今季のスーパーGT・GT300クラスにおいて、第3戦鈴鹿で勝利を収めて一躍タイトル候補の一角となったD’station Racing。同チームのWEC(世界耐久選手権)プログラムに専念することになったマルコ・ソーレンセンに代わり、第2戦富士から藤井誠暢のチームメイトとしてステアリングを握るのがチャーリー・ファグだ。
25歳のイギリス人ドライバーであるファグは、2022年からD'stationのラインアップに名を連ね、WECに参戦。チームのホームレースである富士戦では3位表彰台を獲得した。そしてスーパーGTではデビュー戦からインパクトを残し、予選ではQ2で最速タイムを記録し、決勝でもファステストラップを刻んだのだ。そしてその翌戦には、ポールトゥウインの完勝でD'stationに勝利をもたらすことになる。
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10代の頃からスーパーGTに憧れていたというファグは、D'stationが2020年以来となるスーパーGT復帰を計画していることを知った時から、同シリーズへの参戦を視野に入れていたという。
「スーパーGTは10代の頃から、緩くではあるけど見ていたんだ。クールだし他とは違うものだからね」
ファグはmotorsport.comに対してそう語る。
「特にGT500マシンが大好きだった。あのようなマシンは世界中を見てもないからね」
「2022年にWECで富士に来たとき、僕にとっては初めての日本だったんだけど、本当にこの場所が大好きになったんだ。その時D'stationから、将来的にはスーパーGTに復帰する計画があると聞いて、その候補に残れたらいいなとずっと思っていたんだ」
「2023年に僕は(FIAのドライバーランクが)シルバーからゴールドになったけど、ゴールドのドライバーが市場に飽和していることもあって、シートを見つけるのは容易ではなかった。だから実はスーパーGTという選択肢を考えていた。ヨーロッパではゴールドとしてのキャリアを歩むのがとても難しい」
「ここでレースをしたいとずっと思っていたけど、藤井さんから電話がかかってきたことで全てが始まったんだ。気付いた時には日本行きの飛行機に乗っていて、岡山でルーキーテストを受けた」
「富士のレースに出られたのは幸運だったし、それが鈴鹿につながった。幸運の連鎖だったよ」
昨年はGTワールドチャレンジ・ヨーロッパとインターナショナルGTオープンに参戦し、後者ではマクラーレン720S GT3をドライブしてタイトルを獲得したファグ。今では将来に関する心配よりもドライビングに集中できる環境となったことから、プレッシャーも少なく、スーパーGTというレースを楽しむことができているという。
「藤井さんは経験豊富で、彼が方向性を決めてくれる。僕がすることはとにかくマシンに乗ってドライブすること。これは良いやり方だよ。僕のインプットは限られている」
「ヨーロッパでは常にマシンの開発を手伝い、インプットをすることが求められてきた。それはかなりのプレッシャーがかかる。『今年は自分のキャリアにとって大きな年になる』と常に考えているから、楽しむことを忘れてしまうこともある」
「今はもっとレースを楽しんでいる。予選の前日にサーキットに行き、チームが与えてくれるものを最大限に生かすだけだ」
今季のスーパーGTはここから後半戦に入るが、藤井とファグのペアは2号車muta Racing GR86 GTの堤優威、平良響組と15ポイント差のランキング4番手。しかしファグは、後半戦にSUGO、オートポリス、もてぎといったこれまで走ったことのないサーキットが登場することから、1年目からチャンピオンを獲ることに集中しているわけではないという。
「開幕戦を欠場して、第2戦はパンクに見舞われたから、タイトルを争うチャンスがあるなんて思ってもいなかった」とファグは言う。
「今年は勉強の年だと思っていた。でもこの選手権では、ひとつでもいい結果が出ればチャンスは復活するし、僕たちは今4番手だ。とはいえ、まだすべてが始まったばかりだと思うので、チャンピオンシップのことはまったく考えていない」
また今後の目標について尋ねると、ファグはスーパーGTに長期的にとどまり、いつかはGT500にステップアップするチャンスがあることを望んでいると明言した。
「ここで確固たる地位を築きたい。成功する外国人ドライバーのマーケットという点で付け入る隙があると思う」
「スーパーGTではそもそも、チャンスを得るのが一番難しい。今はここにいて足場を固め、とどまり続けられればと思う」
「D'stationと共にしばらくレースを続けて、GT300のタイトルを獲りたいと思っているけど、最終的な夢と目標はGT500なんだ」
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