■見た目も走りも秀逸なFFスポーツカーを振り返る
スポーツカーの定義は、人によってさまざまな意見や認識の違いがありますが、大前提として走行性能や運動性能が高いことは間違いないでしょう。
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また、誰の目にも速そうなルックスも、スポーツカーには重要な要素です。
そこで、見るからに速そうで、実際の走りも高く評価された前輪駆動のスポーツカーを3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「セリカ」
1970年に発売されたトヨタ初代「セリカ」は、それまで数少ない高性能車のものだったDOHCエンジンを搭載し、内装の仕様やエンジンを選択できるフルチョイスシステムを採用した、画期的なスペシャリティカーとしデビューしました。
その後代を重ね、1985年に登場した4代目では、ハイパワーなターボエンジンとフルタイム4WDを組み合わせた「GT-FOUR」が登場し、ラリーの世界でトップに昇りつめます。
そして1999年に発売された7代目は、それまでのターボエンジンと4WDを廃止し、シンプルなスポーツカーという原点回帰をコンセプトに開発されました。
外観は縦長のヘッドライトと空気を切り裂くようなシャープなフォルムが特徴的です。
FF用に専用設計されたボディに、1.8リッター直列4気筒自然吸気エンジンを搭載。トップグレードでは最高出力190馬力を誇ります。
また、フロントにストラット、リアにダブルウイッシュボーンサスペンションを採用し、国内外で運動性能が高く評価されました。
しかし、国内市場ではスポーツカーの需要が急激に低下していたことで、2006年に販売を終了。この7代目をもってセリカの長い歴史は幕を閉じました。
●ホンダ「インテグラ タイプR」
ホンダ「インテグラ」の源流は1980年に発売された「クイント」ですが、とくに高性能車ではありませんでした。
このクイントの後継車として1985年に登場した「クイントインテグラ」では、全グレードにDOHCエンジンを搭載したことで、スポーツモデルとして開花。
そして、1995年発売の3代目「インテグラ」の高性能版である「インテグラ タイプR」は、高回転化、高出力化された専用エンジンや、強化サスペンションなどを採用したスポーツカーとして人気を博しました。
2001年に発売された2代目インテグラ タイプRは、220馬力を誇る2リッター直列4気筒エンジンを搭載し、レカロ製バケットシート、MOMO製ステアリングホイール、チタン色アルミシフトノブ、ブレンボ製フロントブレーキキャリパーなどを備えています。
フロントがストラット、リアがダブルウイッシュボーンを採用したサスペンションは、サーキット走行にも対応するため普段使いには厳しいほど硬くセッティングされ、当時、「世界最速のFF車」の称号を得ます。
また、先代と同様にリアに大型スポイラー、各エアロパーツが装着され、見た目にもハイパフォーマンスさがうかがえました。
インテグラは2006年に生産を終えましたが、FFスポーツカーのDNAは「シビック タイプR」へと継承されています。
■英国製FFスポーツカーは酷評された!?
●ロータス「エラン」
天才技術者のコーリン・チャップマンが創業したロータスは、いまもイギリスを代表するスポーツカーメーカーです。
F1マシンを製作するほどの高い技術力を持っていたロータスは、高性能な市販車を数多く生み出しました。そのなかの1台が、1962年に登場した初代「エラン」です。
エランは鋼板製バックボーンフレームにFRP製ボディを架装したオープン2シーター(後にクローズドボディを追加)のFRスポーツカーで、軽量な車体にパワフルな1.6リッター直列4気筒DOHCターボエンジン(NAもあり)を搭載し、優れた走行性能を発揮。
エランはヨーロッパとアメリカでヒットし、その後も改良が重ねられて1975年まで販売されました。
その後ロータスはトヨタと資本関係を結び、1986年にはゼネラルモーターズ(以下、GM)の傘下に入り、1990年にはオープン2シーターの2代目エランを発売。
初代と同じくバックボーンフレームにスタイリッシュなFRP製ボディを載せ、ロータスと同じく当時GMの傘下だったいすゞ製の1.6リッター直列4気筒エンジンとトランスミッションが搭載され、駆動方式はFFとなっていました。
2代目エランは4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションを採用し、ロータスの手によるセッティングから優れたハンドリングを実現。新世代のFFスポーツカーとして高く評価されます。
しかし、伝統的に後輪駆動のクルマを製造してきたロータスがFFを採用したことと、高額な価格だったことから販売は極端に低迷し、1995年に生産を終了。
その後、2代目エランの製造権が韓国のキアに売られ、1996年にキア「エラン」(日本では「ビガート」)として販売されました。
※ ※ ※
エランがそうだったように、スポーツカーは後輪駆動でなければいけないと定義する人もいます。
実際に、後輪駆動車はアクセルワークによってクルマの向きをコントロールする醍醐味があり、スポーツドラインビングには適しているといえます。
一方で、速さという点ではFF車に分があるのも確かですが、これは出力がそれほど高くない場合に限られます。
現在、国産FF車で高出力なクルマといえばシビック タイプRがあり、320馬力を誇りますが、おそらくこれくらいがFF車では限界に近いのではないでしょうか。
これ以上高出力化が進んでも、駆動力が路面に伝わらなくては意味がありませんから。
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