる。しかし車重はトナーレの1630kgに対してレネゲードは1470kg(試乗車はサンルーフ付きのため1500kg)と130~160kgも軽いので、動力性能面での差異は小さく、燃費では有利となりそうだ。

以前のレネゲードには設定されていたトレイルホークという悪路走破性を重視した4WDモデルなどと異なり、現行モデルのe-Hybridは都市型SUVともいうべき車種となり、エコやスポーツモードのみならず、滑りやすい路面での発進性や脱出性を重視する駆動制御を行う走行モードスイッチは備えていない。ジープの名を持つクルマなのに意外な思いも抱かせる。しかし唯一、駆動用バッテリーをセーブするためのモードとして「e Auto off」スイッチがあり、深夜早朝など住宅街を静かにEV走行にしたいときに良いだろう。

マイルドハイブリッドだが積極的にEV走行させる制御で省燃費化

JEEP初のマイルドハイブリッドの燃費も含めた実力や新たな魅力を見させてもらおうと、都内から岐阜県高山を抜けてさらに福井県の東尋坊、石川県小松市にある日本自動車博物館などに寄っての往復1000kmを越える試乗してみた。長距離試乗の意義は、さまざまな走行環境を走れることにある。それゆえ高速道路は全走行距離の半分以下に抑え、街中、郊外路、ワインディングまで種々の道を走らせてみた。

ドライバーズシートに座り、思わず笑ってしまうのがセンターの10.1インチタッチパネルモニター。このタブレット型モニターを従来のモニター枠の上にそのまま貼り付けたように見えることだった。しかし、以前のモデルと比較すると、枠は新たに起こしたもので上面にはジープ顔のアイコンを掘ってあるなど「あそびごごろ」も忘れてはいなかった。ナビはアイシン製となり、起動時には「AISIN」のロゴがモニター大きく表示される。

メーターも10.25インチのマルチビューディスプレイを採用したことで、表示項目の自由度が増していること、さらにステアリングも新形状でスッキリさせつつ、ステアリングスイッチの操作性も向上させている。

肝心のハイブリッドの性能と制御は、発表資料では静止から15~20km/h前後までモーターによるEV走行が可能となっているが、実際にはメーター上のバッテリー残量がゼロから数えて5分の2セグメント以上では、穏やかに加速させていくとは約40km/h超までエンジンは始動しない。平坦路での巡航に近い状況では60km/h以上でもEV走行に切り替わるか、その上でコースティング的な制御となることも少なくなかった。

渋滞時や車庫入れなどで、モーターだけで静々と動くe-クリーピングがラクで重宝した。負荷に応じエンジンをモーターでアシストする領域も思ったよりも広く、マイルドハイブリッドといいつつも、モーターの効力をなるべく多く引き出す制御である。

回生ブレーキの制御には慣れが必要だがパドルシフトの使い勝手は良好

ただ、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)との組み合わせゆえに、加減速時の変速によるメリハリ感といった長所がある一方、走行中のエンジンの停止、EV走行への切り替わり、そして再始動といった動きに伴うトルク変動、その際の適切なギアとエンジン回転合わせなどの要素から、どことなく前後Gが揺らぐ動きも伴いがちだ。

ステランティスにおける新世代の直列3気筒1.2Lターボ48Vマイルドハイブリッドエンジン載せるフィアット600Xやアルファロメオ・ジュニアなどにおいても同様の前後の揺動は感知されるところからしても、このシステムとしてある程度許容しているところなのかもしれない。

もうひとつ、フットブレーキの回生協調制御においては、回生域から本来のブレーキへの切り替わりで減速度が急に増しがちなところは、もう少し洗練させたいと思った。

一方で、7速DCTにパドルシフトが与えられていることで、ダウンシフトによるエンジンブレーキと回生による任意の減速度を得やすいことから、コーナー入り口やワインディングなどではもちろんだが、長い下り勾配などで前走車との車間調整などにも活用しやすく、重宝させてもらった。

路面からの大きな入力をいなす高剛性ボディ

乗り心地に関しては、このプラットフォームを採用したフィアット500Xも似た傾向にあったのだが、バネ上(ボディ)の細かな揺れの抑えはあまり得意ではない。このため、視線が上下するような動きを伴いがちなのだが、タイヤサイズが、最近のSUVでは珍しいというべきか、真っ当というべきか、215/60R17と見た目よりも実を取ったエアボリュームをしっかり持たせたサイズを採用。そのため、直接的なショックは小さめなのと、路面のアンジュレーションなどによる直進性への影響も小さく抑えられている。

さらに前席のシート座面は、一見平板ながらも優しいストローク感を伴い、車体の揺れても腰や臀部への負担を軽減することに貢献。このあたりは悪路走行を前提としてきたジープならではの知見、経験が活かされているところだろう。

実燃費はWLTCモード燃費超え!最新JEEPは省燃費性能を確保

肝心の燃費だが、全体としては良好ではあった。しかし、走らせ方で結構なバラつきが生じることも確認した。結果からいうと、1度目の給油が走行606kmに対して39.5L、メーター上の平均燃費が16.4km/Lに対して実燃費15.3km/L、2度目の給油が走行415kmで21.0L、メーター上の平均燃費が18.9km/Lに対して実燃費が19.8km/Lであった。

1度目の給油までの606kmは、高速道路が約200kmで、残り約400kmが一般道(一部有料道路区間)ということからすれば妥当な数値。2度目の給油は、高速道路が約175km、残り約240kmが一般道だったということからしても、WLTCモード燃費の17.7km/Lを大きく凌ぐ優秀な数値だ。なお、ジープでもイタリア生産のレネゲードはハイオクガス指定となる。

ジープは、次期型レネゲードを2027年に発売すると公表しているが、現行型はコネクティビティの面や30km/h以上でしか作動しないACC(オート・クルーズ・コントロール)など、装備面では古さを隠せないところはある。ただ、小さなジープとして存在感を保ち続け、そのくせジープらしくない(?)好燃費はしっかりと実現してきている。動力性能面では不満はない代わりにドライブモード選択も持たず、ラフロードや低ミュー路での駆動制御への拘りも薄れているようにも見受けたが、市場の変化とユーザー特性に合わせ、ジープブランドの在り方をフレキシブルに変えていく意思を感じさせた1台である。

文:Auto Messe Web 斎藤慎輔(SAITO Shinsuke)
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