1月4日、警察庁より「平成30年中の交通事故死者数について」という発表があった。平成30年(2018年)の交通事故による死者数は3,532人、前年比162人減(4.4%減)となった。すでに2017年の段階で統計の存在する1948年以降では最小記録となっていたが、それを更新したカタチだ。
さて、交通事故死亡者数の統計データを取り上げると、ここで発表されている死亡者数が『事故後24時間以内』であるため、「医療の進歩により延命しているだけで、実際の死亡者数は減っていないのでは?」といった疑問の声が上がるものだが、警察庁の発表するグラフには30日以内の死亡者数についても記されている。2018年については、まだ「30日以内死亡者数状況」が出ていないので断言はできないが、ここ10年は24時間以内の死亡者数とほぼ比例していることを考えると、けっして医療の進歩により見た目の死亡者数が減っているとはいえない。
こう書くと「医学の発展により死亡せずとも負傷者は増えているはずだ」という指摘もあるものだが、警察庁の発表データを見ると、2018年の交通事故による負傷者数は52万4695人と前年より5.6万人程度の減少となっている。平成16年(2004年)前後の負傷者数は120万人あたりで推移していたことを考えると、10余年で半減していることになる。交通事故による死亡者、負傷者ともに確実に減っているのだ。
それもそのはずで、交通事故そのものが減っている。前述した2004年の交通事故発生件数が95万2720件だったのに対して、2018年は43万345件と半分以下になっている。ちなみに、自動車(四輪・二輪などの合計)の保有台数を自検協の発表値から抜き出すと、2004年は7739万245台、2018年は8156万3101台となっているので、クルマが減ったから事故が減ったわけではなく、自動車が増えているにもかかわらず交通事故が減っている。とくに、ここ数年の減少は顕著で、衝突被害軽減ブレーキなどプリクラッシュセーフティシステムの普及が事故そのものを減らしていると考えることができそうだ。
またドライバーのマナーが向上していることも事故減少につながっているだろう。近年「あおり運転」の対策が課題となっているが、傍若無人な振る舞いをするドライバーは昔から存在していた。その数が減ってきたことで悪質なあおり運転が目立つようになってきたと感じる部分もある。スピード違反をするドライバーが減ったことも事故の減少につながっているだろう。
自動車メーカー、自動車ユーザーの理想は「交通事故ゼロ、死亡者ゼロ」にある。プリクラッシュセーフティシステムの普及や悪質ドライバーの減少によって交通事故死者数の史上最少記録を更新したとはいえ、それでも平均すると一日あたり10名の尊い命が交通事故によって失われている計算になる。「ゼロ、ゼロ」の実現に向けて、さらなるマナーアップの努力や自動運転技術の普及に期待したい。
文:山本晋也
自動車コミュニケータ・コラムニスト
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