なんじゃ、このド派手なクルマは!! 東京オートサロンに出品するカスタムカーか!? ……と思ったが、実は「石焼き芋販売車」(←マジか~!)。 しかも、初代センチュリー(1990年登場のVG45型)がベース。冬の風物詩・石焼き芋を売るクルマを、なぜかくもインパクト絶大なものにしたのか、オーナーさんへ直撃じゃ!
文:ベストカーWEB編集部/写真:Rino Kawasaki、おおさかカンヴァス2016 主催:大阪府(ポン菓子カーと太陽の塔の写真)
全長約6mの初代センチュリー参上!! 超ド派手なカスタム仕様で売っているのは「イモ」ってマジ!?
■「芸術の表現として石焼き芋を販売しています。初代センチュリーで」
うおおおおお! これが初代センチュリーをベースにした「石焼き芋販売車」。デコレーショントラックをイメージした芸術表現のひとつだそうだ
一度見れば脳裏にビタッと焼き付いてしまうド派手なセンチュリー石焼き芋販売車。このクルマで焼き芋を売っているのは、木崎公隆さん(44歳)と山脇弘道さん(40歳)のおふたり。
2010年から、大阪府を拠点に日本各地のイベント会場や街中などに出没し、石焼き芋を売っているという。移動はもちろん自走で! 今回、担当記者は運よく木崎さんとアポが取れ、いろいろと話をうかがうことができた。
まずは、なぜ石焼き芋販売を始めようと思ったのか。そこが知りたい。
「私は現代美術家でして、その芸術の表現として石焼き芋を販売しています。社会彫刻という概念のなかでの、実態のある作品とパフォーマンスが一体化した表現が石焼き芋屋さんということですね」と。ふむ。やや難しい部分もあるが(汗)、芸術表現のひとつ、というワケだ。
「石焼き芋屋さんはつい副業と言っちゃいますけど、大きく捉えるとこれも本業になりますね」と付け加えてくれた。
■陸運局の人に「何を企んでいるんだ?」と怪しまれた(笑)という
真横も迫力ありすぎ! マ、マフラーには参りました~。写真左が今回取材させてもらった木崎公隆さん。右は木崎さんのお仲間の山脇弘道さん
そして、木崎さんたちが創作した現代美術の作品のひとつが、センチュリー石焼き芋販売車。なんたる圧倒的出で立ち! 名前は「金時」(Kintoki)。
全長5800×全幅1900×全高2700mmと、ベースのセンチュリーよりかなりデカいのは見てのとおり。ルーフやリアの「盛り方」が凄すぎで、マフラーには「参りました」と言うしかない(笑)。
「イメージはデコレーショントラックですね! そもそも改造車は違法ですから、改造車にならないデコトラ仕様にするにはどうすればいいかと考え、すべて荷物(サツマイモや薪などの道具一式)として積むという方法をとっています」と木崎さん。
それに関する法律は、車両全長の10%までははみ出てもいいなどがあり、陸運局に何度も通って確かめたという。
「陸運局の人に、条件さえ守ればなにをしてもいいんですよね? と確認しました。相手は『何を企んでいるんだ?』と怪しんでいる感じでしたけど(笑)」
……という経緯を踏み、センチュリー石焼き芋販売車「金時」は無事完成!
■石焼き芋販売車に初代センチュリーを選んだ「理由」が凄い
でもなぜ、初代センチュリー(VG45型)を石焼き芋販売車にしたのだろうか?
「最高峰の日本車である必要があったからですね。現代美術というものは西洋の美術で、アイデンティティーをかなり重視します。石焼き芋販売車もデコトラの発想も、センチュリーも、日本の文化や思想が反映されています。そこにアイデンティティーを感じたので初代センチュリーを使いました」。なるほど、深い……。続けて木崎さん。
「最高峰のセンチュリーで、最高級のブランド芋(「なると金時 里むすめ」)を焼くことが最高の作品になるのではと考えました。VIPが座る後席に芋と薪が乗っている、というのもちょっとおもしろいかな……」と木崎さん。
■トランク部で芋を焼く。お値段は1個600円から800円ほど
トランク上に焼き釜などを設置し、ここで芋を焼く。マフラーから流れ出る煙が情緒あふれますね~
では、センチュリーのどこで芋を焼くのだろうか……。上写真を見てわかるが、トランク部分に焼き釜と、その上に石焼きスペースを設置。使う石は焼き芋に適した那智黒石の三分というものを使うなど、おいしさへのこだわりもハンパなし。
ちなみに、料金は芋のサイズで変わり、1個600円から800円ほど。一日で最高150本売れることもあるという。凄い。
木崎さんのセンチュリーは1994年式と、2024年でちょうど30歳を迎える。近い将来、現行センチュリーを石焼き芋販売車にする計画はないですか? と木崎さんへ投げたら、「面白いアイデアかもしれませんが、何本芋を焼けばペイできるでしょうかねぇ(笑)」と笑うしかないという感じだった。
■こっちもかなりのインパクト! ハイラックスのポン菓子カー
木崎さん、山脇さんは「ポーン!」という強烈な音とともに飛び出るポン菓子カーも作り、活動中。ハイラックスの荷台にあるのがポン菓子機だ(写真:おおさかカンヴァス2016 主催:大阪府)
実は木崎さん、もうひとつ食品を販売するクルマを所有している。それはポン菓子カー。名前は「穀」(Tanatsu)で、2016年から稼働しているクルマだ。
米国トヨタ製のハイラックス(1990年代のモデル)をベース車両に、荷台部分にポン菓子製造機を設置。なぜ、ハイラックスにしたのだろうか。
「ポン菓子カーを思いついた2015年頃、ISIS(イスラム国)が世界で猛威を奮っており、旧型ハイラックスに銃兵器を積んだ民兵用の戦闘車がよく映像で流れていました。ハイラックスは壊れにくいので、そういう用途で使われていたというのは皮肉なものだと感じました」と木崎さん。
映像で見た戦いに使われる同タイプのハイラックスを、「楽しさ」につながるポン菓子機を搭載したクルマにする、という思いで「ハイラックスのポン菓子カー」が誕生。荷台に搭載しているのは銃兵器ではなく、懐かしさとおいしさを生むポン菓子機だ。このクルマもイベントなどの会場で稼働しており、人気者という。
2024年は初めて九州にも進出。4~6月、大分県の大分駅「ガレリア竹町商店街」の入口で今回紹介した2台をはじめ、木崎さんの作品(住むことができる船もある!)が展示されるという。ド派手な実物を見たい方はぜひ足を運んでくださいませ!
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みんなのコメント
目立ったモン勝ち
十分面白いと思います