現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ブガッティのラジエターグリルは「蹄鉄」それとも「卵」?

ここから本文です

ブガッティのラジエターグリルは「蹄鉄」それとも「卵」?

掲載 更新
ブガッティのラジエターグリルは「蹄鉄」それとも「卵」?

グリル形状に関する長年の議論へのブガッティからの回答

「蹄鉄型か、それとも卵型か?」

ブガッティのラジエターグリルは「蹄鉄」それとも「卵」?

ブガッティの象徴的なラジエーターグリル形状の起源に関する議論は、これまで幾度となく繰り返されてきた。馬術愛好家でもあった創始者のエットーレ・ブガッティは、馬の蹄鉄ではなく、何か別のモチーフからインスピレーションを得たのだろうか? 今回、ブガッティがイースターエッグの時期に合わせて、このデザイン要素がいったいどこから来たのか、真の起源を説明するストーリーを公開した。

Bugatti Type 13

ブガッティ タイプ13

馬を好み、乗馬を楽しんだエットーレ・ブガッティ

若かりしエットーレ・ブガッティは単なる馬術愛好家ではなく、馬のブリーダーでもあり、馬車をコレクションした事実もある。彼は手綱をデザインし、驚くほど美しい馬も所有していた。そして、そのうち何頭かは、その時代の最高級のサラブレッドだったことも分かっている。

エットーレはアルザスのドリスハイム村にあるブガッティ家の敷地で乗馬を楽しんでいた。彼は馬に乗ったまま工場のホールを通り抜けられるよう、工場に専用の門を建てている。この門は馬が鼻先でゲートが開閉する大きな真鍮ロックプレート製の装置を備えていた。このエピソードからも、エットーレが4本のタイヤを備えたラグジュアリーな自動車と同じくらい、4本の足をもつ馬を愛していたことは明らかだろう。

しかし、これだけのエピソードがあるにも関わらず、ラジエーターグリルの形状が蹄鉄型とは断言できない。

父カルロ・ブガッティが好んだ楕円形のモチーフ

「芸術、独自の美学、そして素材の選択は、デザインや性能と共に、過去も現在もブガッティを推し進めてきた重要な価値観です」と語るのは、ブガッティのデザインディレクターを務めるアキム・アンシャイトだ。

エットーレは芸術への強いこだわりを持っていた。彼の父、カルロ・ブガッティは東洋から影響を受けた家具を製作しており、叔父のレンブラントは動物を題材とした彫刻家だった。後に「タイプ41ロワイヤル」のラジエターに飾られたマスコットは、後足で立ち上がり鼻を上空に伸ばした象の彫刻が用いられているが、これはレンブラントの作品から引用されている。

カルロ・ブガッティは流線型、カーブ、円、その他の丸みを帯びた形、そして楕円形=オーバル(語源はラテン語で「卵」を意味する「ovum」)を好む傾向があった。彼が製作した椅子やテーブルだけでなく、ゴブレット(聖杯)やインテリアデザインにも、このモチーフがかなり頻繁に用いられている。

カルロは楕円形が他に類を見ない、完璧な幾何学的形状だと考えていた。そして息子のエットーレは、常に父親と積極的に交流を持っていた。実際、父親の構想からインスピレーションを得て、いくつかのアイデアを彼の自動車にも取り入れている。卵型のラジエーターグリルはそのうちのひとつだったのだ。

卵型の楕円から、底辺を持つ楕円形状へ

ブガッティ創業後最初の2年間、顧客は角型か楕円形のラジエーターグリルを選択することができた。しかし、1912年の「タイプ13」以降はほぼ楕円形グリルを採用している。第一次世界大戦後、「タイプ13」は大掛かりな変更を受けて、グリルも平らなタイプの楕円形が初めて登場した。そして、エットーレは、「タイプ22」「タイプ23」「タイプ28」「タイプ30」と、数年間に渡って同じ形状のグリルを使い続けた。

エットーレが完全な楕円形状のラジエーターグリルから離れたのは、1924年に登場した名車「タイプ35」から。空力的な理由とフロントアクスルのレイアウトに自由度を与えるため、底部が平らな楕円形グリルを開発したのだ。この根本的な形状の変化により、卵のように見えていたグリルが蹄鉄のように見えるようになった。

当初、グリルの幅はかなり小さかったが、時間が経つにつれてどんどん拡大することになる。それは、エンジン性能の向上からより効率的な冷却が求められたこと、そしてスポーティな外観を実現するためだった。「その後、蹄鉄形グリルがブガッティのデザイン要素を象徴し、独特のトレードマークになりました」と、アンシャイトは説明する。

Bugatti Chiron

ブガッティ シロン

誰もが認識できるブランドのアイデンティティ

現在、ブガッティ製ハイパースポーツはラジエーターグリル形状から容易に識別することができる。そのグリルは「シロン」「シロンスポーツ」「ディーボ」のようなモダンな自動車に、エレガントな雰囲気を纏わせることに成功している。

「ユニークなグリルをもつ象徴的なフロントフェイスにより、ブガッティは遠くからでも識別できます。これこそがブランドアイデンティティ、知名度と言えるでしょう」と、アンシャイトは締めくくった。

こんな記事も読まれています

無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
AUTOSPORT web
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
Auto Messe Web
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
AUTOSPORT web
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
AUTOCAR JAPAN
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
Auto Messe Web
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
AUTOSPORT web
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
Auto Messe Web
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
レスポンス
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
AUTOCAR JAPAN
1度の運転では好きになれない シトロエンCX 5台を乗り比べ(2) GTiにファミリアール 仏大統領も愛用
1度の運転では好きになれない シトロエンCX 5台を乗り比べ(2) GTiにファミリアール 仏大統領も愛用
AUTOCAR JAPAN
4連覇を決めたフェルスタッペン「苦しいシーズンの中で多くのことを学んだ。だからこそ特別だし、誇らしい」
4連覇を決めたフェルスタッペン「苦しいシーズンの中で多くのことを学んだ。だからこそ特別だし、誇らしい」
AUTOSPORT web
【ポイントランキング】2024年F1第22戦ラスベガスGP終了時点
【ポイントランキング】2024年F1第22戦ラスベガスGP終了時点
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村