この記事をまとめると
■アルファロメオがミドルサイズSUVの「トナーレ」を日本発売
【試乗】やっぱりアルファは凡庸なクルマを作らない! 小型SUV「トナーレ」の「気持ちいい~!」が圧巻だった
■アルファロメオ初となるハイブリッドシステムを搭載
■エクステリアデザインには往年の名車たちを想起させるアイコンを取り入れた
アルファロメオ初の電動SUVが登場
1910年にイタリアで創業したアルファロメオは、設立当初から流麗なデザインとスポーティな走りを両立したモデルをリリースし、世界中に熱狂的ファンがいるブランドとして知られている。現在は、セダンのジュリアとSUVのステルヴィオをラインアップし、いずれもアルファロメオらしいスタイリッシュでスポーティなキャラクターが多くのファンから支持されている。
そんなアルファロメオから、待望のニューモデルとなるトナーレの日本発売が発表された。
トナーレが市販化されるまでには長い道のりを経ている。初めて姿を現したのは2019年ジュネーブモーターショーで、ステルヴィオに続く第2のSUVとしてコンセプトモデルが出展され、同社初のプラグインハイブリッドモデルとしても注目を浴び、長らく発売が期待されていた。そして、2022年2月、ついに市販モデルを発表。欧州ではすでに販売もスタートしている。
トナーレは、アルファロメオのブランド変革を指す「La Metamorfosi(変革のイタリア語)」を体現したミドルサイズSUVで、その車名はイタリア北部にあるスイス国境にほど近いアルプスを望む「トナーレ峠」に由来している。
ステランティスグループのスモールワイドプラットフォームを使用したボディサイズは、全長4530mm、全幅1835mm、全高1600mmで、シャシー剛性の強化や前後ストラットサスペンションの採用など、アルファロメオの俊敏な走りを実現できるように味付けがなされた。
そんなアルファロメオ・トナーレ最大の特徴は、ブランド初となるハイブリッドシステムを搭載したことだ。
パワートレインは、新開発の1.5リッター直4ターボエンジンに48Vモーターを内蔵した7速DCTとベルト・スターター・ジェネレーターを組み合わせ、リチウムイオンバッテリーをフロア下に搭載。システム最高出力180馬力、システム最大トルク295Nmという性能を実現した。低速時(15~20km/h)はモーターのみで走行し、モーターへの負荷が高まるとエンジンを始動させて加速をアシスト。アクセルオフで減速時の制動エネルギーを回生するコースティングモードに切り替えることで燃費向上も果たした。
センターコンソールに設けられた「ALFA DNAドライブモードシステム」が、エンジンやトランスミッションのレスポンス、サスペンション設定の切り替えを可能にしており、状況や気分に応じたモードを任意にセレクトできる。ESC(横滑り防止装置)をオフにすることも可能だ。
内外装でアルファロメオらしさを表現
トナーレのエクステリアは、全体的に先進性を表現しつつも、ブランドの特徴を融合させたデザインになっている。アルファロメオ初のマトリクスLEDヘッドライトを採用し、カメラによる前方認識や車速、走行状況に応じた照射範囲や照射距離を自動で最適化することで、夜間走行時に頼もしい機能を手に入れている。また、3連のU字型デイタイムランニングライトは、名車「SZ」などから着想を得てデザインされたもので、サイドのシルエットには往年のスポーツカーであるジュリアGTを想起させるショルダーラインを取り入れり、8Cコンペティツィオーネをオマージュしたリヤサイドガラスが流麗なボディラインを際立たせている。このようにトナーレのフォルムは、ブランドのレガシーのディテールを取り入れて構成される。それでいて、リヤの3連型LED式コンビネーションランプの採用など、ひと目でトナーレと識別できる個性的なデザインとなった。
ブラックを基調にしたインテリアは、上質な印象を与えるデザインを演出。さらに、12.3インチの大型デジタルクラスターメーターやダッシュボード中央の10.25インチのタッチスクリーンなど、先進的なインフォテインメントシステムも搭載されている。
車載カーナビは日本のアイシン製を採用しており、オンライン機能を使うことで施設名称による検索はもちろん、天気予報やガソリン価格、駐車場満空情報、渋滞情報(VICS)なども表示可能だ。さらに、アルファロメオ初の車載通信モジュールを全グレードに標準搭載。スマートフォン専用アプリ「My Alfa Connect(マイ・アルファ・コネクト)」やWEB専用ポータルサイトを介したナビの目的地設定、ガソリン残量やタイヤ空気圧や走行距離などの車両コンディション、自車位置情報などの閲覧が可能になった。
安全装備として、4つのカメラで自車の周辺を捉えた映像をモニターに映し出して駐車時や狭い場所での安全なハンドル操作をサポートする360°カメラや、高速道路で車線中央の走行をアシストするレーンキーピングアシストなどが用意され、快適なドライブをサポートしてくれる。
グレード展開は、マトリクスLEDライトやフルADAS(先進運転支援システム)などの充実した装備を搭載するスタンダードモデルの「トナーレ Ti」と、ダークフロントグリルや専用20インチアルミホイール、ステアリングヒーター、レザーシート(電動調整シート・シートヒーター・ベンチレーション付き)、harman/kardonプレミアムオーディオシステムなどでラグジュアリーに彩られた導入記念モデルの「トナーレ Edizione Speciale」のふたつをラインアップする。
価格は「トナーレ Ti」が524万円、「トナーレ Edizione Speciale」が578万円。
アルファロメオは今後、電動化モデルを次々に導入することを計画しており、2027年以降に欧州、北米、中国の市場で販売されるモデルはEVのみとなる予定だ。日本導入が発表されたトナーレは、ハイブリッドシステムなど数多くの先進的な技術を搭載しながらも、歴代モデルに通ずるスタイリッシュなフォルムと爽快な走りを実現している。このトナーレを見る限り、例えアルファロメオの全モデルがEVとなったとしても、そのブランドアイデンティティが揺らぐことはなさそうだ。
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