2025年から、F1とFIA、エクストリームHの3団体が、共同で水素ワーキンググループを結成すると発表した。
エクストリームHは、電動SUVによるオフロードレースを展開するエクストリームEの姉妹シリーズ。FIAと共に2025年から、水素を動力源としたSUVによるオフロードレースとして発足することとなっている。2024年初頭からの包括的なテストプログラム開始に先立ち、彼らは今年末までに水素SUVの全速力でのシェイクダウン走行を予定している。
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今回発表された水素ワーキンググループは、バッテリーシステムと燃料電池の両方を含む水素技術をモータースポーツ全体でどのように活用できるかを研究し、輸送とインフラにおける持続可能性を高めることに重点を置いている。
このワーキンググループには、F1の代表としてチーフテクニカルオフィサーのパット・シモンズ、FIAからはシングルシーター部門のディレクターを務めるニコラス・トンバジス、エクストリームHの代表者としてエクストリームEでテクニカルディレクターを務めるマーク・グレインが参加する。
シモンズはワーキンググループ結成の発表に際して、次のように語った。
「我々のスポーツは、信じられないほど短時間で新技術を世間に知らしめるという伝統を持っている」
「我々はあらゆる解決策にオープンマインドで臨み、分野横断的なエンジニアリングを採用することでそれを実現する」
「気候変動の抑制が全ての人の頭の片隅にある今、我々は持続可能性の推進に取り組み、モビリティ業界における脱炭素化のあらゆる分野を探求する必要がある。これには持続可能な炭化水素燃料、電動、水素が含まれている」
「このワーキンググループは、我々が直接経験を積み、エクストリームHが取り入れる水素技術促進の様々な側面の理解と発展に貢献することを可能にするコラボレーションを実現する」
また、FIAのトンバジスは次のように語った。
「FIA フォーミュラ1世界選手権と、2025年に開幕するFIAエクストリームH選手権を統括する団体として、この新たなコラボレーションを歓迎する」
「FIAの技術部門は、水素技術に関する経験とノウハウを持っており、我々はスポーツと安全、レギュレーションに関する専門知識と共に、このワーキンググループに参加することになる」
「現在、FIAモータースポーツのポートフォリオ全体がそうであるように、我々はこの協力関係から学んだことをスポーツとモビリティのために役立てたい」
モータースポーツにおける水素技術という面では、ル・マン24時間レースと世界耐久選手権(WEC)を主催するACO(フランス西部自動車クラブ)は、水素を動力源とするプロトタイプクラスを予定から1年遅れの2027年に導入することを予定。既に水素燃料を使用したマシンでのレース経験を持つトヨタがこれに強い関心を示している。
また、ダカールラリーや世界ラリー選手権(WRC)でも、同様に水素技術を競技へ持ち込む動きが出ている。
ただ、先月motorsport.comの姉妹誌GP Racingに寄稿したシモンズは、水素燃料電池は多くの熱を発生させる一方で比較的低温で作動させる必要があるため、モータースポーツにおいては非効率的だと指摘した。そうした特性により、水素燃料電池車は大型のラジエターを備える必要がある。
「水素はレース用エンジンのエネルギー源として有効なのだろうか? 答えは間違いなくイエスだと思う。しかし、先進的な持続可能バイオ燃料とeフューエルの混合よりも優れたソリューションなのだろうか?」
シモンズはそう記した。
「今後10年から20年の間に、輸送用燃料のインフラがどのように発展していくかに大きく左右されるから、この問いに答えるのは余計に難しい」
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