2023年1月の乗用車全体(軽自動車を含む)の販売台数は31万9,870台、前年比は117.4%と2桁の伸びを示しました。国産9ブランドのうちホンダ(93.6%)以外の全ブランドが前年を上回り、スバル(146.7%)、日産(132.7%)、レクサス(132.3%)の好調が目立ちます。
軽自動車を除く1月の新車販売ランキングは、トヨタヤリスが再び首位に返り咲き、カローラが僅差の2位となったほか、3位シエンタ、7位ヴォクシー、8位ノアなどトヨタの新型ミニバンが好調です。軽自動車(乗用車)は、ホンダN-BOXの首位は揺るがず、2位ダイハツタント、3位ダイハツムーヴ、4位スズキスペーシアまで4ヵ月連続同じ順位となっています。今回も自動車評論家の島崎七生人さんに詳しく解説をしてもらいましょう。
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国産乗用車販売台数 2023年1月(軽自動車を除く)
順位 車名 ブランド名 台数 前年比
1 ヤリス トヨタ 14,772 81.3
2 カローラ トヨタ 14,463 114.1
3 シエンタ トヨタ 11,038 319.5
4 ノート 日産 9,875 117.9
5 ルーミー トヨタ 7,674 71.6
6 アクア トヨタ 7,130 72.3
7 ヴォクシー トヨタ 7,068 398.4
8 ノア トヨタ 6,859 415.7
9 フリード ホンダ 5,808 120.0
10 アルファード トヨタ 5,144 110.8
11 ハリアー トヨタ 4,879 160.0
12 RAV4 トヨタ 4,750 261.4
13 ソリオ スズキ 4,703 128.1
14 クラウン トヨタ 4,498 280.1
14 ライズ トヨタ 4,447 52.4
16 ランドクルーザーW トヨタ 4,055 164.7
17 フィット ホンダ 3,992 93.9
18 セレナ 日産 3,511 74.5
19 プリウス トヨタ 3,214 111.1
20 ステップワゴン ホンダ 3,079 110.0
21 CX-60 マツダ 3,023 22年9月発売
22 ヴェゼル ホンダ 2,917 67.9
23 パッソ トヨタ 2,632 112.9
24 ジムニーW スズキ 2,364 233.6
25 フォレスター SUBARU 2,338 138.3
26 MAZDA2 マツダ 2,004 109.9
27 スイフト スズキ 1,958 87.6
28 アウトランダー 三菱 1,685 80.8
29 インプレッサ SUBARU 1,638 143.6
30 CX-30 マツダ 1,636 94.8
31 リーフ 日産 1,629 128.0
32 NX350H レクサス 1,626 135.5
33 レヴォーグ SUBARU 1,621 3117.3
34 ロッキー ダイハツ 1,619 82.1
35 デリカD5 三菱 1,571 148.1
36 エクストレイル 日産 1,517 190.3
37 CX-5 マツダ 1,428 63.9
38 MAZDA3 マツダ 1,295 109.0
39 CX-8 マツダ 1,238 146.0
40 クロスビー スズキ 1,228 129.3
41 C-HR トヨタ 1,182 110.3
42 トール ダイハツ 1,121 112.2
43 ハイエースW トヨタ 1,075 181.0
44 シビック ホンダ 1,036 117.9
45 CX-3 マツダ 804 86.9
46 キックス 日産 788 27.2
47 NX250 レクサス 775 450.6
48 レガシィ SUBARU 748 51.0
49 86 トヨタ 698 44.9
50 ロードスター マツダ 658 58.6
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。例:カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
※ 前年比欄について、前年の台数がない場合や、前年比の桁数が5桁を超える場合は空白で表示しています。
ホンダ以外の全ブランドが前年超えの好調ぶり
今年1月の消費者物価指数は4.2%の上昇率だったとのこと。モノの値上がりが当たり前のことになるとの意識改革が必要……といった専門家の意見も。けれどガス代、電気代を始め、食料品からペットトイレ用品など、身の回りのありとあらゆるものの値上げラッシュがこう続いては、ほとほと身に堪えるというのが実感だ。
そうした中、年が変わった2023年1月の乗用車全体の販売台数は、前年比117.4%と昨年12月の101.5%を上回る伸びを見せた。国産9ブランドで見るとスバル(146.7%)、日産(132.7%)、それからレクサス(132.3%)の伸びが大きく、これにスズキ(131.1%)、ダイハツ(125.1%)、マツダ(124.2%)と続く。トヨタ(116.8%)はレクサスとは台数規模が異なるものの、9ブランド中では7番目とやや勢いを欠いた。一方で唯一、前年比を割ったのがホンダ(93.6%)だった。
TOP10のうちトヨタ車が8車種を占める
車名ごとに見ても、1月は前月に対してほとんどの銘柄が台数の数字を上乗せしている。トヨタ車は前述のとおり全体の台数では他社に一歩譲る前年比だったが、個々の銘柄は相変わらず強く、トップ10圏内では何と8銘柄をトヨタ車で占める状況。1位の座に返り咲いたのはヤリス、2位はカローラだったが、この2銘柄、昨年12月はカローラが1位で1万1,202台、2位ヤリスで1万1,192台、1月にはヤリスが1万4,772台で1位、カローラが1万4,463台で2位と、2ヵ月連続で僅差の台数で競っている点が見逃せない。3位のシエンタの順位は変わらず、台数は前月の9,348台から1万1,038台に伸ばしており、今後の動向が注目される。注目といえば7位のヴォクシー(7,068台/前年比398.4%)、8位のノア(6,859台/同・415.7%)は、両銘柄ともに前年比が大きく膨らませたことからも見てとれるように、やっと安定的な販売台数にこぎ着けた……そんな感がある。
ハリアー、RAV4も復調傾向、プリウスも上位をうかがう勢い
トヨタ車では11位のハリアー(4,879台)と12位のRAV4(4,750台)も、ここにきて台数を戻してきた。ちなみに前月はハリアーが25位/1,713台、RAV4は18位/2,853台。クラウンも前月の3,283台から4,498台に台数を増やしており、今後の動向にも注目していきたい。同様にランドクルーザーも前月の2,848台から1月は4,055台へとジワリと台数を増やした。それとプリウスも前月の28位から1月は一気に19位へと順位を上げ、台数も1,498台から3,214台へと伸びをみせている。今後の動きが気になる1台だ。
CX-60を筆頭にマツダも好調、ホンダは精彩を欠いた
ほかに前月の34位から21位に順位を上げたマツダCX-60が台数も1,304台から3,023台に倍増以上の躍進となったのを筆頭に、同社の銘柄ではCX-30(1,107台→1,636台)、CX-8(901台→1,238台)やロードスター(475台→658台)などが台数を引き上げた。
反対にホンダ勢の弱含みも気になるところ。フリードが唯一トップ10圏内にあるものの台数は前月より落としているほか、フィット、ステップワゴン、ヴェゼルも販売台数上、精彩に欠けた1月だった。
軽乗用車販売台数 2023年1月
車名 ブランド名 台数 前年比
1 N-BOX ホンダ 19,792 103.0
2 タント ダイハツ 14,330 179.4
3 ムーヴ ダイハツ 10,238 130.0
4 スペーシア スズキ 10,189 184.8
5 ルークス 日産 7,956 265200.0
6 ハスラー スズキ 7,180 153.6
7 ワゴンR スズキ 7,157 120.9
8 アルト スズキ 5,453 103.3
9 ミラ ダイハツ 4,901 109.9
10 タフト ダイハツ 4,788 104.6
11 サクラ 日産 4,213 22年6月発売
12 N-WGN ホンダ 3,690 129.7
13 ジムニー スズキ 2,740 74.9
14 eK 三菱 2,183 120.8
15 デイズ 日産 2,078 40.3
※ 車名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ワゴンR、ミラ、ムーヴ、eK、ピクシスなど)
※eKにeKクロス EVは合算していません
安泰のN-BOX、マイナーチェンジ効果でタントも2位の座を固める
1月の軽自動車は上位15車の顔ぶれは前月と変わらなかった。また各銘柄ごとの販売台数も、ほぼ前月よりも数字を上乗せしているのが見てとれる。
1位となったのは、これはもう強い、安定、安泰といった風のホンダN-BOX。台数も1万9,792台とあと一歩で2万台に届こうという数字を残し、例えばヤリスの1万4,772台を大きく引き離している。ただし前年比は前月の124.7%に対し1月は107.0%という点は気になるところではある。
前月に続き2位につけたダイハツタントも前月の1万2,160台から1月は1万4,330台に販売台数を増やし、前年比も179.4%の実績を残した。ファンクロスの追加やマイナーチェンジ、キャンペーンの効果なのだろう。3位のムーヴ、4位のスズキスペーシアも前月と順位は変わらず、スーパーハイト&ハイト系ワゴンが相変わらず軽自動車の主力商品になっていることがわかる。スペーシアについては前年比も184.8%と好成績だ。
好調続くサクラ、N-BOX以外が振るわないホンダ
5位の日産ルークスについては前年比265200.0%となっているが、これは昨年同月のエアバッグ関連の不具合による出荷停止(2022年2月に販売再開)のタイミングと重なっていたため。一方で日産のEV、サクラは、前月から順位をひとつ上げ、台数も3,568台から4,213台へと増やしている。
1位のN-BOXが安泰なのに対して、同じNシリーズのN-WGNは改良を入れながらも12位に留まり、15位圏内ではただ1銘柄、前月よりも台数を落としている。アルト(8位/5,453台)とミラ(9位/4,901台)、ハスラー(6位/7,180台)とタフト(10位/4,788台)などのライバル車同士では、相変わらずどちらもスズキが優勢だ。
※記事の内容は2023年2月時点の情報で制作しています。
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