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新型シビック6/24世界初公開!! 発売は8月!! 売れるのか? そしてどうなるタイプR??

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新型シビック6/24世界初公開!! 発売は8月!! 売れるのか? そしてどうなるタイプR??

 2021年6月24日、ホンダは新型シビックの日本仕様(5ドアハッチバック)を世界初公開した。…といっても公開されたのは外観&内装デザインと主な仕様のみで、価格と「正式な発表発売日」については未発表(「2021年8月登場」とだけアナウンス)。

 今回明らかになった新型シビックの情報を整理してお伝えしつつ、ホンダの国内販売ラインアップの変化や「タイプRどうなるの」という話をお届けします。

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文/渡辺陽一郎、ベストカーWeb編集部 写真/佐藤正勝

【画像ギャラリー】見慣れるとそれなりにカッコいい(いや本当に)新型シビックハッチバックの全写真

■紆余曲折、運命と市場に翻弄されるシビック

 クルマに興味のない人でも、シビックの名称はご存知だと思う。

 ホンダの主力車種で、初代モデルの発売は1972年に遡る。1973年には希薄燃焼方式のCVCCを加え、厳しい排出ガス規制にも早期に対処した。北米でも販売され、今のホンダ車を象徴する環境性能の優れたグローバルカーであった。

1972年に登場した初代シビック。当時は2ドアハッチバックだった

 この後もシビックは堅調に売れて、1983年に登場した3代目は、コンパクトなボディに広い室内を備えた。外観もカッコ良く、上質なデザインと優れた空間効率を両立させた。

 ところが2000年に発売された7代目は、人気の高かった3ドアを廃止して車内の広い5ドアとセダンになり、売れ行きに陰りを見せた。2001年には低価格で車内の広い初代フィットが発売され、絶好調に売れてシビックは需要を奪われてしまう。

 2005年登場の8代目は3ナンバーサイズのセダンのみになり、ますます売れ行きを下げた。その結果、2010年にシビックは国内販売を終えた。

 この後、9代目は国内では売られず、2017年に10代目が復活した。当初は国内の寄居工場で生産されるセダンと輸入車のハッチバックをそろえたが、2020年にセダンは終了してハッチバックのみになった。

 ちなみに今から30年前の1991年には、シビックは1か月平均で1万4000台以上を販売していた。今のフィットを上まわり、約1万7000台のN-BOXに迫ったが、現行シビックの月販台数は1000台以下だ。

1991年9月に登場した4代目シビック。当時は若者が憧れる(そしてかろうじて手が届く)クルマだった。SiR-IIという響きに胸が躍った

■最近のホンダ車らしい「顔」になったが…

 まさに波乱万丈のシビックだが、11代目にフルモデルチェンジすることになった。2021年6月24日に概要が公表されたが、細かなデータと価格は未定だ。納車をともなう「発売」は2021年秋になるという。(編集部註/今秋発売するのは純ガソリン仕様のみで、HV仕様である「e:HEV」と「タイプR」は「2022年登場」と告知された。詳細は後述する)

このたび世界初公開となった新型シビックのハッチバック。ホンダらしいフロントマスクで、見慣れるとけっこういい

 新型シビックは、基本的には従来型のクルマ造りを継承する。ボディタイプは(日本仕様は)5ドアハッチバックのみで、エンジンは直列4気筒1.5Lターボが用意された。グレードはLXとEXの2種類になる。2022年にはハイブリッドのe:HEVと、スポーツモデルのタイプRを加える予定だ。

 外観は今のホンダ車の流れに沿ったデザインだ。フロントグリルを直立させて、顔立ちをハッキリさせている。ボディを側面から見ると、フロントピラー(柱)を従来型に比べて50mm後退させた。室内側に引き寄せることで、ボンネットを長く見せている。このデザインは最近のセダンの流行でもある。

 フロントピラーの後退により、左右方向の前方視界も拡大した。従来型は84度だが、新型は87度になった。ボンネットの両端も25mm低く抑えられ、これも前方を見やすくしている。

リアサイドから外観を眺めると、「あ、なるほどたしかにハッチバックだな」と思うデザイン。とはいえ昔のアコードクーペのような形状にも見える

 運転席に座って前方を眺めると、左右の視界が開け、ボンネットも良く見える。車幅やボディ先端の位置も分かりやすい。

 ボディの側面については、従来型ではサイドウインドーの下端を後ろに向けて持ち上げたが、新型では水平に近づけた。後席の部分では、サイドウインドーの下端を35mm低く抑えた。

 そのために後席に座った時、従来型に比べると閉鎖感が抑えられている。サイドウインドーは、後端部分にリヤクォーターガラスを装着したから、水平基調と相まって後方視界も向上した。今のホンダ車は、フィットを筆頭に安全性を左右する視界を向上させており、新型シビックもその流れに沿っている。

■全長が伸び、全高は低く、全幅は変わらず

 ボディサイズは、全長:4530mm、全幅:1800mm、全高:1415mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔):2735mmになる。

 従来型に比べると、全長は10mm拡大され、全高は20mm下がった。全幅に変更はない。従来型と同等のサイズだが、ホイールベースは35mm拡大された。全長が伸びたのは10mmだが、ホイールベースは35mmだから、4輪がボディの四隅に踏ん張る形状になっている。

全長はやや伸びたが、全幅は変わらなかった。これ以上大きくなったらどうしよう…と思っていたホンダファンも多いのでは

 車内に入るとインパネは水平基調を強めた。従来型はスポーティな囲まれ感を重視したが、新型はシンプルに仕上げている。個性的なのは、インパネの中央から助手席の前側に装着された細長い網目状の装飾だ。エアコンの吹き出し口を隠している。

 ATレバーは、従来と同じく前後にスライドさせる方式で、エアコンのスイッチは高い位置に装着した。メーターのサイズも大きく、視認性や操作性は良好だ。

 シートは新型になって構造を変更している。従来型に比べると骨盤を確実に支えるので、着座姿勢が安定して、長距離を移動する時でも疲れにくい。

 後席の居住性も、従来型に比べて向上した。全高は20mm下がったが、天井付近の形状を工夫したから頭上空間は減っていない。前後席の間隔は、前述のホイールベースと同じく35mm拡大されている。そこで身長170cmの大人4名が新型シビックに乗車すると、後席に座る乗員の頭上空間は握りコブシ1つ弱。足元空間は握りコブシ2つ半だ。足元にはLサイズセダンに匹敵する余裕があるので、4名で乗車して長距離を移動する機会の多いユーザーにも適する。

シートの座り心地と視認性は国産車のなかでも随一。こういう細かい気配りはホンダならでは。シビックに根強いファンがいることも、うなづける。とはいえフィットとステップワゴンに挟まれているかたちとなり、販売は苦しい

 荷室の広さは従来型とほぼ同じだ。ボディ形状の変更とホイールベースの拡大により、リヤ側のオーバーハング(ボディが後輪よりも後方へ張り出した部分)は20mm減ったが、荷室の使い勝手は低下していない。

■エンジンは1.5Lターボのみで6速MTも用意

 エンジンは前述の通り直列4気筒1.5Lターボを搭載する。トランスミッションは、無段変速ATのCVTと、6速MT(マニュアルトランスミッション)を用意した。従来型シビックハッチバックでは、6速MTの比率が30%に達する。マツダ3は10%、カローラスポーツは20%前後だから、シビックの6速MT比率は高い。

 動力性能は、両トランスミッションともに最高出力が182馬力(6000回転)、最大トルクは24.5kgm(1700~4500回転)になる。従来型ではCVTの最大トルクが22.4kgmだったが、新型では6速MTと同じ24.5kgmに向上する。

エンジンは1.5Lターボのみのラインアップ。6速MTの比率が30%というのは驚いた。なぜそんなにMTが好まれるのか…昔ながらのファンが多いということか

 また6速MTの最大トルクは、従来型では24.5kgmを1900~5000回転で発生させたが、新型は1700~4500回転だから、頻繁に使う実用回転域の駆動力が高い。エンジンの回転感覚も洗練され、従来以上に運転操作に忠実な走りが行える。

 CVT搭載車には、ノーマル/エコ/スポーツというドライブモードを追加した。モードの選択に応じてエンジンやCVTの特性が変わり、エコモードではエアコンも燃料消費量を抑えた設定になる。

 新型では走行安定性と乗り心地も向上する。プラットフォームやサスペンションの基本形状は従来型と同じだが、各部に改良を加えた。ボディについては、捩れが生じやすいフロントサスペンション付近と、リヤゲート開口部の周辺を補強している。ボディの底面部分に位置する骨格も強化した。いわゆる捩れ剛性は、従来型に比べて19%向上する。この変更は走行安定性と乗り心地の両方にメリットをもたらす。

 このほか各部の摩擦を低減させ、ホイールベースを35mm、後輪側のトレッド(左右のホイールの間隔)を12mm広げた効果もあり、走りの質を総合的に高める。

 静粛性も向上する。各部の剛性アップによって振動の伝達特性を改良して、吸音型フロアアンダーカバーなども備えるからだ。ホイールもタイヤの共鳴音を減らすタイプとした。

■安全技術は大幅向上し、価格はちょいアップか

 安全装備も進化する。衝突被害軽減ブレーキのセンサーは、従来型では単眼カメラとミリ波レーダーを併用したが、新型は単眼のフロントワイドビューカメラを使う。視野角は100度で、車両、歩行者、路上の白線や縁石などを検知する。前後に音波センサーも装着され、近距離にある車両や建物などの障害物を検知する。誤発進抑制機能などを含めて、駐車時の事故防止も向上させた。

 上級グレードのEXには、アダプティブドライビングビームが備わる。上下方向の照射範囲をロー/ミドル/ハイビームの3段階に分けて、対向車や歩行者に対しては、ミドルビームを使って眩惑を防ぐ。LEDの個別消灯も行う。

内装は、いろいろな意味でクラシカル。たとえば流行りの縦形式大型モニターなどは採用していない。シビックのユーザーも、このモデルと一緒に年齢を重ねているんだろうなあ…という感じ

 運転支援機能も進化した。操舵の支援は、従来型では時速65km以上で作動したが、新型では発進時から効果を発揮する。渋滞時でも操舵支援を受けられる。以上のように新型シビックは、従来路線を踏襲しながら、走行性能、居住性、安全装備まで、機能を幅広く向上させている。

 グレード構成は前述の通り、LXと上級のEXだ。装備はLXでも充実しており、衝突被害軽減ブレーキ、後方の並走車両などを検知して知らせるブラインドスポットインフォメーション、サイド/カーテン/ニーエアバッグ、通信機能を備えたホンダコネクト、9インチのディスプレイオーディオなどを標準装着する。

 EXでは、上質なスエードを使ったシート表皮と運転席/助手席の電動調節機能、アダプティブドライビングビーム、各種の情報を表示できる高精細の10.2インチフルグラフィックメーター、BOSE製のオーディオなどを標準装着する。

 価格は現時点では不明だが、LXは従来型の294万8000円に近い設定だろう。新型は安全装備や運転支援機能が充実してディスプレイオーディオなども標準装着されるが、従来型に標準装着されていた運転席/助手席の電動機能などは、LXには備わらない。EXの装備になる。

■ライバルはマツダ3、インプレッサ、VWゴルフ

 主力グレードとなるLXと同価格帯のライバル車は、マツダ3ファストバックに1.8Lクリーンディーゼルターボを搭載するXDプロアクティブツーリングセレクション(291万1741円)、インプレッサスポーツSTIスポーツ(270万6000円)、輸入車ではフォルクスワーゲンゴルフeTSIアクティブ(312万5000円)といった車種だ。

用品装着車も同時に公開された。ホンダアクセスから発売と同時に各種エアロパーツが用意されるもよう。これは楽しみ

 これらのライバル車と比べた時のシビックの特徴は、前後席の居住性が快適で内装も上質に仕上げられ、ハッチバックでもワゴンに近い価値観を備えること。冒頭で述べた昭和のシビックは、若年層に愛されたが、令和のそれは落ち着いた雰囲気が特徴だ。ユーザーと一緒に、シビックも大人のクルマに成長した。

 そうなると今後は、中高年齢層の読者諸兄と同様、いかに若さを保つかが課題になるだろう。2022年にはタイプRを加えるが、1.5Lターボのスポーティな仕様にも期待したい。若い頃を思い出させるRSがあったら楽しいと思う。

■どうなるタイプRとインサイト??

(ここからは「文/ベストカーWeb編集部」)

今回の発表で個人的に一番の注目点だと感じたのは、「新型シビックのハイブリッド仕様(e:HEV)とタイプRが2022年に登場する」とホンダが公式にアナウンスしたこと。登場が楽しみ

 今回のホンダによる新型シビック発表にあたり、ふたつの気になるポイントがあった。ひとつは「シビックが大きくなったことでインサイトのポジションがますます不安定になってしまった」ということ。

 ホンダは現在、グローバルで生産体制を見直しており、つい先日、2021年いっぱいでオデッセイ、レジェンド、クラリティの国内販売終了をアナウンスした。これは狭山工場の閉鎖にともなう販売体制の見直しであるが、「ホンダが国内市場での販売ラインアップについて根本的な見直しを進めている」というメッセージでもある。

 簡単に言うと、もう売れないクルマをラインアップに残しておくほどの余裕は、ホンダにはないのだ。

 そうなると気になるのが、シビックが登場することにより「キャラクター」が思いきり重複するインサイトの行方。2021年1~4月のインサイトの累計販売台数は860台。1カ月平均だと215台しか売れていないことになる。かつてのライバルだったプリウスは、同期間(1~4月累計)1万6150台を販売し(平均4037.5台)、現状サイズが近いライバルといえるカムリでも累計4186台(平均1046.5台)を売っている。

2018年5月に新型が発売されたばかりのホンダインサイト。2020年5月には大きめのマイナーチェンジも実施しております。……ホンダはどうするつもりなんでしょうか……

 現時点でインサイトについてはなんのアナウンスもないが、新型シビック登場後に生き残る確率は、非常に厳しいと言えるだろう。

 さてそのいっぽうで、登場が約束されている車種もある。新型シビックタイプRだ。

 今回のホンダ主催の新型シビック事前説明会において、「タイプR 2022年登場」が明言された。

 先代型は英国工場で生産し、それを日本にもってきていた関係で、ホンダ英国工場閉鎖にともない生産終了。「シビックタイプRは今後どうなってしまうのか…」と危ぶまれたが、このたび公式から「次期型は開発が続いており、来年(2022年)登場する」ということが正式に告知されたことになる。

ホンダから公式に「2022年登場」とアナウンスされたシビックタイプR(デザインはベストカー編集部が作成した予想CG)

 当編集部に入ってきた情報によると、新型シビックタイプRは(先代最終型と同じく)、直4、2LターボのFFで登場する見込みだという。

 こちら、登場が近づけば、より具体的な開発情報も入ってくるだろう。今後も新型タイプRについての情報は、判明次第、当サイトにて記事化していきます。

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