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【将来のクルマづくりへ インテリジェントモビリティ】インタビュー:フォーミュラE参戦体制から見る日産の将来のクルマづくり

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【将来のクルマづくりへ インテリジェントモビリティ】インタビュー:フォーミュラE参戦体制から見る日産の将来のクルマづくり

2018年11月30日に東京・銀座の日産クロッシングで、日産はフォーミュラEの参戦体制お披露目、そして新型のリーフニスモRC(LEAF NISMO RC)」の発表を行なった。このところ日産は、活動計画や経営計画を説明する際に、「インテリジェントモビリティ」という言葉で説明することが多い。このフォーミュラEへの参戦もまた、リーフニスモRCもインテリジェントモビリティに関連する活動計画で、具体的に何を伝えようとしているのか?日産グローバルマーケティング常務執行役員のルードゥ・ブリース氏に話を聞いた。

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編集:「近年日産は、Intelligent Mobility」という言葉で活動を説明し、またその構成要素にはインテリジェントパワー(Intelligent Power)、インテリジェントドライブ(Intelligent Drive)、そしてインテリジェントインテグレート(Intelligent Integrate)の3つの要素があると説明していますが、今回のフォーミュラEの参戦とリーフニスモRCはインテリジェントモビリティとは具体的に、どう関連づけられているのでしょうか?」

ブリ―ス氏:「具体的にはインテリジェントパワーと関連します。電動化が進む車両において、多くの人がEV車はクリーンで環境に優しいと理解していると思います。そうした中で、フォーミュラEの車両はクリーンでありながらエキサイティングにしてくれます。つまり、クルマを量産するためには、EV車はエキサイティングなクルマだと思ってもらわなければなりません。フォーミュラEへの参戦は、そこに焦点を当てた活動になります。

また、サーキットでレースをするというのは、フォーミュラカーでは世界が遠いですよね。やはりロードカーのほうが断然分かりやすいです。例えばGT-Rがレースをしたほうが分かりやすくフォーミュラではわかりにくいですよね。だからニスモに提案してレースカーを造ってもらいました。このリーフニスモRCの技術は、将来の日産の技術に近いものがあります。今後の市販のリーフにはこのニスモRCに搭載された技術が投入されていくということになります」

リースニスモRCは、現在6台生産し販売は行っていない。具体的な利用方法としては、欧州に2台、アジアに2台、北米に2台というように分散させ、レースなどのイベントで走行させEV車が如何に楽しくエキサイティングであるかということをアピールするツールに位置付けられているという。このリーフニスモRCについては別記事で詳細解説と、そして試乗できたので、そのインプレッションもお伝えしよう。

日産の取り組み方と参戦体制

編集:「具体的にフォーミュラEへの参戦を決めたのはいつ頃でしょうか?2017年の東京モーターショーでシーズン5、つまり2018年12月に開幕するシーズンから参戦することは発表がありましたが・・・」

ブリ―ス氏:「実は2年ほど前なんです。その理由は、国内ではスーパーGT選手権でニスモ、日産のレース活動は成果を出し、ファンもたくさんいると思いますが、グローバルで見たときにモータースポーツの活動はそれほど認知されていません。ですから、ずいぶん昔から日産のグローバルでのモータースポーツ活動をどうするのか?を検討していました。それはさまざまなフィールドから詳細な情報を集め、ラリー、オフロード、トラックレース、そしてフォーミュラーレースなども検討しました。それは投資額とか、どのような費用対効果があるのか?とかですね」

「そこで分かったことがありました。われわれの見解ですが、フォーミュラEはこのレースだけで我々のブランド作りができるということです。しかもレースという高いレベルで競争力のあるフィールドでしたので、日産はそこに参戦できるだけの実力があることも分かりました。経営陣からも力強い支持を得ることができましたので、参戦を決めました」

編集:「しかし、フォーミュラEはアライアンスのルノーがそもそも始めたカテゴリーで、2年前だと参戦真っ最中でした。ルノーから日産へのシフトはスムーズに行われたのでしょうか?」

ブリース氏:「日産がフォーミュラE参戦を決定したときは、ルノーが撤退する前でした。ですから、別のベクトルで動いていたわけで、その5か月後くらいに、ルノーはF-1に集中する決断をし、フォーミュラEを辞めることになりました。ですから、ルノーも日産も両方がフォーミュラEに参戦する、という可能性もありました」

編集:「参戦を確定しe.dams(イー.ダムス)チームとパートナーシップを組んで参戦するということですが、そのいきさつを教えてください」

ブリ―ス氏:「レースへの参加資格はチームが持っています。ですから、参戦を決めた後は、多くのチームと相談をしました。日産の関わり方としては投資をしたい、そして積極的なアクティブメンバーとして参加したいという意向を持って交渉しました。e.damsはモータースポーツでは、最も信頼性が高い会社で、レーシングチームdams(ダムス)の一部がe.damsです。damsは長い歴史もあり、創立者のジャンポールさんに日産の意向を伝えました。彼はメーカーと手を組むことに非常に肯定的でした。そして、こうした社外のチームに出資するような座組はこれまでになかったことです。ニスモはもちろん国内事業でやっていますが、パートナーシップと出資関係を通じて、知見、専門性を高めていきたいという狙いも持ってます」

「というのは、この先、フォーミュラEがオーガナイザーによって常に革新的であれば、この先もずっとフォーミュラEのパートナとしてやっていきたいと考えているからです。主催者には、革新をし、レースを高みにもっていくことを常にやってほしいと望みますし、フォーミュラEは『将来』をテーマにしてほしいと考えています。つまり、レースだけでなくモビリティ全体で革新してほしいと望みます。なぜなら、今のフォーミュラEは市街地でレースをやっています。しかも簡単にアクセスできて観戦できます。こうした、革新的な取り組みが続けられ、レース以上の存在にしてくれたら、我々は長きにわたって参戦したいと考えています」

編集:「では、フォーミュラEで得られる知見はどのような形で、日産の市販車両に活かされていくのでしょうか」

ブリース氏:「フォーミュラEでの知見の多くはエネルギーマネージメントノウハウとソフトウエアの開発が中心になると思います。今の日産の電動車両には2つの中心的な技術があって、ピュアEV車とe-POWERがあります。どちらも電動車ですが、今後の計画では専門のプラットフォームを作って、そこに専門の独自性のあるクルマを作っていきます。これまでの普通のクルマに電動パワートレーンを乗せた以上の存在になってきます」

「ですから冒頭でお話したフォーミュラEへの参戦がインテリジェントパワーの活動であるということです。将来のモビリティは、EV車だからこそ、従来と異なるレイアウトが許され、車内スペースは拡大し、しかもコネクティビティの余地もあるわけです。われわれは将来のクルマづくりに取り組んでいるわけで、将来のクルマはそのすべてを組み合わせたものになります」

編集:「そうなると、話がフォーミュラEから離れますが、インフラとしての車両開発はどうなるのでしょうか」



ブリース氏:「完全自動運転や無人の車両の開発にも取り組んでいますし、例えば配車サービスなどとのパートナーシップも大切になります。大事なのは、今後構築されるパートナーシップだということです。歴史的には自動車メーカーは独立した、単独自社だけでやっていける企業形態でしたが、今後は、行政や、インフラ構築関連、配車サービスや充電ステーションといった企業ともパートナーシップを組んでいくことになり、これまでとは異なったより大きなモビリティの会話の中に入っていくということなんです」

より大きな会話の中に入っていくことが重要であるという言葉は非常に印象的で、日産が歩む方向が明解で明確に示されたインタビューだった。

このインテビューに関連するe.damsの監督インタビューそして、リーフニスモRCの詳細についてもレポートをお届けする予定だ。

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