2023年4月18日、ポルシェは中国上海で開催中のAuto Shanghai 2023において、第3世代カイエンの大幅改良を発表した。ポルシェ自らが「ブランド史上もっとも大規模な製品アップグレード」と評する革新ぶりを、検証してみたい。
高精度な配光制御機能を備えたHDマトリックスLEDを採用
ポルシェ カイエンは2002年、ブランド初のSUVモデルとして誕生した。第3世代となる現行型は、2017年10月にデビュー。2019年にはスタイリッシュなクーペが追加されている。一時はマカンにブランドセールス首位の座を譲ったものの、2022年は再び首位に返り咲くなど、今もポルシェの屋台骨を支える人気モデルであることは間違いない。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
今回、上海モーターショーでお披露目されたのは、その第3世代の大幅改良モデルとなる。デジタル化によるインターフェイスや操作系のコンセプトを進化させるとともに、新しいシャシーテクノロジーや革新的ハイテク技術を盛り込んでいる。
エクステリアでの最大の変更点としては、高精細なHDマトリックスLEDヘッドライトの採用(オプション)が挙げられる。ハイビーム用のふたつの高輝度モジュールをユニット化するとともに、きめ細やかな照射範囲の調整を可能にする3万2768個のLEDピクセルを備えた、革新的なテクノロジーを新たに採用している。
リニアに配光を制御し、対向車のドライバーを眩惑することはない。モジュールの明るさは1000段階以上に調節可能で、さまざまな運転状況での安全性と快適性を向上させるという。
ヘッドライトの変更に合わせて、フロントマスクも新調されている。アーチ型のウイングアレンジはより力強く、新形状のボンネットと相まってより豊かな表情を生む。リアまわりではナンバープレートホルダー一体型の新しいリアエプロンを装備、3Dタイプのテールランプとともに先進感をアピールしている。
さらにカイエンクーペには、約33kgの軽量化となる「ライトウェイトスポーツパッケージ」が用意されるほか、グレードごとに21/22/23インチの幅広ホイールを設定、それぞれにダイナミックな存在感を高めている。
インテリアでは、新デザインの12.3インチセンターディスプレイを備えたPCM(ポルシェコミュニケーションマネージメントシステム)、フルデジタルの12.6インチインストルメントクラスター、そして助手席前に配置された10.9インチディスプレイのコンビネーションがひときわ目を惹く。
操作系に関しても、デジタル化とアナログ化を機能的に使い分けて、スマートなアピアランスと快適なコントロール性を実現している。詳細はこちら「ナビゲーターにも新たな「ポルシェ体験」を提供!新型カイエンの革新インターフェイスを初公開」をご覧あれ。
EV走行レンジの拡大などエフィシエント性能も向上
走行性能のブラッシュアップは、オンロード性能、とくにロングツーリング時の優れた快適性を磨くとともに、オフロード走行時のキャパシティアップを目指している。
リバウンドとコンプレッションの減衰を別系統化した新しいショックアブソーバによって、あらゆるステージでのパフォーマンスを最適化している。とくにピッチ&ロールのサポートを精密制御することで、低速域での快適性を保ちながらも、ダイナミック性能の向上が著しいという。
2チャンバー×2バルブテクノロジーを備えた新しいPASM(ポルシェアクティブサスペンションマネジメント)を装備すると、さらにポルシェらしいドライビングエクスペリエンスを存分に味わうことも可能だ。ドライビングの精度そのものを高め、無駄な動きを抑えた軽快なフットワークが期待できる。ノーマル/スポーツ/スポーツ+のドライビングモードも、味付けの差別化がより明確になっているようだ。
欧州市場向けには3つの異なるパワートレーンが用意される。4L V8ツインターボエンジンに代わる最新の2.9L V6ツインターボは、新しい「カイエンS」に設定。最高出力は従来比+34psの474psを発生、最大トルクも50Nm向上の600Nmに達している。カイエン、カイエンクーペともに、0→100km/hは4.7秒、最高速度は273km/hとなっている。
3L V6ターボ仕様も、それぞれ13ps増の353ps、50Nm増の500Nmを発生した。このユニットは、強力な電気モーターと組み合わせて「カイエンEハイブリッド」にも採用される。最大で176psのアシストを受けて、最高出力は470psまで引き上げられた。
注目すべきは、ハイブリッドモデルのバッテリー容量が、従来の17.9kWhから25.9kWhに拡大されていること。WLTPモードでのEV走行レンジは市街地で77-90kmに達するという。11kWのオンボードチャージングシステムを備えることで、充電速度もポテンシャルが高まるなど、エフィシエント面での性能向上も図られた。
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みんなのコメント
全方位での「重量増」の間違いだろ。