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燃費32km/ℓ スイフト・フルハイブリッド試乗 第4のパワートレインを評価

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燃費32km/ℓ スイフト・フルハイブリッド試乗 第4のパワートレインを評価

■どんなクルマ?

スイフト新型車、フルハイブリッド仕様

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スズキ・スイフトにとっては第4のパワートレインとなるフルハイブリッド(ここでは、従来型を “マイルドハイブリッド” と呼ぶことにする)。その動力システムのハードウェアは、ここでも以前紹介したソリオのそれとまったく共通である。

同じハイブリッドシステムを積むソリオとの唯一といっていい差異は、スイフトの商品特性に合わせて、変速スピードを速めている点。さらに今回の試乗車でもある上級 “ハイブリッドSL” には、ソリオ・ハイブリッドにはないパドルシフトも追加される。

スイフトはもともと、欧州仕様に準じるサスチューンの “RS” と、日本に最適化した快適指向サスペンションの “標準系” の2本柱に大別される。フルハイブリッドが搭載されるのは標準系のみで、“ハイブリッドSG” と “ハイブリッドSL” の2グレード構成だ。


売れ筋の1.2ℓとマイルドハイブリッドはRSと標準系の両方に搭載されるが、さらにRS専用で1.0ℓターボが用意されている。今回のフルハイブリッドは標準系専用なので、これでRSと標準系それぞれに専用のトップモデルがならぶことになったわけだ。

試乗車でもある上級のハイブリッドSLは194万9400円で、1.0ℓターボの “RSt” を抜いて、スイフト最高価格モデルとなる。


■どんな感じ?

フルハイブリッド、何ができる?

機構的にはエンジンを停止したEV走行が可能なのが、マイルドハイブリッドに対するフルハイブリッド最大の特徴だ。具体的には、2つある走行モードのうちの “エコモード” を選んだうえで、低負荷であれば発進から最高60km/hまでEV走行が可能……だそうである。


注意深く控えめなアクセル操作に徹すれば、なるほど、発進はエンジンを止めたままスルッと転がり出す。ただ、普通の交通の流れに乗って走らせるかぎり、その後にEVのまま加速するケースはごくまれ……というのはソリオと変わりない。

車重がソリオより30~50kg軽いので「ソリオよりはEV頻度は高いはず」と開発担当氏は語るものの、試乗当日は猛暑日だったこともあって、実際には冬季に乗ったソリオと印象はほとんど変わらない。

また、一定の条件を満たせば、80km/h以下でスロットルをオフにしたときにもエンジンが停止するが、これは下り坂なら頻繁に体験できる。ただ、エアコンがマイルドハイブリッドと同じ一般的なエンジン駆動コンプレッサーのままなので、エンジンが停止すればエアコンも止まる。今回のような暑い日には「下り坂に入った途端に、車内温度がみるみる上がって……」といったケースがあったのは事実。


開発陣もそこは認識していて、エアコンには気候や好みに合わせたいくつかのモードが用意されているという。


スイフト/ソリオ 変速スピードの違い

スイフトを縦横無尽にEV走行させるほどのパワーはないMGUも、駆動アシスト役としてはそれなりに存在感がある。トータルの体感動力性能は1.2ℓやマイルドハイブリッド比であからさまに速いわけではないが、ハッキリと小気味よい。

前記のように超エコランを心がけないかぎりはEVになりにくいので、無意識で走っていると “1.4~1.5ℓのコンパクトカー” といった風情である。


クラッチ断続時にISGでアシストすることで、ロボタイズドMTのクセが緩和されているのはソリオ(写真赤)と同様。スイフトでは変速スピードをさらに切り詰めているそうで、なるほど、その変速は普通のトルコンAT程度にはスムーズで速いが、さすがにツインクラッチのDCTにはおよばない。とくにトルク変動の大きい1~2速間にはいかにもロボタイズドMTのまどろっこしさが残っており、個人的にはシフトショック上等……でいいから、もっと切り詰めたほうが、恩恵にあずかるユーザーが多いと思われる。

乗り心地や操縦性は、数あるスイフトでも屈指に良い。スイフトはパワートレインのちがいで、同じFF車でも最大120kgという重量差があるのだが、アシのチューニングはRSと標準系のそれぞれで1本化されている。


よって、パワートレイン(≒重量)のちがいで、スイフトの操縦性や乗り心地も意外なほど千差万別。しかも「重いほど快適」あるいは「軽いほど曲がる」といった単純な構図で片づけられないのが、スイフトの興味深くも悩ましいところでもある。


フルハイブリッド車 重厚で静か

標準系スイフトは、走行中のボディの動きがRSより明らかに大きいが、アシが沈み込んでからの “コシ” はなかなか強く、接地感はRSよりリアルで鮮明だ。


最高速付近でガンガン走り続ける欧州的な使いかたならRSの利点が際立つが、日本で現実的に使えるスピードの範囲内なら、標準系のほうが好ましく感じる向きは多いはずである。

そんな標準系のなかでも、前後重量バランスと重心高の設定がうまくハマッているのか、フルハイブリッドはなんとも重厚で静か。今回のような小一時間程度の試乗では、フルハイブリッドの重さをネガに感じるシーンは1度もなかった。

■「買い」か?

価格は同等装備のマイルドハイブリッドより20万円以上高いが、カタログ燃費は4.6km/ℓ優秀で、エコカー減税幅も大きい(フルハイブリッドは免税)。それでも、そのイニシャルコスト差を相殺するには20万km以上の走行が必要だから、「モトを取る」という意識ではフルハイブリッドは選びにくい。実際、スズキとしてはこのフルハイブリッドを「スイフトの販売全体の1割程度を占めてくれれば……」と想定しているという。


千差万別スイフト、ベストスリー

フルエアバッグや自動ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどを標準装備する上級のハイブリッドSLでも200万円を切る価格は、装備内容を考えれば、トヨタ・アクアより割安感がなくはない。


ただ、動力性能や静粛性、乗り心地などでも他のスイフト比でありがたみは確実にあり、燃費うんぬん以前に、スイフトのフラッグシップ……という存在価値と味わいはそれなりにある。

ちなみに、チョイ乗りも含めれば、最廉価の “XG” 以外にすべて乗った経験からすると、乗り味で個人的に好印象だった “スイフト・ベストスリー” は、RSt、RSの1.2ℓMT、そして今回のハイブリッドSL……である。

スズキ・スイフト・ハイブリッドSL

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