あと1カ月あまりで平成が終わろうとしています。ここで、50代以上のオジサン世代が、思わずウルウルくる、今となっては懐かしいクルマの装備や当時、流行したアフターパーツをピックアップし、クルマに熱中した青春時代を思い出そうじゃありませんか!
また、これらの装備類は、すでに絶滅したのか? それとも生きながらえているのかも合わせて紹介していきたい。
【本当にスマホで足りるのか? それとも独自の価値が!?】最新カーナビの進化と行方
文/野里卓也
写真/野里卓也、ベストカーWEB、ムーンアイズ
■時速100kmで車内から聞こえる「キンコンチャイム」
これは40代の人たちはむせび泣いて喜ぶ(?)昔のクルマには必ず装着されていた装備のひとつ「速度警告音」。
現在は一部の高速道路で最高速120km/ hという速度制限が引き上げられたエリアも出てきているというのに、信じられないかもしれないが、昔のクルマは高速道路を走行し、100km/hあたりになると速度超過をチャイムやメロディで知らせる、速度警告音なるものが付いていたのだ。
なぜ、そんなものが付いていたかというと当時のクルマの技術水準では100km/h超の領域は未知なる領域で、それ以上の速度になると注意を喚起するために音で知らせていたのだ。
ちなみにこの機能が付いていたのは1980年代後半までの国内で販売されていた普通乗用車と軽自動車で、軽は約85km/hで警告音が作動していた。
さて、その速度警告音が廃止されていたのは1986年から。その時代になってくると、クルマの性能が向上し、100km/h超の世界はもはや当たり前の世界になってきたからだ。
また、当時の輸入車にはそうした機能はなく日本車独自のものと海外自動車メーカーからやり玉に挙げられ、そうした格差をなくすためなどいくつかの要因もあり、現在のクルマには不要な装備となってしまったのだ。
■もはや絶滅危惧種の「コラムシフト」
クルマのシフトレバーには、フロアから突き出たモノやインパネに備えたモノがあるが、絶滅危惧種といわれるコラムシフト。
コラムシフトの説明をする前に、改めてコラムという言葉について触れておきたい。コラム(Column)とは英語で柱や円柱を意味する言葉で、クルマではステアリングの根元、ウインカーやワイパーレバーの付いている部分をステアリングコラムという。そこにシフトレバーを備えたモデルがあり、現行の乗用車では日産キューブが採用している。
しかし、現在はインパネにシフトレバーを設けたインパネシフトが主流。制御技術の進歩によって、インパネ内でもコンパクトなサイズに収まるようになったのもそうだが、視認や操作性などコラムシフトよりも使い勝手が良いことで選ばれている。
それはさておき、コラムシフト車のミッションはAT(CVT)を採用しているのだが、ひと昔前はそれがマニュアルのモデルもあったのだ!
乗用モデルだとトヨタクラウンセダン(コンフォート)や日産セドリック、それにマツダルーチェなど。主にタクシーで導入されていた車種に採用されていた。
そのほか商用モデルでもコラムMTやコラムATを採用した車種も数多かったのだが、現在はほとんどその姿は見られず……。
■流行したこんな装備が懐かしい
ここで、昔流行ったよね、という懐かしいアイテムを紹介していこう。きっと読者のみなさんもこれらのパーツをオートバックスやイエローハットなどの量販店に買いに行ったのではないだろうか。
1/クルマのインテリアが寂しいので飾ってみた花飾り「フラワーレイ」
これもクルマのインテリアには欠かせないアイテムだった、フラワーレイ。ハワイの空港などで観光客を歓迎するため首にかけてくれるフラワーレイとは違いこちらは造花。当時はクルマの用品店などで扱っており、国産や輸入車といったジャンルを問わず、多くのクルマのルームミラーにかけられていた。
ちなみに写真を提供していただいた読者はサーファーだったそうで、当時を振り返り、車内をハワイアンな雰囲気に演出できるアイテムとしてフラワーレイを気に入っていたという。
そのいっぽうで、ナンパをする時もクルマに飾るアイテムとして斬新だったのか、女子受けは良かったとのこと。やはり古今を問わず女性に受けるアイテムというのは、愛車には必須なようだ(笑)。
なお、現在はクルマに飾り付けているのはほとんど見かけないが、フラワーレイ自体は100均ショップでも販売している。
2/ダッシュボードのヤシの木
これは赤いファミリアが大流行した1980年代、クルマのダッシュボードにヤシの木のミニチュアを置くのが流行った。
サーフボードをルーフに置くオカサーファー(サーフィンしないでカッコだけ)が多かったこの時代、サーファーへの憧れもあったのだろう。ちなみに現在でもネットや雑貨屋で売られている。
3/アンテナボール
これも1980年代、キャルルックといわれる、アメリカ・カリフォルニアのカスタム文化が日本に入ってきた頃、伸縮式のアンテナの先端にアンテナボールを付けるのが流行した。写真は横浜・ムーンアイズのアンテナボールで今でも販売中。
そのほか、水中花シフトノブもあるが、これはどちらかというと流行したわけではなかった。現在、絶滅寸前ではないかと思ったが、レジンで自作するキットも売られており、しっかり生き残っていた。
■今でも生き残っている「レースのシートカバー」
身近なクルマでシートにカバーを付けている車両といえば……、タクシーをまず思い浮かべるのでは。シートの汚れを防止してくれるし、定期的に外して洗うことで綺麗で清潔感が保てるし、何より多くのお客さんを乗車する乗り物としてイメージアップには持ってこいのアイテムだ。
そんなシートカバーは法人専門のアイテムかと思えば、今でもしっかり純正オプションとして残っていたりする。
親子連れで乗車する機会の多いミニバンでは、子どもが飲み物をこぼしたときにも安心な撥水タイプのカバーもあり、シートカバーも進化を遂げているのだ。
とはいえ、今は愛車にシートカバーを付けるのをほとんど見かけなくなったのは、付ける手間もそうだが、かっこ悪く見えてしまうから。
特に高級感あふれる(!?)レースのシートカバーは、ネットの巨大掲示板でも「ダサい装備」として真っ先に候補に挙げられる始末……。
ちなみにレースのシートカバーはセダンを中心に今でもオプションとしてラインアップされている。だが、もはや風前の灯火かもしれない。
でも筆者が60代、70代になったら、レースのシートカバーがオシャレだと、気が変わって装着しているかもしれない……。
■ぶつけそうな左最前部はコーナーポールがあれば安心?!
クルマのフロント、左の先端部にそびえ立つアンテナみたいな棒がコーナーポール。運転席からは死角となる左側は擦りやすいことで純正オプションとして用意されているアイテムだ一度その恩恵に授かるとその効果は絶大で、次の愛車でも装着したくなるもの。
しかし、今では日産のアラウンドビューモニターに代表されるようにセンサーやソナー、それにカメラの技術が格段に進化して、クルマの死角をサポートする優れた装備が出てきたおかげもあり、ほとんど見かけなくなった。
だが、やはりコーナーポールの良いところは、視認性と仕組み自体がシンプルなところ。なので、現行モデルはもちろん輸入車にだってオプション装備としてラインアップしているのだ。
でも、時おりコーナーポールを左右両方に付けているクルマを見るのだが、これにはビックリ‼ 運転に慎重なタイプなのだと思いたいが……。
■ダッシュボードの敷物って毛皮ですか?「チンチラ」
これはムートンではなく、チンチラのこと。ダッシュボードなどインパネ周りに置く敷物で、生地に特徴があり、げっし類(リスやハツカネズミなど)に属するチンチラという動物の毛皮の風合いに似せて作られており柔らかで肌触りも良く、名称もそれに由来する。
流行の全盛期にはインパネだけではなくシートやドア周りまでコーディネイトした猛者もいたほど! その歴史はかなり古く、1980年代当時に竹ヤリや出っ歯、オバフェンにシャコタン(ベストカーWeb読者にはお馴染みの言葉)などが施された「チバラギ」仕様で数多く見られたという。
今では完全に廃れてしまったアイテムではあるのだが、生地自体はいまだに流通しており、写真を提供していただいた読者はトヨタの現行コンパクトカーにてチンチラを自作! 生地はネットで購入したそうで現物合わせや型取りをして、スポンジに生地を重ねて裁断、貼り付けしたそう。
■番外編/雨の日に限ってラジオから規則的に流れるノイズって何?
現代のクルマではにわかに信じがたいが、これはむかーし、昔の話。それも昭和50年代あたりまで遡る。その当時のクルマは雨の日にワイパーを使っていると、ワイパーのモーターのブラシから生じる火花が電波ノイズとなり、ラジオがそのノイズを拾うことで、規則的な音がラジオから流れてくる現象があったのだ。
それと同じようにウインカーを使っている時に、電源のON/OFF(ウインカーの点滅)から生じるノイズでも同じ現象が起きることもあった。
そんな現象がなくなったのは、ブラシ式のモーターでも、チョークコイルのようなノイズを抑える部品が付いたり、ウインカーの接点まわりも改善が施されるようになったから。あと、ラジオの性能が良くなったことも挙げられる。
ちなみに、当時のクルマでも高級車になってくるとノイズ対策が施されており、そんな現象はほとんど見られなかった。
ともあれ、今でも一部の商用車でそんな現象を耳にする時もあるが、現代のクルマには全く縁のない話ではある。
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