9月2日、ダイムラーは、メルセデスの新型「Sクラス」を発表した。進化のポイントは?
拡大されたボディサイズ
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あなたが「王者」と聴いて想像するのはどんな存在だろうか? 筆者が思い浮かべるのはスポーツの世界でいえばマイク・タイソン、ミハエル・シューマッハー、マイケル・フェルプス、ウサイン・ボルト、タイガー・ウッズなど、比類なき実力を保ち続け、誰にもその地位を脅かされず長く君臨する者たちである。
メルセデスのSクラスは、まさしくクルマの世界における王者である。メーカーの正式呼称として「Sクラス」となったのは1972年のW116型からであるが、“快適性と品質性に関し徹底的にこだわったSpecialモデル”に由来する「S」の歴史は、事実上、第2次大戦の影響も色濃い1951年登場のW187型から始まったとメルセデスの公式資料に記されている。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020以来70年近くに及び、量産車の最先端技術と最高の品質を提供することに挑み続けてきた。通算400万台以上が生産されてきたSクラスのもっとも価値ある数字は、ヨーロッパにおいて80%以上、アメリカにおいても70%以上の前オーナーがメルセデスに戻ってくるというカスタマー・ロイヤリティだ。一度手に入れたらもう手放せないという安定感を元に、支持者を広げ続けているのである。
W223の内部呼称で呼ばれる新型も、変わることなく自動車技術の最先端を余さず集積している。自動車としての基本メカニズムから紹介していこう。
例によってショート/ロングの2種が用意されるボディのサイズは全長5179/5289mm、全幅1954mm、全高1503mm。先代に比べて全長が54mm、ホイールベースが71mm長く(ともにショート)、55mm広く、10mm高い。ボディ拡大にともないリアシートのレッグルームは41mm、ヘッドルームは16mm拡大され、トランク容量は20リッター拡大されて550リッターになった。
一般に車庫が狭い日本では、幅の拡大が気になるものの、オプションで「フラッシュマウントドアハンドル」を装着すると車幅が33mm小さくなる。ドライバーが近づくか、ドアハンドルは外周面を撫でると電動でせり出す仕組みだ。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020スチールとアルミニウムを組み合わせたハイブリッド・ボディシェルの素材は、アルミの占める割合が50%を超える。空力性能は徹底的に磨きこまれており、CD値は0.22~と、セダンとしてはきわめて低い値で、空気抵抗を極限まで低減している。
車重に関する情報は得られていないが、WLTP複合燃費はもっとも低燃費なS350dで7.7~6.4L/100km(15.6~13.0km/L)、最もパワフルなS500 4マチックで9.5~7.8L/100km(12.8~10.5km/L)である。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020興味深い足まわりの新機構
エンジンは当面、いずれも排気量約3リッターのガソリンとディーゼルの直列 6気筒エンジンのみが用意され、変速機は9Gトロニックと組みわせられる。最高出力/最大トルクの順でS500 4マチック用ガソリンは435ps/520Nm、S450 4マチック用ガソリンは367ps/500Nmで「EQ Boost」と呼ぶモーターのアシストがくわわる(22ps/250Nm)。ディーゼルはS400dが330ps/700Nm、S350dが286ps/600Nmである。
Mercedes-Benz S-Klasse, V 223, 2020発進から100km/hへの到達時間はもっとも速いS500 4マチックが4.9秒、もっともおとなしいS350dで6.4秒。最高速はいずれも250km/hでリミッターが作動する。
詳細は明らかにされていないが、今後スタータージェネレーター (ISG)と48ボルトの車載電気システムを組み合わせたV8エンジン搭載車も間もなく販売される予定。2021年には、電動航続距離が約100kmのプラグ・イン・ハイブリッド車が登場するとしている。
Mercedes-Benz S-Klasse, V 223, 2020サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクで連続的に減衰力を調整できる「AIRMATICエアサスペンション」が標準装備される。さらにオプションで後輪操舵システム「リアアクスルステアリング」も選べる。高速では前輪と同位相に(最大4度)切れて操縦安定性を高め、低速では逆位相に切れて小まわり性を高める。低速での最大舵角は10度と非常に大きく、最小回転直径は1.9mも短縮され10.9mになるという。これはコンパクトカーに近い水準だ。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 202048Vシステムで稼働する「フルアクティブE-ACTIVE BODY CONTROLサスペンション」をオプション選択すると、毎秒1000回の制御により快適性や敏捷性が高まるだけでなく、側面衝突を受け止めるシーンにおいて「PRE-SAFEインパルスサイド」という新機能が作動する。これは事故の危険を察知するとエアサスペンションが瞬間的に80mm車高を高め、硬いサイドシルをぶつけることで乗員に伝わる衝撃を最小限にするものだ。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020進化した先進安全装備
ほかにも、新型Sクラスは安全性に関する技術の宝庫である。興味深いものをいくつか紹介しよう。
「デジタルライト」は、130万個のマイクロミラーを備える3つのLEDライトモジュールが、夜間走行中に前方の道路に向けて案内表示や警告シンボルを投影する。2種用意されるヘッドアップ・ディスプレイのうち、オプションの大型のものは、ナビゲーションの際に矢印を車線上に正確に表示するという。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020「クロストラフィック機能付きアクティブブレーキアシスト」は、車載センサーを使って、先行車、横断車、対向車との衝突の危険性を検知、視覚と聴覚を通じて警告する。ドライバーのブレーキ反応が弱すぎる場合は、状況に応じてブレーキ圧を上げ、ドライバーが反応しない場合は自律的な緊急ブレーキをかける。
「回避型ステアリングアシスト」は、危機的な状況下でシステムが認識した停止中の歩行者や横断中の歩行者、縦走中の自転車を避けようとする場合に、ドライバーの操舵を支援する。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020これまでになかった発想なのではないか? というのが、「アクティブエマージェンシーストップアシスト」だ。これはドライバーが意識を失うなどして反応がなくなると自動的に路肩に寄せて停止し、ドアをアンロックするというもの。直後にコールセンターに自動で通報し、ドライバーが意識を取り戻せば運転に復帰できる。
「アーバンガード」も面白い。駐車してドライバーが車から離れているあいだに他車が接触した場合、即座にドライバーが持っているキーに警報が伝わるほか、車載カメラが周囲の状況を撮影するという当て逃げ防止機能である。
なお新型Sクラスには標準状態でレーダーセンサーが5基、ステレオカメラ1基、360度カメラ4基、超音波センサーが12基搭載されている。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020ドライバーがスマートフォンの操作などをして、運転から注意を逸らしていても操舵をサポートしてくれるレベル3の自動運転機能も今後オプションで選べるようになる。2021年後半からドイツ国内で、LiDARセンサーや追加カメラ1基、マイクロフォンなどを備えるオプションの「ドライブ・パイロット」を搭載した場合に可能になるそうだ。技術的には現段階でも導入可能というが、欧州内の法的な承認手続きが来年半ばになるとのこと。
地域によっては自動駐車の機能も利用できる。「インテリジェント・パーク・パイロット」をインストールすると、“AVP”(Automated Valet Parking、SAE Level 4)に対応し、AVPインフラを備えた立体駐車場に、ドライバーが外部から自動的に入出庫できるという。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020MBUXのアップデート
最後になったが、今回のSクラスがもっとも力を入れていると思われるのは第2世代になった対話型インフォテインメント・システムのMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)だ。分厚い83ページのメディア向け資料中、ショートバージョンを除いた本編67ページのうち13ページはMBUXに割かれている。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020処理能力を50%高めたハードウエアには、有機EL製を含む最大5つのスクリーンが組み合わせられる。新しい「3Dドライバーディスプレイ」は、車内のステレオカメラによる視線追跡の機能を加えることで3D空間認識を可能としたという。
おなじみの「Hey Mercedes!」はさらに賢くなり、最大で27の言語に対応し前後席から操作が可能。複数の連続した指示を出すことができ、車両の機能を説明したりスマートフォンをBluetoothで接続する手助けもしてくれたりするようになった。それぞれの席でSportifyやAmazon Musicなどを楽しめ、後席にAndroidタブレットを搭載することも可能だ。いわゆるスマートホームとの連携も可能で、空調や照明の操作や侵入者の有無もチェックできる。
Mercedes-Benz S-Klasse, V223, 2020「MBUXインテリア・アシスト」は、ルーフに搭載されたカメラと学習アルゴリズムを使用して、頭の向き、手の動き、ボディランゲージを解釈して、乗員の希望や意図を予測して、車両機能を操作する。たとえば、ドライバーが肩越しにリアウィンドーの方を見ると、閉じていたサンブラインドを自動的に開くという具合だ。
新型Sクラスは、ドイツでは2020年9月中旬から注文可能で、2020年12月にはディーラーに並ぶ予定。アメリカと中国では2021年2月に市場投入が開始される。
Mercedes-Benz S-Klasse, V 223, 2020 // Mercedes-Benz S-Class, V 223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V 223, 2020 // Mercedes-Benz S-Class, V 223, 2020Mercedes-Benz S-Klasse, V 223, 2020 // Mercedes-Benz S-Class, V 223, 2020文・田中誠司
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