11月5日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたWEC世界耐久選手権2021年最終戦バーレーン8時間レースの予選セッション、LMGTEプロクラスではポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19がポールポジションを獲得。2番手にはこれまでポイントリーダーだったAFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evoが入ったが、92号車が1ポイントを獲得したことで、両者が139ポイントでトップに並び、8時間の最終決戦を迎える状況となっている。
92号車ポルシェ(ケビン・エストーレ/ニール・ジャニ/マイケル・クリステンセン)のエストーレとジャニは、51号車フェラーリをドライブするアレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド組と、世界耐久ドライバー選手権LMGTE部門(ドライバーズタイトル)を争っている。
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第6戦予選でアタックを担当したエストーレは、最初のフライングラップでトラックリミット違反を犯してしまったが、その後「大きなプレッシャーがあった」アタックで見事に最速タイムをマークした。
「僕の最初のラップは素晴らしいものではなかった。2周目に入ったところでエンジニアからトラックリミット違反を知らされた」とエストーレは語っている。
「タイヤの面では少しベストではない状況で2周目のアタックを始めることは分かってはいたが、3周目は間違いなくもっと良くない状況になるので、2周目でなんとかタイムをマークする必要があった」
「これはとても大きなプレッシャーだった。僕はすべてをうまくやり、最初のラップより良い走りをして、タイヤのグリップももたせ、ラップタイムを改善することができたから、ポールには充分なタイムとなった」
「これは僕らにとって、非常に重要な1ポイントだ。いま、僕らは51号車フェラーリと同点に並んだ。少なくとも、これで明日は同じ地点からレースをスタートすることになる。前でフィニッシュした方がチャンピオンだ」
エストーレが予選でマークしたタイムは、カラドのものよりわずかに0.160秒だけ速いものだった。
「正直にいうと、(決勝では)差はもっと詰まると思っている」とエストーレ。
「どういったわけか、(第5戦後の)2~3日の休息は、フェラーリを大いに助けたようだね。彼らは前回の予選に比べると、大きくタイムをゲインしてきている」
「神様は、彼らが明日どんなペースで走るかを知っている。それは僕らには分からない」
「いつものように、すべてを捧げて走り、自分たちのポジションを確認する。僕らは素晴らしいレースカーを手にしていると思う。安定性もあり、プラクティスではとてもいい状態だった」
「彼らは間違いなく、手強いライバルだ。僕らは、彼らを信頼しなければならない。そして、僕はフェアなファイトを望んでいる」
■それぞれのチームメイトがタイトル争いを撹乱?
それぞれの姉妹車である91号車ポルシェと52号車フェラーリが、チームメイトをアシストする役割を担う可能性も高いため、エストーレはとくにレース序盤でのタイヤ・デグラデーションにおいて、激しい戦いが待っていると予測している。
「このトラックはタイヤに非常に厳しく、アンダーカットは非常に強力だ」とエストーレ。
「たしかに、各チームの2台目のクルマが何かを試し、ゲームを少し混乱させ、我々に何らかの反応を試みさせることはできる」
「興味深いものになるだろうね。マニュファクチャラーズ・タイトル争いもまだ決着していないし、両方のチャンピオンシップを制するためには、ライバルの前にいる必要がある。それが決勝の目標だ」
「レースの前半は気温が高く、大変だ。その後気温が下がればタイヤは長持ちするので、摩耗をあまり気にすることなく、フィニッシュに向けてスプリントレースの様相を呈するだろう」
なお、AFコルセは、バーレーンでの第5・6戦においてWECコミッティーより発行されたBoP(性能調整)の決定に対して、木曜日の午後4時に抗議を提出したが、金曜日になってスチュワードはこれを棄却する裁定を発表している。
AFコルセはふたつのBoP決定について抗議を行った。ひとつ目は、第5戦バーレーン6時間レースの前にフェラーリに与えられた最初のBoPに関するもので、ふたつ目は第6戦バーレーン8時間レースに先立って、11月3日水曜日に発表された更新版のBoPに関するものだ。抗議は、LMGTEプロクラスの2台のファクトリー車両に関してのみ行われており、LMGTEアマクラスの488 GTE Evoは対象外だ。
第5戦バーレーン6時間レースの前には、WECのオートマチックBoPシステムの範囲外で、パワー削減を要求されていた。その後、第5戦のレースでライバルである2台のポルシェに対して苦戦を強いられた後、チームはBoPを第3戦モンツァの状態に戻すように要求していた。
11月3日に発表された更新版では、フェラーリが最初の裁定により失ったターボブーストのうち半分が戻り、搭載燃料容量が2リッター増加していた。
金曜日になってスチュワードから発表された裁定では、「WEC技術規則第20条が唯一法的拘束力のある規則である」という結論により、51号車ならびに52号車からの抗議を棄却している。
「WEC技術規則の第20条は、WECコミッティーがその絶対的な裁量により、必要であるとみなす変更を実施することが許されていると、明示している」と裁定には記されている。
「競技者を拘束するWEC技術規則第20条、または第20条に基づいて行われたWECコミッティーの決定の合法性について、スチュワードがレビューすることは許可されていない」
「WECコミッティーの決定は最終手段として行われるものであり、これに抗議することはできない」
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