■アルファードで重要視するのは残価率?
2020年度でもっとも売れたミニバンはトヨタ「アルファード」ですが、国産車としては300万円台半ばから設定されていることもあり、国産高級ミニバンの代表格といわれています。
価格帯が上がれば機能や装備が豪華になっていき、富裕層やVIP送迎からは一定のグレード以上が好まれると考えられます。
では、国産高級ミニバンのエントリーモデルは、どのようなユーザーが購入するのでしょうか。
アルファードを超える? トヨタが新型高級ミニバン「マジェスティ」発表!
現行アルファードは、トヨタの量販ミニバンでは最上級のクラスとして2015年に3代目モデルが発売。登場後まもなく年間3万台から4万台を販売する人気車種となりました。
さらに、2018年1月の大規模なマイナーチェンジなどの影響もあり、年間約5万8000台を販売しました。
その後も順調に販売台数を伸ばしていき、2020年4月以降は全体6位以上を死守した結果、年間9万748台の全体5位を記録しています。
なお、同時期の上位車種は、1位トヨタ「ヤリス」、2位トヨタ「ライズ」、3位トヨタ「カローラ」、4位ホンダ「フィット」と、エントリーモデルはすべて100万円台からの価格設定です。
こうした低価格なモデルのなかにランクインしたアルファードですが、多くのユーザーが購入したということは、比較的に価格が安いエントリーモデルが多く売れたとも考えられます。
アルファードのグレードと価格帯(消費税込み)は、ベースグレード「X(ガソリン車/2WD/8人乗り)」の359万7000円から最上級「HYBRID Executive Lounge S(ハイブリッド車/E-Four/7人乗り)」の775万2000円と415万5000円もの差が存在します。
この価格差には、主にガソリン車/ハイブリッド車、2WD/4WD(E-Four)などにより分けることが出来ます。
また、以前まではフロントデザインの違いによって標準仕様とエアロ仕様という分け方もありましたが、2021年現在では「S」が付くグレードがエアロ仕様に該当するデザインを採用しています。
そうしたなかで、2020年ではどのような販売状況だったのでしょうか。首都圏のトヨタ販売店スタッフは、次のように話します。
「アルファードは、トヨタのラインナップでも上級車種となり、エントリーモデルといえどもさまざまな装備が備わっています。
また、アルファードを購入する人の大半は、数年後の査定を考えてある程度、上のグレードを検討されます。
アルファードはトヨタ車のなかでも残価率が高いこともあり、そこを気にされるようで、1年、2年で乗り換える人も少なくありません。
例えば、購入後3年目での残価率は55%と高い傾向にあります。トヨタではアルファードよりも高い残価率が設定されるモデルもありますが、アルファードは高い部類に入ります。
また、エントリーモデルを購入される人は少なく、個人ならび法人のお客さまの多くは、ミドル以上のモデルを選ばれています。
一方で、エントリーモデルを検討される人はよほど予算に限りがある人となり、予算と装備で悩んだ結果、『ノア』や『ヴォクシー』の上級モデルを購入されるケースもあります」
また、別のトヨタ販売店では次のように話しています。
「最近、アルファードを検討されるお客さまでは、特別仕様車の『S“TYPE GOLDII”』を検討される人を多く見かけます。
また、ガソリン車とハイブリッド車では、大きな差は無いものの、ハイブリッド車は『プリウス』や『ヤリス』のようにガソリン車と比べてすごく燃費が良いものではないので、ガソリン車を検討される人がある程度いる印象です」
※ ※ ※
2020年に大きく飛躍したアルファードですが、幅広いユーザーが検討しやすいエントリーモデルではなく、ある程度、上のモデルを選ぶ傾向にあるようです。
例年の販売台数上位には、比較的に手の届きやすい車種が多く見られるなかで、2020年は高級ミニバンとなるアルファードがランクインしました。
これには、新型コロナ禍というクルマ需要の増加など特殊な状況下という背景がありますが、そのほかにもいくつかの要因が挙げられます。
ひとつは、クルマを購入する方法として残価設定型が主流となったことで、『憧れのアルファード』が購入しやすくなったというものです。
もうひとつは、残価設定型が主流となり、乗り換え時の査定を意識する人が増えたことが要因として考えられ、新型コロナ禍が不透明ななかで、ただクルマを購入するのでなく、数年後を見越す人が増えたことも要因といえます。
■アルファードの装備差、違いはどの部分?
400万円以上の価格差が存在するアルファードですが、それぞれのグレード差にはどのような違いがあるのでしょうか。前出のトヨタ販売店は次のように説明しています。
「グレードによって変わるのは、フロント部分のデザインと内装の質感が大きいです。
エントリーモデルでは、ファブリック生地ですが、最上級モデルでは本革を使っているなど異なっています。
またグレードが上がるほど『2列目が充実』します。同じ7人乗り仕様でも、エントリーモデルでは『リラックスキャプテンシート』、ミドルモデルでは『エグゼクティブパワーシート』、最上級モデルでは『エグゼクティブラウンジシート』という形で装備類の機能性などが変わってきます。
そのたため、同乗者に対する『おもてなし』感は別格となることから、最上級モデルは法人の契約が多い傾向にあります」
では、人気のオプション装備はあるのでしょうか。前出とは別のトヨタ販売店は次のように説明しています。
「アルファードはエントリーモデルでも、基本的なオプションや安全装備は一通り標準装備されているため、あまりほかの車種のように追加する人は少ない印象です。
また、オプション装備を検討する人は、追加ではなく初めから最上級モデルを選ばれる人も多いようです。
ボディカラーなどは、白か黒を選ばれる人が多いです。これは、下取り時の査定が高くなる傾向があるためで、そもそもの選ぶ基準が高額査定になりやすいものという人もいらっしゃいます」
※ ※ ※
いまや、高級ミニバンだけでなく国産ミニバンを代表する車種となったアルファード。
発売から6年目となった現在アルファードは、従来であればモデル末期となりつつあります。
さらに、次期型は2022年に登場するのではともいわれているなかで、好調な販売を維持しています。
今後、アルファードがどのような展開を見せるのか、注目せずにはいられません。
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