■ランボルギーニとヴェルサーチェのダブルネームに価値はあるのか?
2010年代以降のスーパーカー専業メーカーでは、市販モデルをベースとするワンオフ、もしくはごく少数ロットのスーパーカー/ハイパーカーを新規製作するのがトレンドとなっている。しかしその直前、2000年代には一見畑違いとも映るアパレル系ブランドとのコラボレーションがおこなわれる事例もあった。
【画像】高級感マシマシのヴェルサーチェ仕様「ムルシエラゴ」(24枚)
●2008 ランボルギーニ「ムルシエラゴLP640-4クーペ ヴェルサーチェ」
この「自動車ブランド×アパレルブランド」のプロダクト展開は、古くは米リンカーンと「ジバンシィ」あたりに始まり、近年ではフィアット「500」と「グッチ」、メルセデス・ベンツと「ジョルジオ・アルマーニ」、あるいはマセラティの「エルメネジルド・ゼニア」および「フェンディ」など、数多くのコラボモデルが誕生している。また日本車においても、かつては日産「ローレル」で2世代にわたってリンカーンと同じ「ジバンシィ」バージョンが設定されたことを懐かしく思われる方も多いに違いない。
この潮流は、今世紀にはスーパーカーの領域にも、数こそ少数ながら進出。ブガッティ「16.4ヴェイロン」でも、仏「エルメス」とのコラボモデルが少数製作されたが、やはりこの「スーパーカー×ハイブランド」カテゴリーにおける代表格として挙げたいのは、ランボルギーニ「ムルシエラゴ」の後期型「LP640-4」をベースに、伊「ジャンニ・ヴェルサーチェ」とのコラボで限定生産された「ムルシエラゴLP640-4ヴェルサーチェ」である。
2006年10月のパリ・サロンにて、パーソナリゼーション・プログラムのショーモデルとして発表されたLP640-4ヴェルサーチェは、ショーに登場した白い「ビアンコ・イシス」のほか、ブラック基調の「ネロ・アルデバラン」と合わせて20台が限定生産されたといわれており、2008年にはロードスター版がクーペに代わるかたちで登場している。
いずれも圧倒的に生産台数の少ないリミテッドエディションゆえに、現在のコレクターズカー・マーケットに「For Sale」が出る機会は非常に限られているのだが、先ごろクラシックカー/コレクターズカー・オークション業界最大手のRMサザビーズ欧州本社が開催した「PARIS」オークションに、2008年生産のムルシエラゴLP640-4ヴェルサーチェが出品され、ファンの話題を集めることになった。
ムルシエラゴはたとえスタンダードであっても、誰もが認める生粋のスーパーカーである。したがって、もちろんマーケット評価も充分に高価なのだが、いかにも「この時代」を物語るような限定エディションには、どれだけの上乗せが為されるのか? ランボルギーニとヴェルサーチェ、双方のファン注目のオークションレビューを届けよう。
■予想外のリーズナブルな落札価格
一定以上の年齢を重ねた日本人ならば、かつてのバブル時代におけるヴェルサーチェ人気を記憶している人も多いことだろう。当時のわが国では、もはや死語となった「イケイケ」な男女たちが誇示するように身につけていたのだが、なぜか当時はイタリア語の発音とも英語の発音とも合わないカタカナ語の「ベルサーチ」表記が、あたかも当然のごとく使用されていた。
したがって今回の主役であるランボルギーニも、デビュー当時には「ムルシエラゴ・ベルサーチ」などと呼ばれていたのだが、現在では日本法人が正式に「ヴェルサーチェ」を名乗っているので、ここでも「ムルシエラゴ・ヴェルサーチェ」と呼ぶことにする。
●2008 ランボルギーニ「ムルシエラゴLP640-4クーペ ヴェルサーチェ」
さて、今回RMサザビーズ「PARIS」オークションに出品されたムルシエラゴLP640-4ヴェルサーチェは、クーペ版としては最終期の生産分にあたる2008年型の「eギヤ(シングルクラッチ式6速ロボタイズドMT」仕様車。クーペおよびロードスターともに20台ずつ生産されたヴェルサーチェ仕様のうち、出品車両のクーペ版はシリアルナンバー「9」とされる。
ボディカラーは、漆黒の「ネロ・アルデバラン」。くわえて「エルメラ(Hermera)」スタイルの純正アロイホイールまでグロスブラック仕上げとされたエクステリアは、スタンダードのムルシエラゴLP640-4と大きくは変わらないものの、左右のシザース式ドアにはヴェルサーチェの象徴である「グリーク・キー(ギリシャ模様)」のモチーフが描きこまれ、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。
その傍らノーマルと大きく印象を変えたのは、ボディ色に合わせたブラックのレザー/カーボンファイバーと、コントラストを成すアイボリーのレザーとのコンビで仕立てたインテリアである。レザーシートの座面やドアの本革張りインナーパネルには、外装と同じく「グリーク・キー」がエンボス&ステッチであしらわれ、ヴェルサーチェとのコラボレーションモデルであることを言外にアピールしているかに映る。
そして最大のアピールポイントは、2008年初頭に初登録されて以来のワンオーナー車両であることだ。モナコ在住の現オーナーのもとに新車としてデリバリーされ、そののち現在に至るまで所有権は変わっていない。
13年間の所有期間中、この車両はランボルギーニ正規ディーラーで定期的なメンテナンスサービスを受けており、最新の定期点検は2020年9月/通算走行距離2万4403kmの段階でおこなわれている。またクラッチに負担がかかることで知られる「eギア」仕様車では重要なことだが、クラッチは1年点検に際して入庫させていた2018年6月、走行距離2万1624kmの段階で交換されたという。
オークションの公式WEBカタログに掲載された写真から判定するに、インテリアは新車同様とまではいえないものの、生産から約13年/約2万4500kmの車齢を思えばコンディションは極上と思われる。また、それぞれ車両シリアル番号「09/20」のプラークが付けられた5ピースの純正レザーバッグセットと、新品未使用のヴェルサーチェ製のドライビンググローブも添付されるとのことである。
このランボルギーニ・ムルシエラゴLP640-4ヴェルサーチェに対して、RMサザビーズ欧州本社は現オーナーとの協議で15万-20万ユーロのエスティメート(推定落札価格)を設定していた。ところが2021年2月13日におこなわれた競売では、オークションハウス側に支払われる手数料を上乗せしても、わずかながらエスティメートに及ばない14万9500ユーロ、日本円に換算すれば約1920万円という、かなりの安値で落札されてしまった。
ムルシエラゴの相場価格については、最終型となったハードコア版「LP670-4SV」のみは、世界限定350台という希少性も相まって5000-6000万円で取り引きされているが、前/後期合わせて4099台が生産されたというスタンダードモデルの多くは、2000万円前後で流通されているようだ。
そんな市況のもと、世界限定でわずか20台、ロードスターを合わせても40台しか作られていないはずのヴェルサーチェ仕様にかなりシビアな評価が下されてしまったのは、いささか予想外でもある。
しかし同じ「PARIS」オークションで、1960-80年代のクラシック・ランボたちが続々と高値落札されていった状況を見るにつけ、どうやら2020年代のマーケットにおいては真正の「クラシックカー」と、近現代の「コレクターズカー」との間で、微妙な相場観の違いが現れつつあるのでは? と感じられたのである。
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みんなのコメント
当時勇んで乗っていたBMWとはまるで違っう超弩級のとんでもないモノだった。アレ以来、スーパーカーが来たら必ず道を譲るようにした。