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TCR EU最終戦:4人の王者争いはクプラに軍配。ミケル・アズコナが初王座獲得

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TCR EU最終戦:4人の王者争いはクプラに軍配。ミケル・アズコナが初王座獲得

 10月20~21日にスペイン・バルセロナで最終戦を迎えた旧TCR系シリーズ最高峰TCRヨーロッパは、4人のドライバーがタイトル争いを繰り広げる文字どおりの天王山に。その攻防を制したのはセアト・クプラTCRを駆る地元スペインのミケル・アズコナで、シリーズ初年度で見事に自身初のヨーロッパ・チャンピオンを獲得した。

 シリーズランキング首位を行くアズコナに対し、第6戦モンツァで連勝を飾り一気に選手権2位に浮上してきたTCRインターナショナル王者のジャン-カール・ベルネイ(アウディRS3 LMS)を筆頭に、“強豪”ターゲット・コンペティションのドゥサン・ボルコビッチ(ヒュンダイi30 N TCR)、KCMGのアッティラ・タッシ(FK8ホンダ・シビック・タイプR)ら4人がタイトルコンテンダーとなった。

TCR EU:第6戦モンツァ、アウディのベルネイが連勝でタイトル争いに名乗り

 その4名の勝負に加え、バルセロナのグリッドにはTCRドイツのフロントランナー、マイク・ハーダー(FK8ホンダ・シビック・タイプR/KCMG)や、BTCCイギリス・ツーリングカー選手権でスバル・レヴォーグGTをドライブする2017年チャンピオンのアシュリー・サットン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/ウエスト・コースト・レーシング)、そしてWTCR世界ツーリングカー・カップのレギュラー勢でもあるノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR/M1RA)、ナサニエル・バートン(アウディRS3 LMS/コム・トゥ・ユー・レーシング)など、シリーズ争いの行方に大きな影響を及ぼしそうな強力なゲスト勢がそろった。

 また、ここまでの3戦で記録した総合ラップタイムを勘案して新たなBoP(性能調整)も発動し、アウディRS3 LMSが50kg、ヒュンダイi30 N TCRが40kg、セアト・クプラTCRが20kg、そしてフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRが10kgのウエイトを搭載。対してスバルWRX STIが30kg、FK8ホンダ・シビック・タイプRとプジョー308TCRが20kgの軽減措置を受けた。

 その影響が如実に現れたのが予選セッションで、フロントロウは軽量化による恩恵を活かしたKCMGの2台のシビックが独占。ポールシッターのタッシが5点、TCRドイツ3連覇のジョシュ・ファイルズが4点を加算し、タッシはセカンドロウに並んだアズコナ、ボルコビッチに対しわずかにポイントリードを削ることに成功した。

 5番手、6番手にはミケリス、サットンの実力者が並ぶ一方、コンテンダーのひとりであるチームWRT、アウディスポーツ・レパード・ルクオイルのベルネイはBoPに苦しみQ2進出を逃し、13番手からのタイトル争いを強いられることとなった。

 迎えたレース1のオープニングラップは、KCMGの2台がポジションキープで1コーナーへ飛び込むと、その背後ではボルコビッチがアズコナをオフラインに押しやり3番手に浮上。後方ベルネイも見事なジャンプアップで9番手まで上げて高速ターン3へと続く展開に。

 その後、2番手ファイルズはチームメイトの勝利をアシストするべく3番手のヒュンダイを抑え込む仕事を見せるが、終盤に左フロントタイヤに異常を抱えてペースダウン。9周目の1コーナーでボルコビッチにパスされると一気に9番手までドロップしてピットへと戻り、そのままリタイアを余儀なくされた。

■KCMGがチームタイトルを獲得
 このライバル脱落で労せず3番手に浮上しタイトル獲得の権利を手にした地元アズコナだったが、後方から迫るミケリスのヒュンダイや今季のTCR UKでも勝利を挙げている元BTCC王者サットンからのプレッシャーにさらされる苦しい展開となり、PCRスポーツのクプラは地の利を活かせず10周目のターン10でフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRのアタックを受けると、続く切り返しで2台ともに先行を許してしまう。

 さらに背後にはアウディRS3 LMSの影が迫り、ベルネイとの直接対決を迎えるも、ここはなんとかしのぎきって12周のチェッカー。

 2018年シーズン最終となるレース2を前に、勝利を飾ったタッシが153ポイントでベルネイと並びランク3位、2位表彰台のボルコビッチが154点でランク2位に浮上し、177点のアズコナを追う構図となった。

 そして日曜午後16時を前にスタートが切られた最終ヒートは、オープニングラップでの波乱がほぼシリーズ争いを決めるまさかの展開に。

 7番グリッドから出たアズコナは重圧からか、防戦むなしく10番手にまでドロップする苦しいスタートとなるも、その前方で勝負を繰り広げていたタッシとボルコビッチの2台が接触。後方からプッシングされる形でコースオフしたタッシはグラベルでストップ。一方のボルコビッチも続くラップでピットへと向かい、サスペンションダメージからリタイアを強いられることに。

 タイトル争いのライバル2台がいきなり姿を消したレースで、残るはベルネイとの一騎打ちとなったアズコナだが、レース1と同様に12番手から上がってきたベルネイを無理せず前に行かせると、自身はアウディRS3 LMSのテールに最後まで張り付きフィニッシュラインへ。

 ベルネイは7位のリザルトが精一杯で逆転はならず。8位アズコナが待望のチャンピオンを獲得。レースウイナーはKCMGの3台目を走らせたハーダーとなり、これによりKCMGがチームズタイトルを獲得。2位にダニエル・ナジー(ヒュンダイi30 N TCR/M1RA)、そして3位にはTCR EUデビュー戦で初表彰台となったサットンが入った。

「信じられない、本当に素晴らしい瞬間だ。僕の人生の中で最もエキサイティングな出来事なのは間違いない。こんな素晴らしいドライバーたち、数多くの自動車ブランドの中でチャンピオンを獲れたなんて最高の気分だ」と喜びを語ったアズコナ。

「タッシやボルコビッチと競ることになったオープニングラップの状況が一番難しく、緊張する場面だった。誰もがチャンピオンシップを意識していたからね。でもそれが過ぎてからは本当に快適に走ることができた」

「ベルネイが迫ってきて1コーナーでホイール・トゥ・ホイールになったけど、マシンを無傷でゴールへ運ぶことだけに集中したんだ。その後はとてもイージーだった。今はクプラのみんな、それに家族と一緒にお祝いの時間を楽しみたいと思っているよ」

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