BMWは、自動運転「レベル3」(条件付き自動運転)を高級乗用車「7シリーズ」(i7 eDrive50、i7 M70 xDriveを除く)にオプション設定すると発表した。12月から受注を受け付け、2024年3月の納車開始を予定する。オプション価格は6千ユーロ(約98万円)。レベル3により、ドライバーは渋滞中の高速道路上を時速60キロメートル以下で走行する場合、操作を一時的に車載システムに委ね、動画鑑賞やメールのやり取りなど運転以外の行為に集中可能となる。周辺状況の検知が難しくなる夜間の作動も可能にした。搭載車種を順次拡大して、新規ニーズの獲得につなげる。
ドイツ車メーカーでは、すでにメルセデスベンツが米国の一部州で、米国自動車技術会(SAE)が定めたレベル3規格に合致する車両の販売を発表した。ただ、夜間走行時に機能が使えないなど制約がみられる。
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BMWのレベル3システム「パーソナルパイロットL3」にも、作動が時速60キロメートル以下で、対向車線と構造物で分離された高速道路上に限られるなど、メルセデス車同様の制限がある。しかし、夜間も使用可能とし、技術的な優位性を確保したとする。高精度マップと全地球測位システム(GPS)による位置検出や、高感度なLiDAR(ライダー、レーザーレーダー)をはじめとしたセンサー類の複合活用を工夫して実現した。センサーにはカメラ、最新の超音波センサー、ミリ波レーダーも活用する。
レベル3走行では、安全確保に高精度マップの更新やリアルタイムの車両位置把握などが必要なため、第5世代移動通信システム(5G)を用いた同社コネクテッドサービスとの連携が前提となる。新車購入当初の連携サービス有効期間は、2年間とする。
7シリーズのレベル3は、車両システムが周辺状況を分析して利用が可能になると運転席正面のディスプレーに「利用可」のサインを表示。これを受けてドライバーがボタンを操作すると自動運転に切り替わる。自動運転はボタン操作で任意に解除できる。
自動運転中、ドライバーとの操作交代が必要になると音とディスプレーで知らせる。ドライバーが交代に応じない場合、システムが車両を安全な場所まで進め自動停止させる。
BMWは、すでにハンズオフ(ステアリングから手を離した運転)や時速130キロメートルでの車線変更支援を行う高機能な「レベル2」(特定条件下での自動運転機能)走行が可能な「ハイウェイアシスタント」を「5シリーズ」に採用した。最上級セダンの7シリーズへのレベル3搭載によって、同社は高機能レベル2車両とレベル3車両の両方をラインアップする初の自動車メーカーになるという。
レベル3は、2021年にホンダ「レジェンド」が世界で初めて搭載して以降、世界中の自動車メーカーが量販展開に向けて商品化を競っている。その技術開発では、車両システムからドライバーへの運転交代をどれだけ円滑に行えるのか、そして安全を確実に確保することが技術上の重要課題とされている。
最新モデルの7シリーズがレベル3の実用性をどれくらい高めるのか、仕上がりが注目される。
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