2021年7月19日にトヨタの新型アクアがいよいよ発売となって早1ヶ月。旧型との比較も踏まえながら、その進化の度合いを今一度振り返ってみたい。
なぜ「B」グレードだけ従来のニッケル水素電池となったのか? など、数々の疑問をぶつけたチーフエンジニア・鈴木啓友氏への一問一答も掲載!
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●新型アクアのラインナップと価格
・B…2WD/198万円、4WD/217万8000円
・X…2WD/209万円、4WD/228万8000円
・G…2WD/223万円、4WD/242万8000円
・Z…2WD/240万円、4WD/259万8000円
※本稿は2021年7月のものです
文/ベストカー編集部 写真/TOYOTA
初出:『ベストカー』2021年8月26日号
【画像ギャラリー】ボディカラーは全9色! 数々の装備とともに新型アクアをギャラリーでチェック!
■超キープコンセプト!? な見た目に秘められた新型アクアの進化
パッと見、新旧見分けがつかないかもしれない。アクアのモデルチェンジは、エクステリアデザインだけを見れば、超キープコンセプトだ。
10年前に登場した初代アクアだから、デザインの新鮮度はいまだ失われていないということだ。これって凄いこと。
搭載されるパワーユニットはヤリスハイブリッドと同じ直3、1.5Lハイブリッドだが、よりEV走行領域を拡大し、上質なドライブフィールを実現している
2011年にデビューの先代型アクア。古さを感じないデザインだ。フロントマスクの印象が似ている
全長は旧型と同寸の4050mm、全幅1695mm、全高はプラス30mmの1485mmでホイールベースは50mm延長された2600mmという車体サイズ。見た目の印象は大きく変わらない。
徹底的に燃費性能を追求した初代に対し、2代目となる今回の新型は燃費はもちろんだが、それ以上に優れたドライバビリティと、あらゆるドライバーが安心して、安全に運転できるクルマであることを大切に開発されたという点で、初代のコンセプトを活かしながら、さらに高い目標を掲げたクルマと言っていい。
新型のリアビュー。ホイールベースが50mm延長され2600mmとなったが全長は4050mmで変更なし。全高はプラス30mmで1485mm
旧型。新型はサイド後方のラインがより躍動的になった印象がある
開発リーダーの鈴木啓友チーフエンジニアは「国民車みたいな存在にしたい」と目標を語った。
パワートレーンはヤリスハイブリッドと同じ、直列3気筒1.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドで、エンジン、モーターともにスペック的にはまったく同じ数字となっている。
しかし、ポイントは新開発された「バイポーラ型ニッケル水素バッテリー」で、大容量化が可能で、同じスペースでヤリスハイブリッドのリチウムイオンバッテリーよりも高出力を得られるという。
新開発されたバイポーラ型ニッケル水素電池により、大容量を実現。モーター走行領域を拡大できた
パーキングブレーキは足踏み式。シフトは電制タイプを採用する
これにより、モーターの使用領域を拡大することができ、瞬発力のあるトルクレスポンスと、スムーズな加速感を実現するとともに、燃費も旧型に対し20%引き上げた。
運転支援メカも充実しており、全速度対応ACC、レーンキープアシストなどが全グレード標準装備なのはもちろんのこと、ブラインドスポットモニターや自動駐車システムなどをオプション設定する。
価格は最廉価の「B」が198万円、売れ筋となりそうな「G」が223万円。旧型よりチョイ価格アップだが、内容を考えれば充分納得だ。
■ヤリスと主要諸元を比較!
最後にヤリスハイブリッドと主要諸元(スペック)表を比較。全幅やエンジン、サスペンションは同じ。
2台の間で悩む買い手としては、アクアのほうが50mm長い全長や2.2km/Lの燃費の差(ヤリスに軍配)、取り回しという意味での最小回転半径(アクア5.2m、ヤリス4.8m)、後席の広さ、そして同グレードにおける10万円というの価格差をどう考えるかが購入の決め手となりそうだ。
●アクアG
・WLTCモード燃費:33.6km/L
・全長:4050mm
・全幅:1695mm
・全高:1485mm
・ホイールベース:2600mm
・車両重量:1130kg
・最小回転半径:5.2m
・エンジン:直列3気筒DOHC、1490cc
・最高出力:91ps/5500rpm
・最大トルク:12.2kgm/3800-4800rpm
・モーター出力/トルク:80ps/14.4kgm
・サスペンション:ストラット/トーションビーム
・タイヤサイズ:185/65R15
・価格:223万円
●ヤリスハイブリッドG
・WLTCモード燃費:35.8km/L
・全長:3940mm
・全幅:1695mm
・全高:1500mm
・ホイールベース:2550mm
・車両重量:1060kg
・最小回転半径:4.8m
・エンジン:直列3気筒DOHC、1490cc
・最高出力:91ps/5500rpm
・最大トルク:12.2kgm/3800-4800rpm
・モーター出力/トルク:80ps/14.4kgm
・サスペンション:ストラット/トーションビーム
・タイヤサイズ:175/70R14
・価格:213万円
■ヤリスとの最大の違いは「高級感」
新型アクアは月販目標9800台と超強気。このカテゴリーには各社強力なモデルを用意しており(ノート、フィット、スイフト、そして同門ヤリス)、激戦市場ではあるが、トヨタには(もちろん先代アクアの巨大な既納ユーザー市場があるという理由が大きいが)「月販約1万台は売れる」という自信があるようだ。
その自信の根拠はどこか。正式発表発売は2021年7月21日だったが、編集部ではそれに先立ち、新型アクアのチーフエンジニアであるトヨタ自動車の鈴木啓友氏から広報レクチャーを受けたので、その取材内容を整理してお伝えいたします。
──新型アクアの「ウリ」はどのようなところか?
従来型の電池と比較してコンパクトで高出力な性能を持つ新開発の「バイポーラ型ニッケル水素電池」を搭載していることです。また、災害時など、万が一の際に役立つ給電機能を全車に標準搭載していることです(これまでのヤリスやカローラスポーツはすべてオプション設定)。コンセントが実装されているので、もし停電してもスマホの充電などが可能となります。
──新型は「B」グレードだけ従来のニッケル水素電池となるがその理由は?
新型のバイポーラ型電池の利点は、従来型に比べて一気に出力を出せるところにある。多くのシーンで優れたパフォーマンスを発揮できるが、ややコストが高い。いっぽうアクアにはビジネスユースもある。「B」グレードを選ぶユーザーの皆さんにはビジネスユースが多く、パフォーマンスよりもコストダウンを求める声が多い。そうしたニーズに答えるかたちとなりました。
──ヤリスとの位置づけの違いは?
新型アクアとヤリスは、サイズはほぼ同じで、カテゴリーが近いのは確か。ただこのカテゴリーは需要が大きく、トヨタはそこに2車種用意したということです。
そのうえで、ヤリスはやはり操る楽しさ、操作性、走るよろこびを追求したモデルといえるでしょう。いっぽうアクアのユーザーは、より大きく高級なモデルからのダウンサイザーが多い。そのぶん同クラスと比べて「上質さ」や「洗練された雰囲気」を求めるユーザーが多いと思っており、そうした需要に答えるモデルだと考えています。
新型アクア
──今回新型アクアが採用した「快感ペダル」とは、先行する某ライバルの「ワンペダル」を意識したものか?
もちろん競合車はすべて研究しました。日産さんのノートe-POWERのワンペダルはすばらしい性能。それに負けないものを作りました。操作性や同乗者へのフィーリングはかなり研究して、開発資源を投入し、よいものができたと考えています。日産さんとの(性能的な分かりやすい)違いは、アクアの場合は(アクセルオフだけでは)完全停止まではしません。
●将来の商品計画については…?
──新型のバイポーラ型電池はこれから他のハイブリッド車にも展開するか?
将来の商品計画についてはお話できないが、優れたものであるならもちろん他製品に展開していきます。ただ、どのモデルにどういった電池を搭載するかは、そのモデルの性格やサイズ、市場によって変わるので、いちがいには言えません。
──2021年7月19日に発表発売するのは日本のみか? アクアは国内専用車と考えてよいか?
2021年7月19日に発売するのは日本だけです。将来の商品計画についてはお話できませんが、海外での発売は当面予定していません。
──先ほど「ヤリスは走る楽しさ、アクアは上質感」と言ったが、どちらもTNGA-Bプラットフォーム、どちらもトーションビーム。走行フィーリングにそれほど違いは出ないのでは?
デビューして販売店に試乗車が用意されたら、ぜひ乗り比べてほしいです。先ほど申し上げたように、バッテリーの性格の違い、一気にたくさん出力できることで、走行の質は大きく違います。具体的に言うと、アクアはEV走行領域が広い。40km/hくらいまでEVのみで走る。またアブソーバーの味付けも大きく違う。アブソーバーに使っている部品はレクサスで使うような部品を使っています。
──客室を広げたことで先代より荷室が狭くなっているのでは?
比べてもらえばわかりますが、狭くなっているということはありません。ホイールベースを50mm伸ばしてバンパーを縮めた関係で、客室も荷室も広くなっています。
50mm延長されたホイールベースにより、後席足元は従来型に対し20mm拡大。ヤリスに比べると50mm広く、後席使用頻度が高いならアクアが有利だ
アジャスタブルデッキボード ※写真はZ・2WD
──どんなクルマを目指して作ったか?
ひと言でいえば「国民に愛されるクルマを作りたかった」。このあたりのサイズは、カッコよくしようとしたり、使い勝手を向上させようとすると、どうしてもボディを大きくしたくなる。そこをこらえて、決められたサイズ、日本の道で使いやすいサイズのなかで出来ることを全力でやった。だからこそこのデザイン、このパッケージングになっている。ぜひ実際に乗ってみて、そのことを感じてほしいです。
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みんなのコメント
にしても、アンチトヨタの書き込みは醜いね。ここでいかにネガコメ書き込もうが、良いと思う人が多ければ売れるし、そうでなければ売れない。販売実績で証明されるでしょう。
多分ヤリス行こうと思ってたがアクアにするての多いと思うよ