■先代のコンパクトさや日本の道路事情に配慮し「特別仕様」で誕生した国内向け「カローラ」
トヨタ「カローラ」は、2022年10月3日に一部改良を実施しました。ほぼ同じタイミングで、欧米などでも相次いで改良版の2023年モデルが発表されています。
ところが国内向けと比べ、外観のデザインなどが異なるようです。同じカローラを名乗りながら、欧米向けはなぜ違うのでしょうか。
カローラ(カローラ セダン)の北米仕様は10月18日に一部改良を実施し、車体前後のデザインをリニューアルしています。
フロントまわりは、日本仕様とグリルまわりの形状なども大きく異なりシャープな印象。
フェンダーの形状などもワイドで、よりスポーティでスタイリッシュな姿に映ります。
これは欧州仕様などもほぼ共通のデザインとなっています。
初代モデルが1966年に誕生して以来、世界150以上の国と地域で累計5000万台以上が販売されてきたトヨタの世界戦略モデルのカローラですが、これまで国や地域に応じた多彩な仕様が設定されていました。
しかし2019年にデビューした12代目となる現行型カローラは、世界共通のグローバルモデルとして、新世代のTNGA(Toyota New Global Architecture) GA-Cプラットフォームをベースに、いちから開発されています。
現行型カローラ セダン(北米仕様)のボディサイズは次のとおり。
全長182.3インチ(約4630mm)×全幅70.1インチ(約1781mm)×全高56.5インチ(1435mm)、ホイールベース106.3インチ(約2700mm)です。
一方、それまで日本で売られていた先代カローラ セダン(11代目「カローラ アクシオ」)は日本独自仕様でした。
ボディサイズは全長4400mm×全幅1695mm×全高1460mm、ホイールベース2600mmで、国内の5ナンバー規格に収まるコンパクトな寸法となっています。
フルモデルチェンジを機に、全長で230mm、車幅で85mm以上もの拡大を実施することは、さすがにユーザーにとっても受け入れがたいのではと考えたトヨタでは、国内専用モデルを開発することにしたのです。
使用される新プラットフォームや基本的なデザインコンセプトは世界共通ですが、全長、全幅、ホイールベースを縮小。
その結果、日本仕様の12代目カローラ セダンは、全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mm、ホイールベース2640mmと、全体にひとまわりコンパクトなボディとされました。
単にサイズを少しずつ小さくしただけではありません。
ドアミラーの形状や取り付け位置、ドアの開口角度を工夫し、ミラー格納時の車幅やドアの開け幅を、従来型のカローラ アクシオと同等にしています。
最小回転半径もカローラ アクシオと同等とするなど、日本仕様のカローラは、国内の道路事情にあわせ細部に渡り配慮された特別仕様としました。
フロント正面に備わるエンブレムも、グローバルモデルがトヨタのロゴマークなのに対し、日本仕様は独自のカローラエンブレムである「Cマーク」が備わっています。
さらに11代目カローラのカローラ アクシオと、ワゴン版の「カローラ フィールダー」もグレードを縮小しながら継続販売し、サイズ拡大に抵抗を持つユーザーのニーズにも応えているという念の入れようです。
こうした日本への優遇ぶりを振り返ってみると、日本版の特別な姿もまた違って映るかもしれません。
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