現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 航続距離は最大770km! BEVのSクラス、「メルセデス・ベンツ EQS」の性能が本国で明らかにされる【4月15日に正式発表】

ここから本文です

航続距離は最大770km! BEVのSクラス、「メルセデス・ベンツ EQS」の性能が本国で明らかにされる【4月15日に正式発表】

掲載 更新
航続距離は最大770km! BEVのSクラス、「メルセデス・ベンツ EQS」の性能が本国で明らかにされる【4月15日に正式発表】


■市場投入予定はEQSだけではなかった!
メルセデス・ベンツは、8月にヨーロッパ市場への導入を予定している新型BEV(電気自動車)、「EQS」の概要を明らかにした。

新型SクラスのフルEVバージョンに位置づけられるEQSは、ラグジュアリーセグメントに投入されるメルセデスの新世代EV。EQSは、新開発の電動車用アーキテクチャ「EVA(エレクトリック・ビークル・アーキテクチャ)」を採用したバッテリーEV専用車である。

【画像ギャラリー】コックピットのハイテク感に驚愕! SクラスのBEV「EQS」の公開された写真(全18点)

●擬装が施されたメルセデス・ベンツ EQSのテストカー

EVAは、ホイールベースやトレッド、バッテリー、さまざまなシステムコンポーネントなどがスケーラブルで、多種多様なモデルに用いることができる。そのため今後はEVAを採用したBEV専用車が続々と登場する見込みだが、メルセデスは今回、EQSに続いてEクラス相当のBEVであるビジネスセダンのEQEと、それぞれのSUVバージョン(モデル名はそれぞれEQGLS、EQGLEになると言われている)の投入も計画していると明らかにした。

ちなみにメルセデスは、2020年5月に発表した経営戦略「Ambition 2039」において、2030年までに販売する半数以上のモデルを電動化(PHEV含む)し、今後20年以内にカーボンニュートラルな自動車メーカーとなることを目指している。


■ミュンヘン~ベルリン間をノンストップ巡航可能!?
さて本題のEQSの内容は次のようになっている。EQS 450+とEQS 580 + 4マチックという2タイプのほか、今回詳細は発表されなかったさらにパワフルなパフォーマンスバージョン(AMGモデル)も用意される。スペックは、リヤアクスルに「eATS」と呼ばれる電動パワートレーンを搭載する後輪駆動のEQS 450+が最高出力245kW(333馬力)、最大トルク568Nm。前後にeATSを備えた4WDのEQS 580 + 4MATICは、それぞれ385kW(523馬力)と855Nmになる模様だ。

最高速度は210km/hに制限されるが、動力性能はかなりのものと予想できる。eATSは3相の励起同期モーターで、4マチックモデルはリヤによりパワフルなモーターを採用。前後駆動力配分をもっとも効率的かつシームレスに制御するトルクシフト機能を搭載。eATSは前後独立制御で、駆動トルクは1分間に1万回チェックされる。またシステム電圧が400Vと高電圧で、メカニカルな4WDより遥かにすばやいレスポンスを実現する。

●EVA(エレクトリック・ビークル・アーキテクチャ)と名付けられた、EQSのBEV専用シャシー

回生ブレーキの強度は、シフトパドルにより3段階の調整が可能。また走行状況に応じてECOアシスタントが最適に制御する。ブレーキ性能は最大で5m/s2(約0.5G)で、このうち3m/s2(約0.3G)は回生ブレーキ、2m/s2(約0.2G)はホイールブレーキとなる。なお回生出力は最大290kWだ。

フロア下に敷き詰められるリチウムイオンバッテリーは、使用可能電力が90kWhと107.8kWhの2種類を設定。EQCより約26%大きい107.8kWhの仕様では、航続距離がWLTPで最大770kmに達する。これはミュンヘンからベルリンまでノンストップで走行できる性能である。ちなみに電力消費量は、EQS 450+がNEDCで16.0~19.1kWh/100km、EQS 580 4MATIC+は同16.9~20.0kWhとなっている。

●EVAの要でもあるバッテリー。電力量は最大107.8kWhで、約770kmの走行が可能となる

■バッテリーの熱管理までするとは……
このリチウムイオンバッテリーは、シュトゥットガルトのウンターテュルクハイムにあるヘーデルフィンゲン工場で生産される。ニッケルとコバルト、マンガンの使用比率が8:1:1と、コバルトの使用比率を10%に低減したこのバッテリーは、10または12の節モジュールで構成。OTAによりつねに最新状態に保たれる自社開発の革新的なバッテリー管理ソフトウェアにより、10年または最大25万kmの性能保証が与えられている。なお、ヘーデルフィンゲン工場は、2022年から自然エネルギーによる生産体制となる。

充電は22kWまでの普通充電のほか、最大200kWのDC急速充電システムに対応。最大で300kmの走行に必要な電気をわずか15分で充電出来るという。なお日本仕様はEQCに続きV2Hにも対応する。

ナビゲーションシステムを「エレクトリック インテリジェンス」とともに使用すれば、渋滞や運転スタイル、地形、天気などさまざまな情報に基づいて、充電停止を含む最速かつもっとも便利なルートを計算してくれる。さらに外気温や冷暖房需要、速度、ルート、地形などによるエネルギー需要や、充電ステーションの地点の気温、充電ステーションの数やその出力、支払い機能などを考慮し、状況変化に応じてオンボードとクラウドでの計算を組み合わせて最適なルートをはじき出す。

●クラウド経由で渋滞や天気、そして充電スポットも考慮した最適ルートを提案してくれる

エレクトリック インテリジェンスがアクティブであれば、走行中にバッテリーは熱管理システムにより余熱または冷却されて、急速充電に理想的な温度に保たれる。結果、充電時間の短縮を実現する。

■風切り音まで計算した静粛性へのこだわり
ラグジュアリーカーとしての実力も申し分なさそうだ。とてもフラットなフロントウインドーを持つ、ほぼワンモーションの4ドアクーペフォルムを持つEQSは、前面投影面積は2.51平方メートルに抑えられ、スムーズなアンダーボディやアローシェイプの前後ホイールスポイラーやリフト低減と低ドラッグを目的としたリヤスポイラー、Aピラー形状の最適化、格納式ドアハンドルの採用などにより、Cd値が0.20と量産車世界最高となっている。フロントのルーバーはBEVであるため、走行中はほぼ閉じたままだ。

●擬装が施されたメルセデス・ベンツ EQSのテストカー

また合わせガラスの採用や、サイドウインドーシールの最適化、ボディへの吸音フォーム採用、2つの遮音壁を備えたテールゲート、eATSへの特殊なフォームマットを用いたNVHカバー採用などにより、電動化により一層の風切り音低減が求められるなかで、クラストップレベルの静粛性および低振動を実現したという。

カーボンニュートラルを実現したジンデルフィンゲンの「ファクトリー56」で生産されるEQSは、リサイクル繊維を用いたフロアマットなど、総重量80kgを超えるパーツがリサイクル材または再生可能材で作られるなど、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の点も十分に考慮されている。

現時点では明らかにされていないが、自動運転技術についても最先端のテクノロジーが盛り込まれるのは確実だ。EQSはプレミアムBEV市場を狙う世界中の自動車メーカーへ大きなインパクトを与えることになりそうである。

<文=竹花寿実 text by Toshimi Takehana>

こんな記事も読まれています

今見ても攻めすぎ!! グランディス今見ても未来感満載じゃない!?
今見ても攻めすぎ!! グランディス今見ても未来感満載じゃない!?
ベストカーWeb
マルク・マルケス、タイヤ内圧違反で16秒のペナルティ。4位から10位へ降格した理由は/第8戦オランダGP
マルク・マルケス、タイヤ内圧違反で16秒のペナルティ。4位から10位へ降格した理由は/第8戦オランダGP
AUTOSPORT web
角田裕毅、イギリスGP初日は厳しい1日に。でも悲観せず「理想的なスタートは切れなかったが、FP2で十分なデータを集められた」
角田裕毅、イギリスGP初日は厳しい1日に。でも悲観せず「理想的なスタートは切れなかったが、FP2で十分なデータを集められた」
motorsport.com 日本版
井戸田潤「欲しいな、これ!」 「Gクラス 320」試乗で大興奮!購入即決で妻を説得!?
井戸田潤「欲しいな、これ!」 「Gクラス 320」試乗で大興奮!購入即決で妻を説得!?
グーネット
330なのに2リッターだと!? エンブレム見てもわからん!! エンジンの排気量と車名が全然一致しなくなった今
330なのに2リッターだと!? エンブレム見てもわからん!! エンジンの排気量と車名が全然一致しなくなった今
ベストカーWeb
プジョー「408GTフレンチタッチ」発売!ドラレコ付きディスプレイミラー装備の特別仕様車
プジョー「408GTフレンチタッチ」発売!ドラレコ付きディスプレイミラー装備の特別仕様車
グーネット
フェラーリ、スペインGPから悩まされたポーパシングの解消に自信。イギリスGP前に解決策をテスト
フェラーリ、スペインGPから悩まされたポーパシングの解消に自信。イギリスGP前に解決策をテスト
AUTOSPORT web
全幅190cm!スモールキャブコン「リバティ50DB」 選んで楽しい全12色のカラバリ追加
全幅190cm!スモールキャブコン「リバティ50DB」 選んで楽しい全12色のカラバリ追加
グーネット
新型「トライトン」4台体制で王座奪還に挑む!AXCR参戦 チーム三菱ラリーアート
新型「トライトン」4台体制で王座奪還に挑む!AXCR参戦 チーム三菱ラリーアート
グーネット
F1イギリスGP FP2速報|マクラーレンのノリスが2セッション連続で首位。レッドブル以下に大差をつける。角田裕毅16番手
F1イギリスGP FP2速報|マクラーレンのノリスが2セッション連続で首位。レッドブル以下に大差をつける。角田裕毅16番手
motorsport.com 日本版
マクラーレン1-2! ノリスとフェルスタッペンのペースは同等……再び一戦交えるか? 角田裕毅16番手|F1イギリスGP FP2
マクラーレン1-2! ノリスとフェルスタッペンのペースは同等……再び一戦交えるか? 角田裕毅16番手|F1イギリスGP FP2
motorsport.com 日本版
初代「コルベット」ブルーフレイムをオマージュ!限定車「レッドフレイムシリーズ」発表
初代「コルベット」ブルーフレイムをオマージュ!限定車「レッドフレイムシリーズ」発表
グーネット
いいか落ち着け! ドクターイエローの引退は3年後だからな! まだまだ走るぞドクターイエロー
いいか落ち着け! ドクターイエローの引退は3年後だからな! まだまだ走るぞドクターイエロー
ベストカーWeb
マセラティ “最速の市販車”をオマージュ 限定車「MC20 イコーナ/レッジェンダ」発表
マセラティ “最速の市販車”をオマージュ 限定車「MC20 イコーナ/レッジェンダ」発表
グーネット
哀川翔と川畑真人がアジアンラリー出発前のプラドで最終調整。XCRラリー北海道には新型トライトン投入へ
哀川翔と川畑真人がアジアンラリー出発前のプラドで最終調整。XCRラリー北海道には新型トライトン投入へ
AUTOSPORT web
Team TATARA、アプリリアでのSST優勝も見据える新庄と和田「良い緊張感を感じている」/鈴鹿8耐
Team TATARA、アプリリアでのSST優勝も見据える新庄と和田「良い緊張感を感じている」/鈴鹿8耐
AUTOSPORT web
7月14~15日にSUGOで23台が参加しGTE主催GT300テスト開催。入場料で観覧可能
7月14~15日にSUGOで23台が参加しGTE主催GT300テスト開催。入場料で観覧可能
AUTOSPORT web
スリップしてからでは「時すでに遅し!!!」タイヤ交換の時期はいつ? チェック法や注意点、長持ちさせる方法は?
スリップしてからでは「時すでに遅し!!!」タイヤ交換の時期はいつ? チェック法や注意点、長持ちさせる方法は?
ベストカーWeb

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村