国内のみならず、世界中でブームとなっている、SUV。頑なにスポーツカーにこだわってきたフェラーリですら、SUVを計画中だというこのブームは、まだしばらく続くとみられる。その大人気ジャンルSUVで、昨年2019年、国内ナンバーワンの販売台数を誇ったのが、ホンダのヴェゼルだ。
現行である初代ヴェゼルがデビューしたのは、2013年12月のこと。デビュー直後から、爆発的な人気で、登録車販売台数ランキングでは、常に15位以内にランクインし続けている。
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しかし、昨年2019年の新型RAV4から始まった、トヨタの国内SUVジャンルへの大攻勢によって、ヴェゼルは、今年2020年初から販売台数を急激に落としてしまっている。
ヴェゼルとプラットフォームを共有する、フィットが今年、新型へとモデルチェンジしたことから、近くヴェゼルにも新型が登場すると思われ、フィットの売れ行きが好調であることから、ヴェゼルもまた、新型での活躍が期待される一台だ。
ベストカーWeb編集部の予想によると、ホンダ新型ヴェゼルの登場時期は2021年春頃となっている。2021年初頭に開催される東京オートサロンにプロトタイプが出展される可能性もあるという。次期型ヴェゼルは、ライバルSUVに対して有利に立てるのだろうか。考察してみよう。
文:吉川賢一
写真:HONDA
【画像ギャラリー】次期型ヴェゼルはどうなる!? 先代フィットと現行ヴェゼル、そして現行フィットと次期型ヴェゼル予想CGを見比べ!!
フルモデルチェンジ近し!! 次期型ヴェゼルはどうなる!?
次期型ヴェゼルは、新型となった4代目フィット(GR系)をベースに、2021年春にもデビューする、との情報が出てきている。現時点、次期型ヴェゼルに関しての確定情報はないので、フィットの姿から予想していこう。
2020年1-8月の国産SUV登録台数トップ10 トップ4をトヨタが独占する中で、昨年11月にデビューしたライズの勢いが圧倒的 昨年度年間1位だったヴェゼルは、現時点5位と沈んでいる
土台となるプラットフォームは、フィットが先代フィットのプラットフォームを流用したことから、ヴェゼルも現行ヴェゼルの流用となると考えられる。ボディサイズは、現行ヴェゼル(全長4330×全幅1770×全高1605)に対し、全長はそのままに、全幅は1800ミリに拡幅、全高はやや下げて1600ミリと予測する。
フィットでは、構造用接着剤の採用など、走りの質感向上につながる新技術がしっかりと導入されており、これらも次期型ヴェゼルには、必須の技術だろう。
パワートレインは、新型フィットに採用した2モーター方式の1.5リッターハイブリッド(132ps/15.9kgm、モーター29.5ps/16.3kgm)のe:HEVが用意されるのは間違いない。現行ヴェゼルツーリングに搭載されている、1.5リットルi-VTEC(131ps/15.8kgm)もしくは、VTECターボ(172ps/22.4kgm)も、遅れて用意されるであろう。
なお新型フィットにある、ベーシックな1.3リットルガソリン(98ps/12.0kgm)は、ヴェゼルの持つスポーティな走りのイメージにはやや足りない。そのため、現行ヴェゼルの1.5リッターi-VTECガソリンエンジンを残し、高性能&低燃費のe:HEVか、経済的なガソリンか、という選択肢を用意してくるのではないか、とみている。
次期型ヴェゼルは、やや上級移行した、クロスオーバーSUVを目指すはずだ(画像はベストカーによる予想CG)
また新型ヴェゼルでは、RAV4やエクストレイルといった4WD SUVカテゴリでも存在感を得たい、とホンダは考えているはずだ。そのため、4WD販売比率を上げてくるのではと予測する。
19インチを装着し足回りを強化した「RS」仕様も考えられる。1年ほど遅れて、モデューロバージョンも追加されるだろう。現行ヴェゼルの立ち位置よりも、やや上級移行した、クロスオーバーSUVを目指す、というのが筆者の予想だ。
ホンダは、ヴェゼルの下に位置するスモールSUVを開発中だ、という情報もある。ヴェゼルがやや上級移行し、その下にスモールSUVを追加する。この2台体制で、国内コンパクトSUV市場に打って出るのではないか。
ホンダの新型スモールSUVは、全長4メートル以下、全幅1750ミリ程度 ホンダeのボディサイズに近いと予測している(画像はベストカーによる予想CG)
次期型でも、成功することができるか!?
現在の日本市場では、コンパクトSUVが乱立状態だ。特に、ロッキー/ライズは手ごろなサイズと価格で、使い勝手も抜群。いま人気沸騰中のヤリスクロスは、ハイブリッドが228万円(ハイブリッドX 2WD)と、エントリー価格が非常に安い。
しかし、そんな中でも、「ホンダらしさ」を忘れなければ、ヴェゼルは次期型でも、現行型と同じように成功するであろう。
「ホンダらしさ」とは、例えば、コンパクトなボディなのに「想像がつかないほど」車内が広く、また「想像した以上に」きびきび走る、そして「驚くほどに」燃費が良い、といった「他社がマネすることができないような、技術とパッケージング」だ。
現行ヴェゼルのデザインは、今見ても新鮮味があるスタイリングをしている。次期型ヴェゼルもキープコンセプトながらも、チャレンジングなデザインに挑戦してみていただきたい
e:HEVのなめらかさ、加速性能、音振、燃費は、「他社がマネすることができない技術」であり、新型ヴェゼルをさらに魅力的に魅せるだろう。ヴェゼルの後席シートを折りたたんだときの使い勝手の良さはバツグンだ。
ホンダの得意とする、センタータンク方式による実用的なパッケージングと優れた居住性は、新しく登場した、他社のSUVと比べて有利であり、ヴェゼルならではの魅力である。フィットで見せてくれたインテリアの質感も、次期型ヴェゼルにぜひ織り込んで欲しいポイントだ。
ホンダとしても、大ヒットが見込める次期型ヴェゼルには、そうとう力をいれて開発に取り組んでいると思われる。ホンダが威信をかけて開発しているであろう、次期型ヴェゼルの登場が、いまから楽しみだ。
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