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日産「インフィニティQ45」(初代) いまに続く高級車ブランドの「最初の顔」とは?

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日産「インフィニティQ45」(初代) いまに続く高級車ブランドの「最初の顔」とは?

「インフィニティ」ブランド最初のフラグシップモデル

 クルマの歴史を振り返ると、「誰でも知っているヒットモデル」というものがありますが、一方で、「それ自体は爆発的ヒットというわけではなかったけれど、その登場に意味があったモデル」というものもあります。1989(平成元)年に日産自動車より発売された「インフィニティQ45」は、正に後者のタイプ。決して成功したモデルではありませんが、記憶に残る1台です。

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「インフィニティ」は、アメリカ、ヨーロッパなどにおける日産の高級車専用販売網名。トヨタでいうところの「レクサス」みたいなものです。このインフィニティのフラッグシップモデルとして、1989年11月8日、日本国内とアメリカで発売されたのが、「Q45」でした。「日米同時発売」という響きがハリウッド映画の公開みたいで、「ワールドワイドで勝負する高級セダン」感全開っぽくて高揚したのを覚えています。

 ちなみに、アメリカでは「インフィニティQ45」ですが、日本では「日産・インフィニティQ45」という、「どこが名字でどこが名前?」みたいな、ハーフ・タレント感満載な呼び名で、ますますかっこよく感じたものです。

言うなれば「『アオレンジャー』の刺さり方」

 ロングホイールベースの伸びやかなラインが魅力で、特にサイドから見た美しさに上品な高級感がありました。新開発のV型8気筒4500ccツインカムエンジンを採用し、最高出力280ps/6000rpm、最大トルク40.8kgm/4000rpm。当時、「スカイライン」や「フェアレディZ」で高い評価を得ていた4輪マルチリンクサスペンションだけでなく、さらにオプションで、市販車としては当時世界初となった油圧式のアクティブ・サスペンションも採用し、走行性能と居住性を両立していました。

 ボディカラーも、文字通り出色で、カーボングラファイト(炭素)により光の加減や見る位置によって表情を変える「トワイライトブルー」(筆者〈下高井戸ユキ:ライター〉は断然こっち派)と「トワイライトブラウン」がありました。

 なによりぐっときたのが、グリルレスのフロントマスクです。その頃の高級車は、口がガバーッとあいたフロントグリル=高級感溢れる、という図式が成り立っていましたが、「インフィニティQ45」の上品な顔立ちは、浮かれたバブル時代において、一歩引きながらある種の華を感じさせる出来栄えだったと感じています。アカレンジャーよりアオレンジャー派、という刺さり方。分かりにくいですね、すみません。

 そして、フロントエンブレムの「七宝焼き」。高級車と言えば七宝焼きのエンブレムというのはトヨタ「2000GT」の時代から変わらぬワクワクポイントですが、シュッとしたフロントマスクに七宝焼きのエンブレムというのは、本当によく映えました。

インテリアは「和」テイストと最新技術の調和

 さらにインテリアでは、インパネを漆塗りにするという思い切った意匠になっていました。漆の上にチタン粉を吹き付け、金粉を蒔絵のようにちりばめる「KOKON(ココン)インスト」(メーカーオプション)というわかりやすい日本の高級感アピールが、「ゲイシャ、フジヤマ」イメージのアメリカ人のハートにズキュンといった感があります。まさに、ばっちりアイラインと着物で「和」を象徴しながらハリウッド映画に登場するスタイル抜群の日本人女優、みたいな感じ。実際、国内よりもアメリカでの人気の方が高いモデルではありました。

 もうひとつ、個人的に見逃せないのが、オートドライビングポジションシステムです。これは、乗降しやすくするために、ドアを開ける、もしくはキーを抜いた時に、自動で運転席が後ろに下がり、ステアリングホイールが跳ね上がるというもの。そしてキーを差し込むと、ステアリングが手元の位置に戻るのです。専用コクピットっぽいギミックの「ガンダム感」と、「行き届いていてまっせ、おこしやす感」が、このクルマの雰囲気と相まって、「どんなもんだい、日本の技術」と胸を張りたい仕様になっていました。

 その後、1993(平成5)年のマイナーチェンジでグリルレスではなくなり、蒔絵も七宝焼きもなくなっていきました。でも、現在のインフィニティ車にはあのエンブレムは健在ですし、インフィニティ顔のまま販売されることになった現行「スカイライン」や「フーガ」のグリルに装着されるエンブレムを見ると、筆者はつい「インフィニティQ45」を思い出してしまいます。現代に至る日産の高級車ラインの礎となった「Q45」。忘れられないモデルです。

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