現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「世界最速のフェアレディZを公道で試す!」中編──連載「西川淳のやってみたいクルマ趣味、究極のチャレンジ 第5回」

ここから本文です

「世界最速のフェアレディZを公道で試す!」中編──連載「西川淳のやってみたいクルマ趣味、究極のチャレンジ 第5回」

掲載 更新 1
「世界最速のフェアレディZを公道で試す!」中編──連載「西川淳のやってみたいクルマ趣味、究極のチャレンジ 第5回」

軽自動車からスーパーカーまであらゆるクルマを所有し、クルマ趣味を追求し続ける自動車ジャーナリスト西川淳氏がスタートさせたチャレンジ企画。タイトル通り、無茶、無謀と思われる究極のクルマ遊びを考案し、それを実践。クルマ好きの、クルマ好きのための冒険連載。今回は世界最速の称号を手に入れた日本人チューナー製作のフェアレディZを公道で試す!

譲れない代わりに「全く同じZを造りましょう」

1980年代に印象的だった日本車CM5選~女優編

JUNオートメカニック(以下ではJUNオート)のボンネヴィルでの活躍は、チューニング系の専門メディアで大々的に取り上げられた。その記事を読んですかさずアクションを起こした男が広島にいた。それが今回の“究極のチャレンジ”に協力してくれたA氏だった。

A氏は若いころに日本海を渡ってほとんど無一文でソ連からフランスまでを鉄道で旅したという、市井の我々からすればほとんど冒険家のような人物だ。のちにクルマにも興味をもち、なかでも速度に魅せられた。速いクルマなら何でも手に入れようとした。今となっては貴重な70年代のレーシングカー、ローラにナンバーを付けて公道をぶっ飛ばしたりもした。スーパーカーの所有経験も豊富で、ミウラにはなんと4台も乗り継いだというから驚く。

そんな彼が日本人チューナーによるフェアレディZのボンネヴィル挑戦に心動かされないはずがなかった。90年の初挑戦で370km/h近くを達成したと知り、A氏は早速JUNオートとコンタクトを取る。A氏は単刀直入に、「ボンネヴィルのマシンそのものを譲ってくれ」と伝えた。結果が全てのA氏にとって、最高速は自ら出すものであり、決してコツコツ造りあげるものではなかったからだ。

ところがJUNオート側には“売れない”事情があった。翌年のボンネヴィルには、同じマシンを改造して出場することになっていたのだ。

どうしたものか。JUNオートの回答もまたシンプルだった。「全く同じZをAさんのために造りましょう」だったのである。A氏もそこまで言われたら納得せざるをえなかった。初めから造るならせめて自分の希望を盛り込んでもらおうと、チューニングのベースモデルをボンネヴィル仕様と同じ赤の2シーターZではなく、黒い2 by 2に変更した。以来、A氏は黒い370km/h仕様Zの性能をとことん楽しみ、世界の高性能マシンが入れ代わり立ち代わりする広島のガレーヂにあって、その黒いZだけはずっと手放さずに現在も所有し続けている。

Rei.Hashimoto安心して踏み抜けるよう万全のコンディションに

本当の物語はここからだ。91年に420km/hを達成した赤いボンネヴィルZはその後しばらくJUNオートに保管されていたが、A氏と同じようにそのままの状態で乗ってみたいという人物が現れた。そこでJUNオートはエンジンを完全に、かつレコードブレーカーと同仕様へとオーバーホールし、保安部品などを再び装着して公認を取得。公道走行可能な状態として新たなオーナーに引き渡している。90年代前半のできごとで、世界最高速を記録したZのナンバー取得は当時の雑誌記事を賑わせた。

そんな赤いボンネヴィルZが三たび我々の前に現れた。2018年1月に開催された「東京オートサロンオークションwith BH auction」だ。結局、オークションでは売買が成立しなかったのだが、それを見たA氏は早速動く。積年の願いを叶えるために……。

こうして赤いZもまたA氏のガレージに、それもクローンというべき黒い2 by 2の隣に並べて、置かれることになった。物語ある趣味のクルマはよく“行き先を選ぶ”と言われている。収まるべきところに収まる、とでも言おうか。2台並んだ最強のZを見て、それは正に真実だと思った。

さほど走らされた形跡のない赤いボンネヴィルZを手に入れたA氏はすぐさまJUNオートにメンテナンスを依頼。くわえて信頼する地元のエンジニアにも託し、安心して踏み抜けるよう万全のコンディションへと蘇らせた。

Rei.HashimotoA氏のガレージにはご覧の通り珠玉のマシンが揃っているが、すべて現役バリバリ。いつでも最高速を試せる状態を維持しているというから凄まじい。

今回、そんな究極のマシンのステアリングを筆者に託してくれることになった。世界最速のマシン、それも日本人チューナーが造り上げた日本車ベースのマシンを公道で試せる機会などそうそうない。これを究極の趣味と言わずして何と言う!

梅雨の始まり。雨模様が続いたなか、その日だけ広島は奇跡的に晴れ上がった。黒いZと赤いボンネヴィルZがガレーヂの奥に仕舞われている。他の素晴らしいマシンも試したい(実はちょっと試してみた。また別の機会に紹介したい)が、今回の主役はあくまでも世界最速のボンネヴィルZだ!

PROFILE
西川淳
軽自動車からスーパーカーまであらゆるクルマを愛し、クルマ趣味を追求し続ける自動車ジャーナリスト。現在は京都に本拠を移し活動中。

文・西川 淳 写真・橋本玲 編集・iconic

こんな記事も読まれています

なんで!? バカ売れ[ヤリスクロス]も樹脂パーツだらけ!! 最近の新車に多いワケ
なんで!? バカ売れ[ヤリスクロス]も樹脂パーツだらけ!! 最近の新車に多いワケ
ベストカーWeb
井戸田潤、メルセデス・ベンツ絶版「Gクラス 320」ショートボディに一目惚れで購入決断!?
井戸田潤、メルセデス・ベンツ絶版「Gクラス 320」ショートボディに一目惚れで購入決断!?
グーネット
履き替えた古いタイヤってどこいくの!?!? 廃タイヤの99%がキチンとリサイクルされている衝撃!! じつは超絶エコだった
履き替えた古いタイヤってどこいくの!?!? 廃タイヤの99%がキチンとリサイクルされている衝撃!! じつは超絶エコだった
ベストカーWeb
総額100万円以下で買える!コスパ+アルファの中古ミニバン5選
総額100万円以下で買える!コスパ+アルファの中古ミニバン5選
グーネット
ショウエイヘルメット、アレックス&マルク・マルケスと2026年まで2年間の契約更新/MotoGP
ショウエイヘルメット、アレックス&マルク・マルケスと2026年まで2年間の契約更新/MotoGP
AUTOSPORT web
ディーラーOPチラシで見る“名車・迷車の魅力”『TOYOTA スプリンター(80系)』
ディーラーOPチラシで見る“名車・迷車の魅力”『TOYOTA スプリンター(80系)』
グーネット
角田裕毅、スプリント予選では痛恨の大スピン。SQ2敗退にも影響「これは僕の責任。受け止めて前に進む」
角田裕毅、スプリント予選では痛恨の大スピン。SQ2敗退にも影響「これは僕の責任。受け止めて前に進む」
motorsport.com 日本版
骨折でル・マンを欠場したコンウェイ、サンパウロでの復帰は未確定。WEC第5戦のエントリーリスト発表
骨折でル・マンを欠場したコンウェイ、サンパウロでの復帰は未確定。WEC第5戦のエントリーリスト発表
AUTOSPORT web
フェルスタッペン、レッドブルの地元で最速! マクラーレン勢が続く。角田裕毅14番手|F1オーストリアGPスプリント予選
フェルスタッペン、レッドブルの地元で最速! マクラーレン勢が続く。角田裕毅14番手|F1オーストリアGPスプリント予選
motorsport.com 日本版
最速はヒョンデのタナク。トヨタは6-7-8番手でスロースタートに/WRCポーランド シェイクダウン
最速はヒョンデのタナク。トヨタは6-7-8番手でスロースタートに/WRCポーランド シェイクダウン
AUTOSPORT web
F1オーストリアGPスプリント予選速報|フェルスタッペンがSQ1~3全てでトップタイムの完全制圧。角田裕毅SQ2敗退14番手
F1オーストリアGPスプリント予選速報|フェルスタッペンがSQ1~3全てでトップタイムの完全制圧。角田裕毅SQ2敗退14番手
motorsport.com 日本版
【MotoGP】プラマック、2024年限りでドゥカティ陣営離脱! 2025年以降はヤマハのサテライトチーム化を発表
【MotoGP】プラマック、2024年限りでドゥカティ陣営離脱! 2025年以降はヤマハのサテライトチーム化を発表
motorsport.com 日本版
[新型マツダ6]は直6ガソリン!? ロータリーエンジンの電動モデルも!? セダン・ワゴン改革が期待大すぎ
[新型マツダ6]は直6ガソリン!? ロータリーエンジンの電動モデルも!? セダン・ワゴン改革が期待大すぎ
ベストカーWeb
マセラティのV6「ネットゥーノ」搭載3車種をイッキ乗り!「MC20」「グラントゥーリズモ」「グレカーレ」の走りの違いは?
マセラティのV6「ネットゥーノ」搭載3車種をイッキ乗り!「MC20」「グラントゥーリズモ」「グレカーレ」の走りの違いは?
Auto Messe Web
ホンダ、新型フリードを6月28日に発売。e:HEV搭載ハイブリッドと1.5Lガソリンで250万円から
ホンダ、新型フリードを6月28日に発売。e:HEV搭載ハイブリッドと1.5Lガソリンで250万円から
AUTOSPORT web
ファッショナブルかつエレガントなメルセデス・ベンツCクラスの新しい4名乗りオープンカー「CLEカブリオレ」が日本デビュー
ファッショナブルかつエレガントなメルセデス・ベンツCクラスの新しい4名乗りオープンカー「CLEカブリオレ」が日本デビュー
カー・アンド・ドライバー
MotoGPオランダ|バニャイヤ絶好調! コースレコード更新でプラクティストップタイム。ビニャーレス2番手で追う
MotoGPオランダ|バニャイヤ絶好調! コースレコード更新でプラクティストップタイム。ビニャーレス2番手で追う
motorsport.com 日本版
ディフェンダーがピックアップトラックに!?ワイルド感あふれるモデルの正体は…?
ディフェンダーがピックアップトラックに!?ワイルド感あふれるモデルの正体は…?
グーネット

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

35.03300.0万円

中古車を検索
フェアレディZの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

35.03300.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村