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ポルシェ・カイエン E-ハイブリッドへ試乗 「肉汁」たっぷりか、ビーガンか V6ターボのプラグインHV

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ポルシェ・カイエン E-ハイブリッドへ試乗 「肉汁」たっぷりか、ビーガンか V6ターボのプラグインHV

ガソリンを燃やさず最長88km走れる

突然だが、筆者が選べるなら「S」にするだろう。でも、早合点しないで欲しい。ポルシェ・カイエン E-ハイブリッドは、素晴らしいSUVだと思う。

【画像】「肉汁」たっぷりか、ビーガンか ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド 競合SUVと比較 全133枚

全力ダッシュを求めれば、178psの駆動用モーターが3.0L V6ターボエンジンのトルクを補い、4.0L V8ツインターボに負けない勢いが放たれる。しかし、ハイブリッドのパワートレインが、それを超える興奮や賑やかさを与えることはない。

英国では一般的な、会社からの貸与車両として乗る場合、プラグイン・ハイブリッドは税制面で優遇される。とはいえ、本当に納税額を減らしたいなら、バッテリーEVを選んだ方が間違いない。

スペック表の燃費は、55.5-66.7km/Lと優秀。現実的には、丁寧にアクセルペダルを傾けても、平均で11.0km/Lを超えることは難しいのだが。

それでも、25.9kWhの駆動用バッテリーを搭載し、最長88kmまでガソリンを燃やさず走れると主張される。少し甘く算出された数字ではあるが、確かに望ましい能力だ。市街地を静かに走り抜けるのは、気持ちがイイ。

小型犬を散歩させていたご婦人は、車重2445kgの大型SUVが賑やかに接近するのを目にし、少し不満げだった。そんな時は、ステアリングホイール上のボタンを押し、エレクトリック・モードへ切り替えるのが良い。ノイズで、気分を害することはなくなる。

快適な乗り心地 シームレスなハイブリッド

そのまま、ハイブリッドとスポーツ、スポーツ+の各モードも選べる。試乗車にはアダプティブ・ダンパーが組まれ、車高も変化していた。最も走りに積極的なモードでも、カイエン E-ハイブリッドの乗り心地は落ち着いている。

サスペンションの設定をコンフォートにすれば、21インチ・アルミホイールを履いていても快適。多くの大型SUVと同じように、傷んだ路面を処理してくれる。

回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替わりは滑らかで、効き具合を予想しやすい。5分も運転すれば、カーブへの侵入時のブレーキングポイントを、詰めていける。

交差点の停止線へ、ピタリと1発で止めることも難しくない。プラグイン・ハイブリッドの場合、これが簡単ではないモデルも少なくないと、AUTOCARの読者ならご存知だろう。

8速ATは、ステアリングホイール奥のシフトパドルで、素早く操作できる。マニュアル・モードを解除すれば、内燃エンジンと電気モーターをバランス良く協調させるという、見事な仕事ぶりも披露する。

ハイブリッド・モード時は、非常にシームレスにパワートレインが切り替わる。駆動用モーターで走り始めると、知覚できないほど静かにV6エンジンは停止する。電気自動車のように走れる。

ステアリングホイールの反応は、ドライブモードによって大きく変化。細めのリムへ、正確で明確なフィードバックが伝わってくる。

シフトセレクターは小さなスイッチに

スポーツ+モードを選ぶと、トラクション・コントロールの介入が控えめに。僅かに、後輪が主体の特性を感じ取れる。

思い切り運転しても、駆動用バッテリーは走行中にV6エンジンの余力で充電可能。再び散歩するご婦人と出くわしても、一定の充電量は保たれているから、静かに住宅地を通過できる。

さて、大規模なフェイスリフトを受けたカイエンだが、インテリアにもだいぶ手が加えられた。ドライブモード・セレクターは、そのままだけれど。

助手席正面のダッシュボードには、オプションでタッチモニターを追加できるようになった。ドライバーからは表示内容が見えない賢い設計で、気分次第でネット動画も楽しめる。ラップタイムの確認も可能だ。

センターコンソールにあったシフトセレクターは、ドリンクホルダーとスマートフォンのワイヤレス充電パッドのために移動。メーター用モニターの横から突き出た、小さなトグルスイッチになった。

従来的なシフトレバーが懐かしい。指先でカチカチとするより、手のひらで握って腕を動かした方が、操っている満足感は高い。

ちなみに、上に倒すとリバースで、下に倒すとニュートラル。下方へ長く倒し続けると、ドライブとマニュアルへ切り替わる。スイッチ自体はローレット加工が施され、高級感があるが、周囲のフレームはプラスティック製で安っぽく見えた。

有能なビーガン・ミートボール

今回試乗したカイエンはクーペだったが、荷室の容量は434L。ワゴンボディのカイエン E-ハイブリッドより193L狭まる。駆動用バッテリーが載らない通常のカイエンと比べると、338L狭い。

傾斜したルーフラインの影響で、後方視界は限定的。ブレーキをかけると、85km/h以上で展開されるアクティブ・スポイラーが動き、更に死角が広がる。2000ポンド(約37万円)も高いクーペボディを選択するのだから、これは納得のうえだと思うが。

カイエン E-ハイブリッドは、有能なSUVだ。ただし、通常のV8ツインターボを肉汁たっぷりのミートボールだとすれば、V6プラグイン・ハイブリッドはビーガン・ミートボール。本当の美味しさを、堪能できるわけではない。

確かに、走行時の環境負荷は抑えられるかもしれない。だが筆者が選ぶなら、カイエン Sということになる。

執筆:マレー・スカリオン(Murray Scullion)

ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド・クーペ(英国仕様)のスペック

英国価格:8万1900ポンド(約1523万円)
全長:4930mm
全幅:1983mm
全高:1678mm
最高速度:254km/h
0-100km/h加速:4.9秒
燃費:55.5-66.7km/L
CO2排出量:33-42g/km
車両重量:2445kg
パワートレイン:V型6気筒2995cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:25.9kWh
最高出力:476ps/5300-6400rpm(システム総合)
最大トルク:66.1kg-m/1340-5300rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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みんなのコメント

1件
  • nta********
    「しかし、ハイブリッドのパワートレインが、それを超える興奮や賑やかさを与えることはない。」

    日本でV8、4.0Lのエンジンパワーを発揮できる公道はあるのか?静かに走るのが基本。
    身の丈に合った記事求む。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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