現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【在りし日のシーマに通じる】日産ノート・オーラ試乗 加速感/専用装備の投資、判断の分かれ目

ここから本文です

【在りし日のシーマに通じる】日産ノート・オーラ試乗 加速感/専用装備の投資、判断の分かれ目

掲載 更新 13
【在りし日のシーマに通じる】日産ノート・オーラ試乗 加速感/専用装備の投資、判断の分かれ目

上級志向の「オーラ」 シーマに通じる

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)

【画像】この差をどう見る?【日産ノート・オーラとノートを比較】 全150枚

photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)

editor:Taro Ueno(上野太朗)

日産登録車ラインナップでマーチとキックスの中間に位置するのがノートである。

ちなみにSUVとミニバンを除いたラインナップでノート以上のモデルはシルフィがあるが、実質在庫販売でもあり、乗用系ではノートの上位はスカイラインという構成になってしまう。

SUVやミニバンが市場を支える基軸となった現在、2BOX/セダンにこだわる必要もないのだが、先代から好調なノートでカバーレンジの拡大を図ろうと考えるのはとても合理的な発想である。

ということで、ノートから上級志向を強化して発展した新型車がノート・オーラである。

イメージ上では先代(E12)に設定されていた「メダリスト」と相通ずるポジションだが、メダリストは一般的にいうグレード展開での上位設定。

オーラはノートをベースに発展したモデルを車両型式からも識ることができる。

強いていうならセド/グロから発展した初代シーマにも似た展開であり、車両分類でもノートは5ナンバー、オーラは3ナンバーになる。

なお、車体寸法は全長、およホイールベースは共通だが、それ以外の基本車体外寸はすべて拡大している。

実用面では最小回転半径が30cm大きくなったのが気になるが、3ナンバーボディを求めるユーザーならそれほど気にする必要はないだろう。

中高速域での加速感 1ランク上

搭載されるパワートレインのハードウェアはFF/4WDともにノートと共通しているが、パワースペックでは最高出力が18%弱、最大トルクが7%強向上。

ちなみにタイヤ直径も含めた総減速比は2%強オーラのほうが高いのだが、それをしても1ランクアップと称するに十分なパワーアップを施している。

ただ、その恩恵を実感できるのは中高速域での高負荷加速時。

低中速や巡航時でも確実に向上しているのだろうが、ノートが得意とする領域であり、また洗練されたドライバビリティを旨とした加減速制御ゆえに刺激的な反応が抑えられているため、実感としてはほぼ同じなのだ。

パワーの余裕は中高速域での加速を改善に効果大。

テストコースの試乗ということで60km/h巡航から140km/hまで全開加速を試してみたが、はっきりとオーラのアドバンテージが伝わってくる。

とくに80km/h以上でも加速の落ち込みを意識することがなく、140km/h近くまで一気に持っていける。

新型になってノートも高速動力性能を改善しているが、電動の俊足ぶりがさらに高速側に拡がっていた。

動力性能を強化してもドライバビリティなどのコントロール性に悪さしないのは制御特性の妙味であり、高性能と洗練の両立はシリーズ式(純電動駆動)ならではのアドバンテージでもある。

興味深い FFと4WDの味付けの違い

静粛性向上のためにルーフライニングへの遮音材の追加やフロントサイドウインドのあわせガラスを採用。

グレードアップされた静粛性もオーラのセールスポイントである。

もっとも、ノート自体がエンジン騒音やロードノイズ対策を強化し、コンパクトカーを超えた静粛性を実現していること、新規追加分が車外騒音対策を主としていることもあって、少なくとも今回の試乗環境では静粛性の著しい変化は感じられない。

エンジン稼働は頻度が低いが、稼働時間は長め。

高速加速などの高負荷も試したせいで大半はエンジン稼働。急加速ではエンジン回転数も高まるが、遠くで鳴っているような静かさである。

ロードノイズとのバランスもよく、体感静粛性の変化が少ないのも美点。エンジンを止めているから静かなのではなく、回っていても静かなのが第2世代eパワーなのだ。

装着タイヤはノートの185/65 R15から205/50 R17にグレードアップ。

車軸周りの揺れにバネ下の重さを多少意識するが、タイヤハイトの減少が少ないせいか、それほど路面当たりはきつくない。

ただ、FFと4WDで乗り比べると段差乗り越えなどでの車軸周りの振動はFFのほうが目立ち、なおかつノートとのタイヤサイズの違いを感じる。

興味深いのはFF車と4WD車の乗り味の違いだ。

動き出しの滑らかさとピッチなどの挙動収束性のよさは秀逸。

1回り大きく重いクルマを思わせるような安定感と穏やかさを備え、同車格のFF車でも走りの車格感に優れているのだが、4WD車と乗り比べると振動の収束感が劣る。

FF車では車輪への入力が車体全体に伝わるような感覚だが、4WD車は車軸周りで解消させているような感じなのだ。

コーナリング時の身のこなしも一味違う。

コントロール性に優れた弱アンダーステアでは共通するが、パワーを掛ければ前のめり姿勢が強まり、同時に操舵反応が鈍るFF車に対して4WD車はリアをわずかに沈み込ませるように後輪に荷重を掛ける。

FR車的な仕草を示し、操舵のコントロール性の変化も少ない。

FF車はFFとして優等生だが、4WD車は4WDとFRのいいとこ取りのようであり、質感/安心感/ファン・トゥ・ドライブを高水準でまとめていた。

買いか? 割高感も拭えない

ノートの最上級グレードとなるXとオーラの標準設定となるGの価格差は42万円強。

メーターパネルの仕様差などの違いはあるが、標準装着される機能装備に大きな差はない。

また、ニッサンのセールスポイントの1つ、プロパイロットはともにセットOPとして設定される。

主な差異は内外装と動力性能で約42万円の計算である。

プロパイロット装備前提ではオーラは300万円以上の予算建てが必要となるが、走りの質感や快適性の高さは投資に見合ったものと言ってもいい。

しかし、ノートを引き合いに出すと割高な印象も拭えない。

オーラの走行性能や走りの質感のアドバンテージの多くはノートにも共通。居住性などの実用性も同じ。

オーテック・ノートの存在も悩ましい。

オーラの重要な訴求点に専用内外装があるが、オーテック仕様のセールスポイントも専用シートなどなどのデザイン面のカスタマイズ。

どちらを良しとするかは嗜好的な問題だが、オーラより10万円以上安価。

上級クラスからのダウンサイザーへの適性でオーラは間違いなく最強レベル。

とくに走りの質を重視するユーザーには魅力的。

さらに言えば走りの質感にこだわるなら降雪地域のユーザーでなくとも4WD車を勧めたい。

ただ、それらの魅力はノートでも9割以上はかなってしまう。専用内外装への思い入れがあってこそのオーラでもあるのだ。

こんな記事も読まれています

スーパーカーはもちろん実用車でも才気煥発! 鬼才ガンディーニがデザインした4台の傑作
スーパーカーはもちろん実用車でも才気煥発! 鬼才ガンディーニがデザインした4台の傑作
WEB CARTOP
アウディが急速充電拠点「Audi charging hub紀尾井町」を東京都心に開設---その意義とは?
アウディが急速充電拠点「Audi charging hub紀尾井町」を東京都心に開設---その意義とは?
レスポンス
スバル「新型SUV」発表! スポーティ&ブラックな内外装がカッコイイ! オシャブルー新設定に販売店でも称賛の声
スバル「新型SUV」発表! スポーティ&ブラックな内外装がカッコイイ! オシャブルー新設定に販売店でも称賛の声
くるまのニュース
ヒュルケンベルグ、ザウバー加入決定で2026年からはアウディF1ワークスドライバーに「ドイツ製PUと共に戦うのは名誉」
ヒュルケンベルグ、ザウバー加入決定で2026年からはアウディF1ワークスドライバーに「ドイツ製PUと共に戦うのは名誉」
motorsport.com 日本版
中嶋一貴TGR-E副会長が分析する宮田莉朋のFIA F2での現状と今後の可能性「個人的な感想では期待以上」
中嶋一貴TGR-E副会長が分析する宮田莉朋のFIA F2での現状と今後の可能性「個人的な感想では期待以上」
AUTOSPORT web
たった6人で全国大会決勝進出! 奇跡の実話を映画化した感動青春ムービー『リバウンド』
たった6人で全国大会決勝進出! 奇跡の実話を映画化した感動青春ムービー『リバウンド』
バイクのニュース
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
くるくら
トヨタから新しいSUV、bZ3Xが出た!──GQ新着カー
トヨタから新しいSUV、bZ3Xが出た!──GQ新着カー
GQ JAPAN
ニコ・ヒュルケンベルグ、今季限りでハース離脱。来季はザウバーから参戦へ
ニコ・ヒュルケンベルグ、今季限りでハース離脱。来季はザウバーから参戦へ
motorsport.com 日本版
「デロリアン」から「大門軍団」そして「ステップワゴン」も!8月発売のアオシマ新製品情報【CARSMEETモデルカー俱楽部】
「デロリアン」から「大門軍団」そして「ステップワゴン」も!8月発売のアオシマ新製品情報【CARSMEETモデルカー俱楽部】
LE VOLANT CARSMEET WEB
マツダが「新型SUV」世界初公開! 次期型「CX-5」登場か!? 新次元の「魂動デザイン」採用した圧倒的“造形美”実現し北京登場!
マツダが「新型SUV」世界初公開! 次期型「CX-5」登場か!? 新次元の「魂動デザイン」採用した圧倒的“造形美”実現し北京登場!
くるまのニュース
日産の謎解きイベントが話題! 「眠っていたブループリント」は5月6日まで。GWは本社ギャラリーに行こう。
日産の謎解きイベントが話題! 「眠っていたブループリント」は5月6日まで。GWは本社ギャラリーに行こう。
くるくら
BMW X5の燃料電池車をゼロエミッションカーに位置付け、実証実験の継続を決定
BMW X5の燃料電池車をゼロエミッションカーに位置付け、実証実験の継続を決定
Auto Prove
トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開
トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開
レスポンス
新星アコスタは、”MotoGPのフェルスタッペン”になるか。シーズン途中のKTM昇格はある?
新星アコスタは、”MotoGPのフェルスタッペン”になるか。シーズン途中のKTM昇格はある?
motorsport.com 日本版
【ストリーモ】5/4~6に開催される「GINZA SKY WALK 2024」にてストリーモの試乗体験を実施
【ストリーモ】5/4~6に開催される「GINZA SKY WALK 2024」にてストリーモの試乗体験を実施
バイクブロス
ホンダ新型「ヴェゼル」登場! 3年ぶり“刷新”で何が変わった?  オシャグリーンな「ハント」も新設定の「小さなSUV」約265万円から
ホンダ新型「ヴェゼル」登場! 3年ぶり“刷新”で何が変わった? オシャグリーンな「ハント」も新設定の「小さなSUV」約265万円から
くるまのニュース
ホンダが新型EVの『e:NP2』を発売
ホンダが新型EVの『e:NP2』を発売
レスポンス

みんなのコメント

13件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

144.8268.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.8309.0万円

中古車を検索
ノートの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

144.8268.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.8309.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村