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同じクルマ、違う名前 バッジ・エンジニアリングのクルマたち 後編

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同じクルマ、違う名前 バッジ・エンジニアリングのクルマたち 後編

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フォード・エスケープ(2001年):3モデル

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フォードも、バッジエンジニアリングを行うことの多いメーカーだ。初代エスケープは2001年登場で、共同開発したマツダではトリビュートとして販売。上級ブランドのマーキュリーでは、マリナーと銘打ってラインナップされた。

オペル・ザフィーラ(2001年):3モデル

オペルとヴォグゾールで共有するのはいつものことだが、スバルにも供給された。市場の要求により、スバルはこれまでと異なるラインナップを欲していた。大多数のスバリストは、ラリーカーを公道で感じられるインプレッサSTiをはじめ、走り重視のセダンとワゴンを揃えるレガシィ、タフな走りのフォレスターに満足していた。しかし、世のミニバンブームを受けて、商売面で7座MPVが必要となったのだ。そこで、ザフィーラのOEMモデルをトラヴィックとして販売したのである。

クライスラー・タウン&カントリー(1983年):3モデル

クライスラーが1983年にミニバンのはしりとなるモデルを発売したとき、ユーザーはクライスラー・ヴォイジャー(グランドヴォイジャー)とダッジ・グランドキャラバン、プリマス・タウン&カントリーから、好みの1台を選ぶことができた。5代目となるタウン&カントリーは、ランチアがヴォイジャー(グランドヴォイジャー)の名で販売するほか、フォルクスワーゲンにもOEM供給。すでにシャランを持つフォルクスワーゲンがルータンと銘打ったそれを用意したのは、アメリカやカナダ、メキシコへ投入するためだった。

オペルGT(2007年):4モデル

過去20年ほどで屈指の、シャープなスポーツカーにオペルGTの名を上げても異論はないだろう。欧州ではオペル名義、アメリカではほぼ同じデザインのままサターン・スカイとして、韓国では大宇G2Xとして販売されたほか、外観の異なるポンティアック版のソルスティスもラインナップされた。だが、ヴォグゾール版は用意なし。つまり、英国へは導入されていない。日本でも、正規販売はなかった。

大宇ラノス(1997年):4モデル

ジョルジエット・ジウジアーロがデザインした、とはいうものの、ホンダ・シビックをコピーしたようなボディのこのクルマは、1997年に登場。自社ブランドのほか、資本参加するGMのシボレー名義や、ロシアのZAZ、ポーランドのFSOでも販売。また、バッジエンジニアリングとは異なるが、ロシアではタガズがライセンス生産したものも販売された。

スズキ・エスクード(1988年):4モデル

日本ではエスクードを名乗るが、同じスズキ名義でも仕向け地により欧州ではヴィターラ、アメリカではサイドキックと名を変える。また、国内ではマツダ、アメリカではGMに供給。スペインのサンタナモーターが、自社ブランドで販売した時期もあった。GMはジオ・トラッカーなどの名称で販売したが、このジオはラインナップすべてがバッジエンジニアリングというブランドで、1989年の設立以降、トヨタ・スプリンターをプリズム、いすゞのPAネロをストーム、ジェミニをスペクトラム、スズキ・スイフトをメトロとして販売した。

ビュイック・テラッツァ(2005年):4モデル

GMは数多くのディビジョンで構成されてきたため、バッジエンジニアリングの機会も多い。たとえばビュイック・テラッツァは、シボレー・アップランダー、ポンティアック・モンタナSV6、サターン・リレイとして販売された。もっとも、どれも忘れられがちな車種で、しかもこのうちのふたつは、ブランドそのものが消滅している。

シボレー・アヴェオ(2002年):6モデル

初代のシボレー・アヴェオは、大宇カロスをベースにしている。はっきり言って、この上なく面白みのないクルマだ。しかし、安かろう悪かろうでも構わない購買層はいるものだ。ホールデン・バリナ、ポンティアックG3、ZAZヴィダなどと名を変えて、世界中で販売された。カナダではスズキ・スイフト+と銘打ったが、果たしてプラスというサフィックスにふさわしいといえるのか、はなはだ疑問だ。

ヒルマン・アヴェンジャー(1970年):6モデル

かつて多くのメーカーを傘下に収めたルーツは、やがて自らがクライスラーの軍門に下る。その後に送り出した後輪駆動のファミリーカー、ヒルマン・アヴェンジャーは、タルボやサンビーム、ダッジなどのバッジを与えられる。アメリカではプリマス・クリケット、アルゼンチンではフォルクスワーゲン1500としても販売された。

GMCエンヴォイ(1998年):6モデル

GMのSUVやバンには、バッジエンジニアリング仕様が多い。仕向け地によって異なるブランドを展開するのもその一因だが、必ずしもそれだけが理由ともいえない。たとえばこのGMC エンヴォイの場合、シボレー・トレイルブレイザー、ビュイック・レイニアー、サーブ9-7X、いすゞアセンダー、そしてオールズモビル・ブラヴァダといった兄弟車が存在するが、すべてアメリカ市場で販売されている。ただし、ポンティアック版は用意されていない。

BMCファリーナ(1959年):6モデル

ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)は、1952年にオースチンとモーリスが合併して設立された。モーリスには、MGやライレー、ウーズレーといったブランドが存在し、まもなく、それらを活用したバッジエンジニアリングが始まる。それが最高潮に達したのが『ファリーナ・サルーン』と呼ばれるラインナップのうちでも、1959年に登場した最上位モデル群だ。まずはオースチン・ケンブリッジとモーリス・オックスフォード、そしてライレー4/68、MGマグネット、また6気筒仕様のヴァンデンプラ版も用意された。

BMC ADO16(1962年):6モデル

1960年代のBMCは、バッジエンジニアリングの大家ともいうべきメーカーだった。この会社には、手に余るほどのブランドがあった。それぞれに独自のモデルを用意する余裕はなく、それだけに、どれもがバッジを挿げ替えたクルマになるのは自然な流れだといえる。1100と1300が設定されるADO16も、オースチン/モーリス/ウーズレー/ライレー/ヴァンデンプラ/MGの各ブランドに応じて多少の手直しをしたモデルが用意された。

三菱スタリオン(1982年):6モデル

英国ではコルト・スタリオンと呼ばれた三菱スタリオン。アメリカではコンクエストの名で、クライスラー/ダッジ/プリマスの各ブランドが販売したほか、三菱名義でも販売された。

ハンバー・セプター(1966年):7モデル

BMCの手法を、ルーツ・グループもまた実行した。2代目となるハンバー・セプターを含むアロー・シリーズには、シンガーのガゼールとヴォーグ、ヒルマン・ハンターを含み、ハンターとヴォーグは後にクライスラー名義でも販売。それらは1975年に生産を終了するが、これをもとにイランでホドロがペイカンを生産。こちらは2005年まで存続した。

シボレー・キャプティバスポーツ(2006年):7モデル

仕向け地別にブランドを使い分けるGMの真骨頂とでもいうべきか、みごとに市場ごとの名義にフィットしたモデルが用意されているこの小型SUV。北米ではサターン・ヴュー、南米ではシボレー・キャプティバスポーツと銘打ち、欧州本土ではオペル、英国ではヴォグゾールがアンタラとしてラインナップ。オーストラリアでこれをキャプティバとして販売するのはもちろんホールデンで、中東ではGMCテレインとなる。また、韓国では大宇ウィンストームMaXXとして設定する。

ホールデン・モナーロ(2001年):7モデル

GMは、パフォーマンスモデルでもバッジエンジニアリングを敢行し、世界各地で販売した。ベースとなるのはオーストラリアで生産されたホールデン・モナーロで、英国向けのヴォグゾール仕様はモナーロを名乗るが、アメリカではポンティアックGTOとシボレー・ルミナ・クーペに名称を変更。オーストラリアでは、ホールデン・スペシャルヴィークル部門がHSVクーペとしても投入している。また、ベースとなったセダンのコモドアは、シボレーがアメリカでルミナ・セダン、ブラジルでオメガとして販売している。

シボレー・ヴェンチャー(1997年):7モデル

これまたGMのバッジエンジニアリング祭りとなったのが、1997年登場のミニバンだ。アメリカ市場向けに投入されたのはシボレー・ヴェンチャーとポンティアック・モンタナ/トランスポート、オールズモビル・シルエット。中国ではビュイックGL8となり、欧州ではオペルとヴォグゾールがシントラと銘打った。

シボレー・スパーク(2009年):8モデル

その名にふさわしい弾けた走りは味わえないシボレー・スパークは、シボレー・ビートやホールデン・バリナ・スパークとしても販売。最新モデルではオペル・カールやヴォグゾール・ヴィヴァ、ホールデン・スパークといったバリエーションを展開する。そもそも、1998年に登場した初代は、大宇マティスをベースに、シボレー/ポンティアック/フォルモサ/FSO/宝駿/ラヴォン/Uz大宇の各ブランドで設定された。

タルボ・ホライズン(1978年):9モデル

バッジエンジニアリングの数で首位タイに輝いたのは、1978年の欧州COTY受賞車だ。とはいえ、今や忘れられた存在といえるこのハッチバック、欧州ではクライスラー/タルボ/シムカの各名義で販売。アメリカではプリマスがホライズン/スキャンプ/ツーリズモ、ダッジがチャージャー/オムニ/ランページとして設定した。もはや、なにがなんだか……。

オペル・カデット(1984年):9モデル

もうひとつのトップ・オブ・バッジエンジニアリングは、やはりGMが輩出した。カデットの名は、1936年までルーツをたどれる。前輪駆動化された1979年登場のカデットDもヴォグゾール・アストラとして販売されたが、今回の対象となるのは、それに続くカデットEだ。

数えてみよう。シボレー・カデット、ポンティアック・ル・マン、パスポート・オプティマ、大宇のシエロ/ル・マン/ネクシア/レーサー、そしてオペルとヴォグゾールのアストラ。9車種だ。ただし、ユーゴスラビアのIDAオペル版カデットや、ヴォグゾールのセダン版であるベルモントのようなバリエーションも加えれば、文句なしのトップだ。

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