2時45分にバス乗って東京駅へ
鉄道の始発便は、どんなに早くても朝4時台からですが、高速バスでは、それより早い便も少なくありません。2024年6月1日からは、なんと「2時45分」始発の東京駅行き高速バスが誕生します。
なぜ、それほど朝が早いのでしょうか。どのような需要があるのでしょうか。
【もっと早いのあるの!?】日本中央バスの“超・早朝高速バス”たち(時刻表)
「2時45分発」の高速バスは、群馬県の「日本中央バス」が運行する前橋・高崎―池袋・新宿・東京駅線に新設されます。前橋バスセンターを2時45分に出発し、前橋駅3時00分発、高崎駅は3時25分発。埼玉県内や東京都内では途中停まらずに東京駅へ直行し、バスターミナル東京八重洲へ5時30分に到着します。
「東京駅朝6時発の新幹線に乗ろう!! 前泊の必要もありません」
「高崎から初電の新幹線では間に合わない、のぞみ1号(博多行)・かがやき501号(敦賀行)・やまびこ51号(盛岡行)が利用可能になり、旅の選択肢が更に広がります」
――運行開始前のチラシでは、このような使い方が紹介されています。
北陸新幹線の場合、高崎の始発便は7時17分発(東京駅6時28分発)の「はくたか」金沢行きです。金沢には9時32分に到着しますが、その1本前の東京駅始発便である6時16分発「かがやき」敦賀行き(高崎は通過)に乗れば、金沢は8時43分着、敦賀には9時34分着なので、行動の自由度はグッと広がるかもしれません。
ただ、東京駅からの始発新幹線に乗れるというのは、あくまで使い方の例。今回の超早朝バスの設定は「コロナが明けて、会社としても新しいことをやっていきたい」という思いが強いと日本中央バスは話します。
しかもこの「2時45分発」は、同社の“最も早い始発便”ではありません。
2024年6月以降も、最も早いのは前橋・高崎・藤岡―羽田空港線の始発で、前橋バスセンター「2時40分発」。その次が「3時10分発」という早朝ぶりです。
「この2時40分発の羽田空港行きが、かなりご利用が多いのです。もしかしたら東京駅行きも需要があるのでは、と思っての(2時45分発の)新設です」(日本中央バス)
2時台に移動も「苦ではない」
さらに、日本中央バスの“超早朝便”は前橋・高崎以外でも。伊勢崎・桐生・太田・館林―羽田空港線も、始発は桐生駅「3時00分発」となっています。
「2時45分発」が新設される前橋・高崎―池袋・新宿・東京駅線に至っては、その次の前橋バスセンター「6時00分発」便、さらにその次の「7時00分発」便とも運休中です。常識的な(?)時間帯の始発便を運休しながら、ある意味2時45分発に“賭けて”いると言えなくもありません。
「2時台、3時台に乗り場へ来ることも、北関東においては、それほど苦ではないのかなと思っています。お客様はクルマで駅まで来られますし、バスで寝られます。たとえば東京駅から始発の新幹線に乗るのに、わざわざ泊まるほどではない、という意識があると思います」(日本中央バス)
その早朝の移動ニーズは、鉄道で夜行列車が運行されていたころからあったといいます。
「かつての(新潟方面―新宿の)夜行快速『ムーンライトえちご』や、(金沢―上野の)急行『能登』なども、上り便は高崎駅へ3時台や4時前後に停車していましたが、利用する人は多かったです。その記憶も下敷きにあります」(同)
ちなみに、前橋2時40分発が設定されている羽田空港線は当初、あまりに早すぎるとして、共同運行相手の東京空港交通も驚いたそうですが、蓋を開けてみると好調だったとか。
宿泊代も高騰するなか、前泊をせず深夜帯に移動して、朝から思いっきり行動できるというニーズを、夜行列車に代わって高速バスで実現している日本中央バス。今後も、「その手があったか!」という施策を打ち出していきたいと意気込みました。
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