愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ。ついに記念すべき第50回を迎えた。後編では、俳優の財前直見さんが、これまでのカーライフを語る。
ペーパードライバーからの脱却
メルセデス・ベンツのミニバンが進化した! 新型Vクラス登場──GQ新着カー
俳優の財前直見さんが、30代で大型二輪免許を取得し、ヤマハ「VMAX」というビッグバイクに乗っていたという話を前編では記した。免許を取ったばかりで、当時、量産車世界最高の145psを発揮するモンスターマシンを選んだ財前さんは、いったいどんなクルマ選びをしてきたのだろうか?
「高校卒業までは地元の大分で暮らしていました。田舎ではクルマが必須ですし、18歳になってすぐ教習所に通いました。じつは16歳のとき、学校に内緒で、原付免許は取っていたんですけどね(笑)」
18歳で航空会社のキャンペーンガールに選ばれ、それをきっかけに芸能界入りした財前さん。上京した当初は「俳優になるつもりはなかった」そうだが、デビュー直後からいくつものドラマへの出演が決まり、またたく間に誰もが知る有名俳優となっていく。
「慣れない東京でクルマを運転するのは不安で、いつも事務所のマネージャーが運転するクルマに乗せてもらっていました。そんな生活が十数年続き、気づけば完全なペーパードライバー。 『このままじゃずっと運転できないままだなぁ』と、思って、30代になってから自分のクルマを買うことにしたんです。買ったらさすがに乗るだろうって」
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エンジンは1.8リッター直列4気筒から5.4リッターV8までさまざまな形式、排気量がラインナップされたが、財前さんが購入したのは最高出力136ps/最大トルク19.2kgmを発生する2.0リッター直4を積んだベーシックなC200の中古車だった。
「運転に慣れてないし、まわりから『モタモタ走っているんじゃねーよ』と、思われるのが心配で……。ベンツだったら威圧感はあるし、舐められないかな? と、思って選びました。でも、実際に乗ってみたら、東京はベンツだらけ(笑)。威圧感どころか溶け込んじゃって、道を譲ってもらえるわけもなく、前後に初心者マークを貼って、ゆ~っくり走っていました」
今回、撮影のために用意したCクラスは、かつて財前さんが乗っていたのとおなじ、シルバーの「C200エレガンス」だ。当時はよく売れたモデルだが、ベーシックな存在であるがゆえに乗り倒され、生産終了後20年以上を経た今もキレイに保管されているクルマは希少だ。今回は中古車サイトで“発掘”した個体を持ち込んだ。
「ちょっと座ってみていいですか?」と、車内に乗り込んだ財前さん、インストゥルメントパネルを眺め、「そうか、カセットデッキだった! CDでもなかったんだ。昔だねぇ」と、笑った。
だがペーパードライバー卒業の相棒となった思い出のCクラスは、あるとき“もらい事故”に遭ってしまい、結局手放すことになったそうだ。
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財前さんが買い替えた二代目Cクラス(W203)は2000年に登場。
98年にダイムラー・ベンツと米クライスラーの合併によりできた「ダイムラー・クライスラー」(2007年に解消)時代にフルモデルチェンジを受けたモデルだ。
その後、40代を迎えたとき、財前さんの人生に転機が訪れる。2006年に長男を出産し、それをきっかけに2007年、郷里の大分へ移住したのだ。子育てのことを考えて出産前にCクラスを手放すことを決断し、ファミリーカーとして選んだのはなんとトヨタ「アルファード・ハイブリッド」(初代)のキャンピングカーだった。
「秋田にあるキャンピングカーの架装メーカーに作ってもらいました。冷蔵庫があって便利だし、リビングみたいにくつろげる。トイレもあって、屋根がポップアップしておとな2人が寝られるんです。子どもがいたのでやっぱり便利でしたね。ベースはアルファードなので大きさもとくに気になりませんでした。自分で運転して、九州をまわったり、軽井沢に出かけたり、いろんなところに行きましたよ。14年ほど乗って、従兄弟が“欲しい”というので譲りましたけど、思い出がたくさんあるクルマです」
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「いまの愛車はトヨタの『ヴェルファイア』です。こっちのほうがアルファードより顔がカワイイなぁ、と、思って。息子も大きくなったし、今はじいじ、ばあば(財前さんの父母)が後ろの席でゆっくりできたほうがいいので、キャピングカーではなく普通の3列シート仕様。買いものや送迎など、ふだん使いがメインですが、休みには川遊びとか釣りに行ったりします。乗りやすいし、故障もないし、とても気に入っています」
御子息はもうすぐ18歳。「免許は取ってもらわないと困ります。これからは乗せてもらうんだから」と、笑う。いま、欲しいクルマはありますか? と聞くと「うーん」と考えてから、「トヨタの『ハイラックス』かな」と、述べた。
「ピックアップトラックが気になっているんです。キャンプ用品も載せられるし、農作業にも使えるし、田舎に住んでいるといろいろあるから、荷台があると便利なんですよ」
近ごろは、田舎暮らしや自宅リフォームなどの話題でテレビに登場することも多い財前さん。その自然体で飾らないライフスタイルに、ピックアップトラックはよく似合いそうだ。
財前直見(ざいぜんなおみ)1966年1月10日、大分県生まれ。1985年、女優デビュー。シリアスな作品からコメディー作品まで、数々のテレビドラマや映画に出演。2007年より大分県に移住し、父、母、息子と4人暮らし。大分での暮らしを、Eテレ『財前直見の暮らし彩彩』や、EX系『家事ヤロウ!!!』、自身のInstagram(@naomi_zaizen_official)などでも紹介。著書に『直見工房』(宝島社)、『おおいた暮らし彩彩』(NHK出版)。終活ライフケアプランナー等の資格を活かした『自分で作る ありがとうファイル』(光文社)などがある。
オフィシャルサイトhttps://www.ken-on.co.jp/zaizen/
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Vol1.市毛良枝さん 前編/後編
Vol2.野村周平さん 前編/後編
Vol3.宇徳敬子さん 前編/後編
Vol4.坂本九さん&柏木由紀子さん 前編/後編
Vol5.チョコレートプラネット・長田庄平さん 前編/後編
Vol6.工藤静香さん 前編/後編
Vol7.西内まりやさん 前編/後編
Vol8.岩橋玄樹さん 前編/後編
Vol9.吉田沙保里さん 前編/後編
Vol10.板野友美さん 前編/後編
Vol11.常盤貴子さん 前編/後編
Vol12.永山瑛太さん 前編/後編
Vol13.菊地英昭さん THE YELLOW MONKEY / brainchild’s 前編/後編
Vol14.岸谷五朗さん 前編/後編
Vol15.瀬戸朝香さん 前編/後編
Vol16.市原隼人さん 前編/後編
Vol17.中山美穂さん 前編/後編
Vol18.伊藤英明さん 前編/後編
Vol19.村井國夫さん&音無美紀子さん 前編/後編
Vol20.今井翼さん 前編/後編
Vol21.長谷川京子さん 前編/後編
Vol22.萬田久子さん 前編/後編
Vol23.有森裕子さん 前編/後編
Vol24.豊原功補さん 前編/後編
Vol25.木戸大聖さん 前編/後編
Vol26.小柳ルミ子さん 前編/後編
Vol27.小林麻美さん 前編/後編
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Vol29.三上博史さん 前編/後編
Vol30.柏原芳恵さん 前編/後編
Vol31.佐野勇斗さん 前編/後編
Vol32.佐野史郎さん 前編/後編
Vol33.宅麻伸さん 前編/後編/バイク編
Vol34.吉田栄作さん 前編/後編
Vol35.益若つばささん 前編/後編
Vol36.溝端淳平さん 前編/後編
Vol37.君島十和子さん 前編/後編
Vol38.吉沢悠さん 前編/後編
Vol39.高岡早紀さん 前編/中編/後編
Vol40.木村多江さん 前編/後編
Vol41.大黒摩季さん 前編/後編
Vol42.石野真子さん 前編/後編
Vol43.勝地涼さん 前編/後編
Vol44.鶴田真由さん 前編/後編
Vol45.高橋大輔さん 前編/後編
Vol46.南果歩さん 前編/後編
Vol47.紺野美沙子さん 前編/後編
Vol48.今井美樹さん 前編/後編
Vol49.草刈民代さん 前編/後編
Vol50.財前直見さん 前編
文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・冨沢ノボル スタイリング・間山雄紀(M0) 車両協力:GD CARBASE 所沢IC店 編集・稲垣邦康(GQ)
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