■水深が車両の「床面」を超えると危険度アップ!
夏の時期は全国各地で台風や豪雨による道路の冠水が発生します。
クルマが道路上で動けなくなるニュースもたびたび報じられていますが、一体どの程度の冠水でクルマが動かなくなるのでしょうか。
【画像】「えっ…!」クルマが川に…! 画像を見る!(27枚)
例年、夏の時期には集中豪雨が全国各地で発生し、そのたびに道路の冠水が起きています。
またニュースではたびたび、冠水した道路で動けなくなったクルマの映像が流れることもあります。
では、クルマは一体どの程度の冠水で動かせなくなってしまうのでしょうか。
国土交通省の資料によると、「道路の水深が車両の床面を超えるとエンジンや電気装置などに不具合が発生するおそれがある」と注意喚起しています。
たとえばクルマの前方にある吸気口や、後方に付いているマフラーから浸水するとエンジンが停止し、再始動もできなくなる可能性があります。
特に速度を出して冠水した道路を通行した場合、クルマの前方に大量の水がかかって吸気口から浸水してしまうケースもみられます。
スピードを上げて通行すれば冠水した道路を突っ切れると考えるドライバーも少なくありませんが、より浸水のリスクを高めてしまう行為といえるでしょう。
加えて、車内に浸水しなかったとしても冠水路に入った衝撃でナンバープレートやバンパーが外れるなど、車両が損傷するおそれもあります。
さらに同資料では、次のような危険についても言及しています。
ーーー
・水深が床面を超えると、電気装置が損傷し、自動スライドドアやパワーウインドウが動作しなくなるおそれ
・水深がドアの下端にかかると、車外の水圧により内側からドアを開けることが困難となり、ドア高さの半分を超えると、内側からほぼ開けられなくなるおそれ(ただし、内外の水圧差がなくなるまで浸水すると、内側からドアが開くようになる)
・水流がある場合、車両が流されるおそれ
・タイヤが完全に水没すると、車体が浮いて移動が困難になるおそれ
ーーー
つまり冠水した道路ではクルマが動かなくなるリスクだけでなく、クルマからドライバーが脱出できなくなる危険も考えられます。
実際のところ、車両がどれくらいの冠水路を走りきれるかに関しては2010年4月、JAFが「冠水路走行テスト(JAFユーザーテスト)」をおこなっています。
このテストでは、車両が道路の下をくぐる構造となっている「アンダーパス」が冠水した場合を想定し、30mの水平部分の前後にスロープを設けたコースを作りました。
そして、車種(セダンタイプ・SUVタイプ)と走行速度(時速10km・時速30km)、道路の水深(30cm・60cm)の条件を変えてコースを走行し検証。
その結果、水深30cmではどの条件に変えてもクルマが走行できた一方、水深が60cmになるとほとんどの条件で走行できなくなっています。
具体的には、時速10kmでセダンタイプが通行した際はフロントガラスの下の方まで水がかかり、しばらく走行したものの、登りのスロープにさしかかった地点でエンジンが停止しています。
次にエンジン位置の高いSUVタイプは時速10kmのときは冠水路を走行できましたが、時速30kmで走行した際はエンジン下部から大量の水が入り込み、わずか10mの地点でエンジンが止まってしまいました。
この結果から道路の水深が深くなるほど、またクルマの速度が上がるほど大量の水がかかって車内に浸水し、クルマが動かなくなる様子がうかがえます。
なお地面からクルマの床面までの高さ(最低地上高)については、2023年に日本で最も売れた普通乗用車トヨタ「ヤリス」が14cm~14.5cm、最も売れたSUVがトヨタ「ハリアー」が19cm~19.5cmです。
なお現在ラインナップされている最低地上高が高いモデルとしてじゃトヨタ「ランドクルーザー250」が21.5cm~22.5mm、「ランドクルーザー300」が22.5mmとなっています。
豪雨の際には冠水路の水深がそれ以上に深くなる可能性があるほか、たとえ水深が浅くてもクルマの速度によっては浸水を引き起こすおそれがあるため、道路の状況に応じて運転を控えることが大切です。
※ ※ ※
道路にある縁石の高さは約15cmとクルマの床面の高さに近く、道路が冠水した際の目安となります。
冠水で縁石が見えない場合はクルマの使用を控えましょう。
特にアンダーパスは水が貯まりやすく水深も深くなる傾向にあるため、豪雨時にはできるだけ通行しないことが重要です。
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途中で動けなくなってる