短いボンネットに直6を横向きで搭載
オースチン2200とウーズレー・シックスは、スタイリング的にはオースチン1800のマイナーチェンジ版、Mk IIIと変わらなかった。だが、短いボンネットにはE6型と呼ばれる直列6気筒エンジンが横向きに搭載されていた。
【画像】個性的な英国クラシック オースチンとウーズレー 同時代のホーネット マキシ アレグロも 全75枚
エンジンのベースは、オースチン・マキシ1500用の4気筒。通常の1800と同じトランスミッションを介し、前輪を駆動した。オーバーヘッド・カムを採用し、重量は4気筒のBシリーズ・ユニットより約9kg重い程度。最高出力は107ps以上がうたわれた。
ラジエターは、サイドマウントの1800とは異なりフロントグリルの後ろ。制動力の高いディスクブレーキがフロントに組まれ、約56Lの大きなガソリンタンクも装備された。
既に1800の量産化から8年が経過していたが、手が加えられた範囲は最小限。それでも、1975年までに4万台以上が製造され、その半数以上がオースチン2200ではなく、ウーズレー・シックスだった。ブランドの人気を裏付けたといえた。
盾のカタチのフロントグリルに、ノスタルジックなエンブレムがあしらわれ、見た目の雰囲気はウーズレーらしい。シンプルさが、攻撃的なフロントマスクを持つ2022年の交通のなかで、優雅に映える。
一方、オースチン3リッターの顔つきは、ウーズレーほど気高く見えないが、主張は負けじと強い。美しいとまでは感じないものの、独特な風格がある。
クロームメッキで飾られた大きなフロントグリルは、大人しくまとめられたリアまわりと対照的でもある。読者はウーズレーとオースチン、どちらがお好みだろう。
ゆったりしたリアシートは2台の特長
ボディ後端の荷室は、全長が長いだけあって3リッターの方が遥かに広い。車内も広々としており、丁寧に仕立てられたフロントシートへ座ると、視界も優れる。ゆったりとしたリアシート側の空間は、2台に共通する特長だろう。
フロントシートの間には、折りたためるアームレストが備わっている。BMC社の元社員だったという、ロバート・ギャロウェイ氏がオーナーのシックスは、シートがナイロン素材のクロス。初期型でドアにはウッドパネルもなく、大衆的な内装に感じられる。
他方、3リッターのカーペットは上質で、天井の内張りはウェスト・オブ・イングランド社製の布地が用いられている。シートは合皮で覆われているものの、ダッシュボードにはウッドもふんだんに施され、バンデンプラ仕様のモデルへ近い高級感がある。
スピードメーターは横に長いリボンタイプ。大径のステアリングホイールは、シックスよりも起き気味だ。
シフトレバーのレイアウトも興味深い。3リッターはトランスミッション・トンネル上に載った、クロームメッキされたゲートから伸びている。シックスでは、ダッシュボード右端の溝から水平に伸びている。
正直、どちらも扱いにくい。フロアから立ち上がった方は硬く、正面右手から突き出た方は感触が曖昧で選びにくい。
当時としては珍しい反応の良さ
直列6気筒エンジンは、2台とも静かで滑らか。ナイジェル・フォレスト氏がオーナーの、後期型オースチン3リッターは筆者の記憶以上に活気がある。マニュアル・ギアなら一層運転を楽しめそうだ。
オプションだったボルグワーナー社製の3速ATは、目立たないように変速をこなす。だが、ドライブへ入れようとするとデフからゴツンと振動が出る。当初からの癖だった。
シックスにも3速ATが載っている。トルクコンバーターのノイズが、時折エンジンよりうるさくなる。アクセルペダルを傾けてキックダウンを誘っても、目立って加速は良くならない。エンジン音が大きくなり、燃料を多く燃やすだけだ。
3リッターにはパワーステアリングが標準装備で、低速域では扱いが楽。スピードが乗ってきて、フロントタイヤのグリップが抜けても、感じ取りにくい。アンダーステアが隠される。
ところが世代の新しいシックスでは、オプションだった。ギャロウェイは、購入後に電動パワーステアリングを後付けしたそうだ。
ボディロールは小さく、アンダーステアも抑えられている。ドライバーの操作に対し、穏やかで忠実に向きを変えてくれる。1970年代初頭のファミリーサルーンとしては、珍しい反応の良さといえる。
FFらしくシックスの操縦性は小気味いいが、それでも、後輪駆動の3リッターには及ばない。乗り心地も、車重がかさむためかよりフラット。ハイドラスティック・サスペンションを備えるモデル特有の、独特の弾力も感じられる。
強く惹かれる英国車特有の不思議な魅力
誕生から50年以上を経ても、大切にしてくれるオーナーと巡り合うことができた2台。オースチン/モーリス2200とウーズレー・シックスは、堅牢さや実用性に重きを置くファミリー層にとって、当初から魅力的な選択肢となってきた。
イシゴニスが生み出した、ミニとの直接的な関係性に同調する人も多かった。市場に適したモデルを提供しようとした、BL社の合理的な判断がうまく働いていた。
一方のオースチン3リッターも特徴的な存在ながら、BMC社とその後のBL社を支えることはできなかった。整合性に欠けたクルマの成り立ちは、複雑化した同社の体制も反映していた。不具合は少なくなく、ブランド自体を傷つける存在でもあった。
自ずと希少性を高めてしまった3リッター。それでも、この時代の英国車特有の個性に、筆者は強く惹かれてしまう。ウーズレー・シックスにも共通する、不思議な魅力を備えているのだった。
協力:国際ランドクラブ・オーナーズクラブ、オースチン3リッター・オーナーズクラブ
3リッターとシックス 2台のスペック
オースチン3リッター(1967~1971年/英国仕様)のスペック
英国価格:1696ポンド(新車時)/1万2000ポンド(約192万円)以下(現在)
販売台数:9992台
全長:4718mm
全幅:1695mm
全高:1422mm
最高速度:157km/h
0-97km/h加速:16.0秒
燃費:6.4-7.8km/L
CO2排出量:−
車両重量:1529kg
パワートレイン:直列6気筒2912cc OHV自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:125ps/4500rpm
最大トルク:22.2kg-m/3000rpm
ギアボックス:3速オートマティック
ウーズレー・シックス(1972~1975年/英国仕様)のスペック
英国価格:1719ポンド(新車時)/1万ポンド(約160万円)以下(現在)
販売台数:2万5214台(ウーズレーのみ)
全長:4166mm
全幅:1715mm
全高:1410mm
最高速度:164km/h
0-97km/h加速:12.7秒
燃費:9.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:1187kg
パワートレイン:直列6気筒2227cc OHC自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:111ps/5250rpm
最大トルク:17.3kg-m/3500rpm
ギアボックス:3速オートマティック
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