マイナーチェンジを受けたボルボのクロスオーバーモデル「V90クロスカントリーB6」に小川フミオが乗った。東京から金沢を目指したロングドライブでの印象は?
“B6”がもたらすメリット
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新型ボルボ・V90クロスカントリーに「B6」というグレードが追加された。2020年10月に日本でも販売開始されたこのモデルの特徴は、ステーションワゴンの派生モデルであるクロスカントリーあること、もうひとつはマイルド・ハイブリッドであることだ。ロングツアラーとしての高い実力を有するV90に、街中でのさらなる使いやすさと好燃費という”武器”がくわわった。
クロスカントリーとは、ステーションワゴンの最低地上高を高め、悪路走破性を高めたモデル。ボルボ以外にもメルセデス・ベンツはオールテレイン、アウディではオールロードクワトロとしてラインナップする。
マイルド・ハイブリッドとは、基本的にはエンジンで走り、スタート時などに電気モーターの力を借りるシステムだ。つねにモーターが動くわけではないので”マイルド”とされる。
メリットは、システムが簡単な点。バッテリーによる重量増を抑え、コストも抑えられる。いっぽう、燃費(環境適合性)は、フルハイブリッド車ほどではないにしても向上。とくにもっとも燃料を消費する発進時などにモーターが動くので、効果もちゃんとあるのだ。
エンジン走行がメインなので、BEV(バッテリー駆動のピュア電気自動車)へと将来以降するための”つなぎ”とされるものの、逆のみかたをすれば、エンジンでの走行も楽しみたいひとには、悪くない折衷案かもしれない。
じっさい、V90クロスカントリーB6は、力強いトルクによる走りが得意なモデルだ。1968cc直列4気筒エンジンには、ターボチャージャーにくわえて電動スーパーチャージャーも装着される。下のほうのエンジン回転域から力が湧き上がっていくかんじの加速感は、クルマ好きを喜ばせてくれる。
B6の電気モーターは、発進時に駆動軸をまわして、スーパーチャージャーも働かない領域から、力強くクルマを押しだしてくれる。全長4960mmと、けっして小さくないサイズのステーションワゴンボディを、スムーズに走らせることが出来るのだ。恩恵をとくに感じるのは、止まって走って、の繰り返しが多い市街地だ。
シフトアップ時にもモーターが動く。オートマチック変速機がシフトアップするとき、上のギアにエンゲージする一瞬、加速が鈍る。そのときモーターが落ちたぶんのトルクを補ってくれるのだ。
モーターの働きはまだある。高速道路などアクセルペダルを強く踏み込まない走行時は、4気筒あるうち2気筒を休止させる。そのあと、なにかの理由で再加速となったときも、まずモーターがトルクを出す。
抜群の安定性
私たちは、V90クロスカントリーB6をドライブして、東京から金沢まで、上信越自動車道を経由し、北陸自動車道を使って約500kmの道のりを走った。日本アルプスの太平洋がわは好天だったのに対して、日本海がわに出ると、雲が厚くなり、日本海に沿って上越ジャンクションから金沢を目指したときは大雨だった。
はたして、V90クロスカントリーB6の最大の魅力は、おおきな安定感にあるというのが、このときの結論だ。ステアリング・ホイールを切ったときの車体の動きは過敏でなく、それでいて、操縦感覚は鈍くはない。
おかげで、雨天下でもいっさいの不安なしだった。操舵も加速も反応速度の速さをいたずらに追求していない。いってみれば、適度に”角を丸めてある”感覚だ。おかげで、走行状況がころころ変わっても、ドライバーは安心してドライブを続けられるのだ。
路面の凹凸の影響を受けず、乗り心地がいいのも美点だ。室内の騒音レベルは低く、ステーションワゴンやそれをもとにしたクロスオーバーは往々にして、リアのテールゲートあたりからの音の侵入が気になるものの、このクルマの後席にいて、うるさいと思うことはなかった。
SUV優勢の世のなかであるが、クロスカントリーならではのよさを守っているのは嬉しい。より背の高いSUVより重心髙が低く、路面に張り付いて走るような感覚なので、運転の楽しさにつながる。加速性といい、レーンチェンジのときの動きといい、楽しさがうまく残されていて、ロングドライブが飽きない。疲労感が少なかったのは、快適であると同時に、楽しみがあるからだろう。
いい音を聞きながらマッサージで優雅に……
クロスカントリーというタイプの車型は、ステーションワゴンの車高を少し高め、オフロードでの走破性を少々強化したコンセプトだ。ボルボでは1998年の「V70XC」から、連綿と続くモデルコンセプトで、スポーティな雰囲気を好むファンから歓迎されている。
V90の標準モデルと比較すると、車高は1475mmから1545mmに高められ、最低地上高は210mmも確保されている。金沢へむかう途中、糸魚川流域の砂利道を走ったときは、車体と地面のあいだのロードクリアランスに余裕があることの恩恵が感じられた。4輪駆動システムも役立つ。スタイルだけでなく、実用性がちゃんとあることが裏付けられたのだ。
室内の広々感も、長距離ドライブを快適にしてくれた。クロスカントリー・モデルは、いま、V90と、ひとまわりコンパクトなV60に設定されている。後者は、175mm短く(4960mmに対して4785mm)ホイールベースも100mm短い(2940mmに対して2870mm)。
V90クロスカントリーでは、長いホイールベースの恩恵を活かして、後席のスペースがたっぷりとしている。天井とのあいだのヘッドルームといい、前席シートとのあいだのレッグルームといい、たっぷりした空間が確保されている。とりわけ後席を重視するひとには向いているのだ。
前席の乗員には、マッサージ機能がうれしい装備。市販のマッサージ機にあるような、いわゆる”もみ玉”が背骨に沿って動いていくのだ。背中の部分指定ができる5種類のプログラムが設定されているうえ、強度が3段階、速度が3段階から選べる。
小さなことであるものの、オーナーになったら大事な点がある。オーディオだ。ボルボのオーディオシステムは、基本的にどのブランドのものでも、いい音を楽しませてくれる。ボルボでは従来から、音楽の種類によって(擬似的に)音場をさまざまに楽しめるシステムを採用してきた。
ボルボ本社があるスウェーデン西海岸のヨーテボリのコンサートホールを模して、音の立ち上がりや残響音を演出したクラシック音楽むけのモードはよく知られている。
今回あらたに、B6にオプション設定されたBowers & Wilkinsプレミアムサウンド・オーディオシステムには「ジャズクラブ」モードが設定された。ヨーテボリのジャズクラブの雰囲気をだすモードだそうだ。
私が車内で音楽を聴くことが好きなせいもあって、このジャズクラブモード、実際に楽しめた。やや極端にいえば、シングルコーンのスピーカーで音楽を聴いているように、奥行き感が強く出るのが個性だ。
ボーカルなら、アリサ・フランクリンやミルドレッド・ベイリー、最近ではジョージャ・スミスなど、たいへんツヤっぽくてよい。器楽演奏では、1960年代のマイルス・デイビスのトランペットから、いまのブラッド・メルダウのピアノまで、ジャズ(を中心とした音楽)が楽しめた。
V90クロスカントリーには、おなじ2.0リッターのエンジンにターボ(のみ)を装着した「B5」の設定もある。繰り返しになるものの、B6のエンジンが220kWの最高出力と420Nmの最大トルクを出すのに対して、B5は184kWと350Nm。10kWと40Nmというモーターの出力は同一だ。
V90クロスカントリーAWD B6の価格は904万円。同B5は744万円だ。燃費は前者がリッターあたり11.3km(WLTC)、後者が11.8kmと発表されている。うまく運転すればこれよりいい値を出すことも出来る。この大きさと広さと、運動性能を考えれば、悪くない値だ。
文・小川フミオ 写真・角田修一
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