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なぜスバルは「インプレッサ」に最新技術を初搭載する? 30周年のロングセラー車が果たす役割とは

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なぜスバルは「インプレッサ」に最新技術を初搭載する? 30周年のロングセラー車が果たす役割とは

■2022年に誕生30周年を迎えるインプレッサ

 スバル車は、とくにクルマ好きの間で人気が高いです。その背景には、スバルならではの個性的なクルマ造りがあります。

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 もともとスバルは技術指向の強いメーカーで、古くから安全性の向上に力を注いできました。

 スバル車は視界が優れているので、車両の周囲に潜む危険を早期に発見しやすいという特徴があり、走行安定性も高く、危険を避ける操作も的確におこなえます。

 そして走行安定性を高めると、ドライバーの操作に対して忠実に走るため運転が愉しく感じられます。さらに、走りの水準も高まり、モータースポーツでも活躍しています。

 このようにスバルは、安全性を最優先させた商品開発をおこなうことで、運転の愉しさを含めて、クルマのさまざまな魅力を高めてきました。

 スバル車の特徴を分かりやすく表現して、人気を高めたクルマとして、1989年に発売された初代「レガシィ」が思い出されます。

 スバルが「レオーネ」の時代から進化させてきた水平対向エンジンと左右対称のAWD(4WD)に、さらに磨きを掛けて、初代レガシィに搭載しました。

 初代レガシィは上質なセダン&ワゴンで、売れ筋の価格帯は150万円以上でした。人気の高かった2リッターエンジンとAWDを搭載した「レガシィツーリングワゴン」は200万円を超えていました。

 そこで1992年に発売されたのが、ボディをひとまわり小さく抑えた初代「インプレッサ」です。1.5リッターエンジンを搭載する「CF」の価格は、5速MT車が112万9000円でした。

 初代インプレッサのボディは、4ドアハードトップセダンと、5ドアスポーツワゴンの2種類。エンジンは1.5リッターのほかに、1.6リッター、1.8リッター、2リッターターボがありました。

 このうち、2リッターターボはセダンの「WRX」に搭載され、今に通じる高性能なAWDスポーツセダンに仕立てられていました。最高出力は240馬力で、30年前の登場ながら、優れた走行性能を発揮したのです。

 2代目インプレッサは2000年に発売されて熟成を図り、3代目は2007年に登場して、プラットフォームから刷新しました。

 3代目の発売当初はハッチバックのみの構成で、高性能グレードの「WRX STI」もハッチバックでした。

 2リッターターボで6速MTのWRX STIに加えて、2010年には2.5リッターターボと5速ATの「WRX STI Aライン」も投入して売れ行きを伸ばしています。

 2010年にはWRX STIの4ドアが復活して、SUVスタイルの初代「インプレッサXV」も加わりました。このように3代目のインプレッサは、バリエーションに広がりを持たせています。

 この後、WRXやXVは、インプレッサから独立した車種として発展していき、インプレッサは2011年に4代目へと進化。ハッチバックの「インプレッサスポーツ」とセダンの「インプレッサG4」がラインナップされます。

 つまりインプレッサは、割安な価格でスバル車の魅力を多くのユーザーに広めながら、新しいスバル車を生み出す役割も果たしました。

 このようにインプレッサは、もっとも馴染みやすいコンパクトな車種であると同時に、スバル車の中心的な存在でもあるのです。

 そして2022年、インプレッサは誕生から30周年を迎えました。

■スバル初の技術の数々をインプレッサに搭載する意味

 インプレッサの役割は、WRXやXVが独立した今でも変わりません。

 2016年に発売された現行型(5代目)は、ほかのスバル車に先駆けて、新世代のスバルグローバルプラットフォーム(SGP)を採用しました。

 このプラットフォームは、現行型の「フォレスター」や「レヴォーグ」、「レガシィ アウトバック」、「WRX S4」にも受け継がれ、改善を加えながら採用が進んでいます。

 安全装備も同様です。例えば歩行者保護エアバッグは、歩行者を含めて、さまざまな人達に向けたスバルの安全思想が表現された装備として注目されますが、この機能を日本車で最初に装着したのも現行インプレッサでした。

 このほかにも新開発された2リッター水平対向4気筒直噴エンジンなど、現行インプレッサには初採用された装備が多いです。

 一般的に、先進装備は価格の高い上級車種から普及を開始します。価格が高ければ、高コストな装備も採用しやすく、その後に少しずつ量産効果を向上させて低価格車に普及させます。

 ところがスバルの歩行者保護エアバッグは、前述の通り、価格が求めやすいインプレッサが最初に採用しました。その理由は、優れた安全装備は、大量に販売されるクルマに採用してこそ、現実的な事故防止の効果も高まるからです。

 例えば高級なオーディオなどは、熱烈に欲しい少数のユーザーだけが装着しても価値を発揮できますが、安全装備は違います。

 事故を防いだり被害の拡大を抑える、「本来は作動して欲しくない装備」ですから、装着車が広く普及してこそ開発した効果も高まるのです。

 従ってスバルは、安全装備の採用において、上下関係のヒエラルキーに捕らわれません。その典型がインプレッサの歩行者保護エアバッグなのです。

 コストとのバランスも考えると困難な商品開発でしたが、それだけに得られた安全性の向上も大きいです。

 さらに、ほぼ毎年、改良をおこなって進化させていることもインプレッサの特徴です。

 現行型は2016年に発売された後、2017年には運転支援システム「アイサイト」の夜間走行における歩行者の認識性能を向上するなど改善を加えました。

 2018年には、渋滞時などにブレーキペダルから足を離しても停止状態を保つオートビークルホールド機能も採用しています。

 2019年には、運転支援機能を進化させた「アイサイトツーリングアシスト」、ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑える「アダプティブドライビングビーム」などを加えました。内外装のデザインも刷新されています。

 2020年には、ハイブリッドシステムの「e-BOXER」を搭載する「アドバンス」とスポーティグレードの「STIスポーツ」をハッチバックに加え、2021年には、ファブリックシート生地にフロントシートヒーターを設定するなど一層の進化を遂げました。

 しかも「1.6i-Lアイサイト」(2WD)の価格(消費税込)はセダン・ハッチバックともに200万2000円で、アイサイトコアテクノロジー、運転席/助手席/サイド/カーテンエアバッグ、16インチアルミホイールなどを標準装着しています。

 同程度の装備と1.2リッターから1.5リッターエンジンを搭載する5ナンバーサイズのコンパクトカーと比べて、価格の上乗せを15万円程度に抑えました。

 インプレッサであれば、3ナンバーサイズのボディによって走行安定性と乗り心地が優れており、後席も快適で、歩行者保護エアバッグなども標準装着されます。

 インプレッサのプラットフォームや装備は、上級車種と基本的に同じですが、価格はライバル車との競争に負けないように割安に抑えました。そのために注目度の高い買い得車になっています。

 販売店に出かけて、インプレッサに試乗してみると、後悔しないクルマ選びができると思います。

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みんなのコメント

12件
  • なぜスバルはインプレッサに最新技術を初搭載する?の答えが本文に無い気がするのは私だけ?
    SGP上に構築されるモデルの中で一番ベースになるモデルだからでしょ
  • 元々はフォレスターもインプレッサからの派生モデルだったのでXVも含めてインプレッサの役割はこれからどうなるのか?は見ものです。2WDが設定されてるスバル憂一のモデルでもあるわけでこの自動車業界の過渡期にどう変わっていくのかはスバルのこれからにも関わるでしょう。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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