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車のお国柄、健在!? 日本車と欧州車 現行車にみる各国車の味

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車のお国柄、健在!? 日本車と欧州車 現行車にみる各国車の味

 全国が三百余藩に分かれていた江戸時代は、お国ごとに個性あふれる文化があった。欧州はその拡大版と見るのがわかりやすい。国境があって違う言語をしゃべる人たちがいて、それぞれ異なる文化がある。だからこそ、車にもイタリア、フランス、ドイツとそれぞれの“味”がある。では、日本車“らしさ”は何? 今、売られている現行モデルのなかから最も象徴的な1台を例に出しつつ、各国の車らしさを考える。

文:鈴木直也/写真:編集部、Renault、citoroen

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“お国柄”色濃かった欧州車に起きた変化

1972年に発売され、ベストセラーになったルノー 5(サンク)。日本では1976年から販売された。現在のクリオ(日本名:ルーテシア)が後継モデルにあたる

 しかし、1990年の冷戦構造崩壊が、欧州にとって明治維新に匹敵する変化をもたらす。ベルリンの壁が破れ、中国が世界経済に参加すると、もはや鎖国状態ではどんな国も立ち行かない。グローバル化の大波が小さな国の文化をどんどん侵食しつつあるのが今の状況だ。

 そんなグローバル化の荒波を、いちばん最初に受けたのが自動車だった。

 昔から欧州の自動車大国といえば英仏独伊の4カ国だが、1970年代あたりまではそれぞれの国ごとに個性がくっきり分かれていてた。

 英国はロールスロイス、ジャガーに代表される高級車とミニやライトウェイトスポーツ。フランスはシトロエンに象徴されるアヴァンギャルドな技術とデザイン、そしてルノー 5などのおしゃれなコンパクトカー。

 ドイツはもちろんアウトバーンを背景としたベンツ、BMWなどの高性能サルーンと、ご存じポルシェ。イタリアは個性あふれるデザインのフィアット・アルファロメオや、みんなの憧れフェラーリ・ランボルギーニ……。

 各国それぞれ、自国市場を中心とした商売をやっているのなら、これで別によかったわけだ。

 ところが、主要国がEUで統合され、各種規制が共通化されたり物の流通が容易になると、勝ち組・負け組が明確になる。

シトロエンにみるドイツ車的価値観の隆盛

2005年に登場したシトロエンC6。独自のハイドロサスペンション採用をはじめ、フランス車らしさを色濃く残した車の象徴だった

 ここで勝利を収めたのが、ドイツ車的な価値観。すなわち、アウトバーンを高速で突っ走る動力性能とスタビリティ、精密感のあるボディ剛性や質実剛健なインテリアなどの魅力だ。

 EU統合やそれに続く単一通貨ユーロの誕生によって、EU域内でドイツ製高級車がものすごく買いやすくなったことをキッカケに、欧州全域で「ドイツ車いいじゃん!」というブームが起きる。

 これが、ドイツ以外の車に、自動車メーカーに、大きな影響を及ぼした。少なくとも、ミドルレンジ以上の車は、ドイツ車的なデザインや走行性能を備えていないと商売にならなくなったのだ。

 象徴的なのは、シトロエンのC6とC5の違いだろう。C6は昔ながらのフランス車風味があってマニアには好まれたが、一定数以上の数を売ろうとしたらドイツ車風のC5を作らざるを得ない。

 英国車でいえば、1960年代からのテイストをずーっと継承してきたジャガーXJが、X350系を最後にイアン・カラムデザインの新世代に変わったのもそう。また、ドイツ化に出遅れたイタリア車が新しいジュリアでまんま「イタリア版3シリーズ」に生まれ変わったのも同じ理由からだ。

 高級車とはどうあるべきかという価値観は、ヨーロッパのみならず世界的にドイツ勢に支配されている。グローバル市場で戦うには、嫌も応もなくその土俵に乗っからざるを得ないのが現状だ。

最もドイツ車的でないのは日本車?

コスパと信頼性では右に出るモノなしの日本車。例えばヴィッツも世界各国で売られ、トヨタ車のなかで世界販売4位に輝くモデルだ

 いっぽう、この“ドイツ的価値観”から意外にフリーなのが日本車だ。日本車のメインは、廉価なコンパクトカーや中級セダンあたりまで。

 このジャンルは、コストパフォーマンスが高く信頼性に優れていれば、ブランドや生産国を問わずグローバル市場で評価してもらえる。

 日本車は欧州勢に先駆けて北米市場に進出し、そこで大きなシェアを確保したが、その原動力はこのコスパと信頼性。アジアを中心とする新興国で強いのも同じ理由からだ。

 ただ、コスパと信頼性だけだと「日本車ならではの個性って何?」と問われた時にちょっと苦しい。また、韓国や中国などの新興勢力から追い上げられた時、どう差別化を図るかという点も課題だろう。

 この部分で、今の日本車が世界に誇れるのは、燃費性能の高さ。やはり、ハイブリッドやPHV、あるいはEVやFCVなど、エネルギー効率を高めるための技術開発を続けることが、今後の日本車生き残りのカギになるのではないかと思う。

日独仏伊らしさを色濃く残す現行車

 というわけで、日本車、ドイツ車、イタリア車、フランス車の現行車で「もっともその国の車の個性を表わしている現行車」を1台ずつあげよ、というお題の回答は次の4台。

■日本車/トヨタ プリウスPHV

 THSという偉大なハイブリッドシステムを発明した功績は、自動車史に刻まれる金字塔。それをベースに、EV走行68.2kmを可能とするPHV化したんだから、燃費規制や車の電動化というトレンドの中では世界最先端をゆくクルマにグレードアップしている。

 現行プリウスは、新プラットフォームTNGAによって「燃費以外見所のないクルマ」という悪評をかなり払拭。趣味性は別にして、低燃費で使い勝手のいい乗用車という条件で選んだら世界一といっていい。

■ドイツ車/メルセデスベンツ S450

 直6を復活させるなど、内燃機関を絶対に諦めていないということを示しつつ、高度なマイルドハイブリッドシステムを組み合わせて燃費効率を追求する。

 THSとは別のアプローチで、機械として精密高度なものを目指すドイツ的な車造りを感じる。

 もちろん、ベースのSクラスも典型的なドイツ風味の高級車。先進安全装備てんこ盛りなところも「最善か無か」というスローガンを裏切らない。

■イタリア車/フェラーリ 488GTB

 イタリアでしか造れない、イタリア的価値観の権化。自動車は基本的に実用品かもしれないが、それを芸術にまで高められるのはイタリア人だけ。そして、フェラーリこそその頂点に君臨する大輪の花だ。

 フェラーリがイタリア経済に貢献している数字などは大したことないかもしれないが、この車が存在することによってどれだけのイタリア人が自国のクルマに誇りを抱くか。お金に代えられない、まさにイタリアの国宝だと思う。

■フランス車/シトロエン C4ピカソ

 ハイドロニューマチックの“シトローエン”が手に入るなら絶対にそれを選ぶのだが、まさにグローバル化の波によって高コストなハイドロ・シトローエンは終焉を迎えてしまった。

 そうなると、次点でもっともかつてのシトローエンらしい乗り味の車がC4ピカソという感じ。同じミニバンでもフランス人が解釈すると日本車とまったく違う答えが出るという意味でも興味深い。

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