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濃密な感覚を味わう ヴィーズマン・プロジェクト・サンダーボールへ試乗 EVロードスター 前編

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濃密な感覚を味わう ヴィーズマン・プロジェクト・サンダーボールへ試乗 EVロードスター 前編

市場で唯一のBEVのロードスターを作る

その名を初めて聞く、という読者もいらっしゃると思うが、ヴィーズマン社が生み出すプロダクトはとてもユニークだ。今回試乗が許された、ドライビング体験の充足感に軸足がおかれたBEV(バッテリーEV)、プロジェクト・サンダーボールも。

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BEVのロードスターと聞いて、2008年に発売されたテスラ・ロードスターを思い出すかもしれない。だが、ヴィーズマン社は既存のシャシーに駆動用モーターとバッテリーを搭載しただけではない。まっさらな状態から、すべてを開発している。

このロードスターのきっかけとなったクルマが、同じく同社が開発したプロジェクト・ゲッコー。ノスタルジックなスタイリングに拘った自動車メーカーとして2019年に創造した、初めてとなるオリジナルモデルだった。

ヴィーズマン社の過去の例へ沿うように、当初はBMW M社から供給される高性能な内燃エンジンを搭載する計画にあった。だが同時に、BEV化に対しても検討は進めていたという。

果たして電動化へのアイデアは急速に具現化され、精鋭部隊といえる技術者は1つの目標に向けて動き始めた。市場で唯一のBEVのロードスターを発売するという、他社にはない誇りを掴むために。少なくとも、大手のスポーツカーメーカーが発表するまでは。

「わたしたちが500名規模の企業で、内燃エンジン版と電気モーター版を同時に実行できるなら、そちらを選んだでしょうね」。と、ヴィーズマン社のマーケティング担当、アルネ・カストナー氏は説明する。

最高出力680ps、最大トルク111.9kg-m

「しかし規模の小さいグループとして、わたしたちは選択的に優先順位を付ける必要がありました。電動化に焦点を合わせるべきだと、全員を納得させることは容易なことではありませんでしたが」

「プロジェクトが進むほど、より魅力的なものだと見えてきたんです。社内には、40年間も内燃エンジンを載せたクルマを設計、開発してきた技術者がいます。彼らへ、突然別のことをするよう依頼することを意味しました」

「多くの人は、先の見えない人生のように、新しいことを恐れがちです。でも電動化という、またとない機会を逃すわけにはいきません。われわれより先に、他社へ最初の一歩を踏み出させるなんて」

ヴィーズマン社の技術力は、かなり有望といえる。シャシーはアルミニウム製のモノコックで、基本的には同社がこれまで手掛けたモデルの流れをくんでいるが、技術としては最新だ。カーボンファイバー製のボディも、まったく新しい。

シャシーのリアアスクル側に、2基の駆動用モーターが搭載されている。システム合計での最高出力は680psあり、最大トルクは驚きの111.9kg-mだという。

まだプロトタイプの状態ではあるが、車重は約1700kgに抑えられ、前後の重量配分はほぼ50:50とのこと。その結果、0-100km/h加速を2.9秒でこなせるらしい。

駆動用バッテリーは、実容量で83kWhと充分。さらに電圧800Vという、高性能なアーキテクチャを採用している。超高速充電に対応しつつ、約480kmの航続距離を獲得している。

アナログメーターに3段階の回生ブレーキ

もちろん、BMW由来のシステムではない。BEVの技術はまだ黎明期といえ、世界的なサプライチェーンの滞りも長引くだろう。多額の費用を投じて開発した、独自の駆動用バッテリーやモーターをヴィーズマン社に提供することなど、現状ではありえない。

そこで同社は、同じドイツのロディング・オートモービル社と手を組んだ。2基のモーターがリアに積まれているが、左右別々にタイヤを回すわけではない。1基のヒューランド社製シングルスピードATの入力シャフトへ繋がっている。

また、機械式のリミテッドスリップ・デフのほかに、圧倒的なパワーを制御するトラクションとスタビリティ・コントロールも獲得する予定だという。量産段階までには。プロトタイプの試乗車には付いていなかった。ABSも。

自動車メディアへ試乗を許すことも、今回が初めてだという。少々、不安になる。

メカニズムだけでなく、プロダクトとしてもシンプルさへ拘ってデザインされている。バッテリーの温度などがデジタルモニターに表示されるが、ダッシュボードの中央付近にはアナログメーターがずらりと並ぶ。

最新モデルらしく、エコとノーマル、スポーツという3種類のモード切り替えで、最高出力を変えることができる。ローンチコントロールも備わり、回生ブレーキの強さは5段階から選択可能。ステアリングホイール裏のパドルで、即座に変更可能だ。

この続きは後編にて。

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