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【新型を欧州で試乗】 BEV版とICE版の新型シトロエンC3 ヒット作の次はどんな戦略で?

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【新型を欧州で試乗】 BEV版とICE版の新型シトロエンC3 ヒット作の次はどんな戦略で?

べつに可愛げだけでヒットしたワケではないけれど…

グローバルで560万台、日本でも1万台超のヒット作となったシトロエンの現行C3。

【画像】シトロエン新型C3の写真をみる 全140枚

モデル末期となった今も販売ペースは安定しているそうで、おそらく完全に新型C3へと移行するまでに600万台の大台にのりそうな気配があるとか。

日本市場ではシトロエンの上陸以来、インポーター間の統計を確認したわけではないが、単独モデルとして最大のヒット作だったはずだ。

だから新型C3のティーザー画像が流れ始めた時、ずいぶんとデザインが雰囲気ごと変わったことに戸惑った人も少なくないだろう。筆者もその一人で、平たくいってパッと見に「可愛げがなくなった」気がした。

二つ目の心配ごとは、そのSUVアティチュードというか、もうハッチバックとはいえない背高スタイルだ。後に続く兄弟的派生モデル、新しいC3エアクロスが7人乗りでピープルムーバー化することで、棲み分けについてはまぁ納得がいったが、SUVブームの流れを追いかけているような気がしたのだ。

三つ目の心配は「スマートカープラットフォーム」という、初出のプラットフォームを採用した点だった。現行C3はPF1に基づき、208やDS 3といった兄弟モデルが使うCMPとは異なる旧いプラットフォームゆえの適度な緩さがあったと思う。

後に現地で認識不足だったと分かるのだが、世代的にはCMPに電装系モジュールをコンパクト化してネーミングを変えたか?! ぐらいに見くびっていた。

ところが今回の国際試乗会ですっかり杞憂ごとは瓦解し、とことん納得がいった。あまつさえ魅了されてしまった、とさえ白状しておく。

写真で見るよりユーモアとウィットに富んだデザインと佇まい

試乗会の舞台は五輪前のパリの混乱を避けつつ、新型C3が生産されるスロヴァキアのテルナヴァ工場からも遠くないオーストリアだった。

実車と対面してまず感じたのは、オンライン画像で見るより真面目くさった雰囲気でもないこと。先代より明らかにボールド・スタイルだが、意外とファニーな雰囲気なのだ。細い水平ブロック×2と内側にややワイドな垂直ブロックを組み合わせた新ライトシグネチャーは、いかにもハイテク感がある。

エクステリア担当デザイナーのシルヴァン・アンリ氏が「グレーディング」と呼ぶ、斜め線ストライプの表面加工や造形は、フロント開口部からリアのガーニッシュやフェンダーまで、新型C3の「ライトモチーフ」といっていい。

見る角度によって手前半分が開いて、奥半分が閉まって見えるため、柄として煩くない。それでいてフロントグリルからリアガーニッシュまでほぼ水平な線として1周する肩口のラインは、潜在的にボディを上下に分けて小舟のように小さく、クラシックに見せる隠れディティールでもある。

‘C-ZENラウンジ’と呼ばれるインテリアも同じく水平基調で、ダッシュボードの意匠に2CVの余韻を認めない訳にいかない。

その下段にはファブリックが張られる一方で、メーターパネルはドライバー正面から最奥位置に備わり、プジョーのi-コクピットのようにステアリング上から視認することになった。

逆に頭上を走るルーフ補強はどこか2CVを連想させるが、10.25インチのタッチスクリーンなど、古典とモダンの絶妙なミックス内装といえる。

BEVの乗り心地はもはやBセグ基準としてはビヨンド体験

まだ市販前のプリプロ版ながら、83kW(113ps)のBEV、ついで1.2Lターボのピュアテック100のICEを走らせてみた。アドバンストコンフォートのシート&サスペンションが採り入れられ、Bセグとして快適性は突き抜けたレベルにある。

柔らかさやストローク量の多さで驚かすタイプの足まわりではないが、お馴染みPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)ダンパーが踏切やパッチ舗装の県道を70~100km/h域で駆け抜けても、サイクリストに囲まれて狭く荒れた道路を徐行するにも、1416kg(欧州発表値)の車体の動きを、ひたすら滑らかに受け止め続ける。

大げさでなくそれは「ハーシュネス・ゼロ」の世界で、低速域でかくも揺さぶられストレスのないBEVは初めてだ。加えてクルーズ中の落ち着きや静けさも、Bセグの車を走らせているとは体感的に信じがたいほどだ。

トルク感は必要十分、電気にしては控えめだが、重いマスを無理やり加速させるより、意外と息の長い加速をする。これは中低速域が太いICEのMT6速仕様よりも顕著なほどで、やはり1.4トンはBEVでは軽量級なのだ。

小さな動力源を優しく回して走らせていると、先に述べたようなインテリアの意匠もオーバーラップして、BEVなのに2CVのような感覚、少なくともその延長線上にあることに気づく。

ちなみに今回、MT仕様に用意されたブルー・モンテカルロとホワイトのツートンは、昔日の2CVからインスパイアされた外装色とのこと。無関係どころか、BセグEVの魅力化は今や、欧州車の本気なのだ。

試乗車のスペック

シトロエンe-C3(欧州仕様)のスペック

全長:4015mm
全幅:1755mm
全高:1577mm
最高速度:135km/h
0-100km/h加速:10.4秒
航続距離:326km
電費:5.7km/kWh
車両重量:1416kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:43.7kWh(実容量)
急速充電能力:100kW
最高出力:112ps
最大トルク:12.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

シトロエンC3 ピュアテック100(欧州仕様)のスペック

全長:4015mm
全幅:1755mm
全高:1577mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:10.6秒
燃費:17.8km/L
CO2排出量:126-127g/km
車両重量:1151kg
パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:100ps/5500rpm
最大トルク:20.8kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速マニュアル(前輪駆動)

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みんなのコメント

5件
  • xtr********
    ステランティス化の弊害
    コストかけないバッジエンジニアリング
  • sor********
    あまりヘンでない(見た目あるいはメカでも)
    →旧シトロエンファンからは不評w…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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