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【水素技術、勝者になるか?】ジャガー・ランドローバーの動向に注目 グリーン水素がキーか

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【水素技術、勝者になるか?】ジャガー・ランドローバーの動向に注目 グリーン水素がキーか

環境にやさしい「グリーン水素」

英国政府は、今年の初め、CO2排出量を削減するためのさまざまな自動車プロジェクトに7300万ポンド(101億7500万円)を投資すると発表している。

【画像】BMW i ハイドロジェン・ネクスト、トヨタ・ミライ、ヒュンダイ・ネクソ【水素燃料モデル比較】 全99枚

ジャガー・ランドローバー(JLR)が取り組む、水素燃料研究のプログラム「プロジェクト・ゼウス」も、同じ時期に明らかにされている。

JLRは、デルタ・モータースポーツ、マレリ・オートモーティブ・システムズ、およびUKバッテリー工業化センターと協力して進めているという。

資金面で関わりのあるアドバンスド・プロポージョン・センターは「航続距離が長く、充填が早い、高いけん引能力およびオフロード性能、低温性能など、ジャガー・ランドローバーの特徴を備えた、ゼロエミッションのプレミアム燃料電池SUVコンセプトを提供します」と述べている。

JLRは、2019年3月に新しい水素および燃料電池の責任者として、ラルフ・クラークを採用している。

クラークは、2016年から中国のメーカー、長城汽車で燃料電池研究開発のディレクターを務めた経験を持つ。また、JLRが、水素に関する知見をもつエンジニアの採用に積極的だという情報もある。

一方で、「環境にやさしい」水素製造のための数多くのプロジェクトが、最近、ヨーロッパ全土で発表されている。

水素燃料への移行

英国政府は最近「脱炭素エネルギーとしての、水素の開発のために」水素諮問評議会を設立した。

現在、世界の水素生産の多くは、化石燃料である天然ガスからの水素の抽出、つまり改質と呼ばれるプロセスによって行われているため、これは「ゼロカーボン」と見なすことはできない。

ただし、水素は、風力タービンなどからの再生可能電力を使用して、電気分解と呼ばれるプロセスを通じて海水を水素と酸素に「分解」することによっても、生成が可能となっている。

予測を専門とするIHSマークイット社は「環境にやさしいグリーン水素の製造コストは、2015年以降50%減少し、2025年までに30%減少する可能性があります」と述べている。

IHSマークイットはまた、水素の接触分解への投資は、今後数年間で大幅に拡大すると述べ「スケールメリットが、グリーン水素のコスト面での競争力を高めるでしょう」

「2023年に予定されているパワー・トゥー・エックス・プロジェクトの平均スペックは100MWであり、現在の最大のプロジェクトの容量の10倍となります」と述べている。

EVバッテリーへ寄せられる信頼と、そのパワーと容量の向上にもかかわらず、ヨーロッパ各国政府の考え方は急速に変化している。

「電動化だけでは、ヨーロッパの多くの国が目指すレベルの、排出削減の目標を達成できないことは、周知の事実となっています」とIHSマークイットのキャサリン・ロビンソンは指摘する。

エネルギーの常識を変える

欧州連合(EU)は、2024年までに脱炭素化された水素の生産と、2030年までに少なくとも40GWの再生可能エネルギーによる水素生産を行うという、グリーン水素導入の野心的な計画を発表している。

「アナリストは、クリーンな水素が、2050年までに世界のエネルギー需要の24%を満たし、年間売上高は6300億ユーロ(79兆4500億円)となると予測しています」とEUレポートは述べている。

「再生可能電力が安い地域では、2030年までに、電気分解の水素が化石ベースのそれと競争できるようになると期待されています」

税、輸送、生産者の利益を考慮に入れても、再生可能エネルギーで供給される水素電力は、今後10年間でコスト競争力を持つようになると予想されている。

水素が現在、ゼロカーボン燃料として大きな関心を集めている理由はいくつかある。

電車や船舶を含む重量物輸送は、バッテリー電気技術では、エミッションフリーを実現できないことがわかっているが、商用車用の水素燃料補給ネットワークを利用すれば、水素乗用車の普及は可能だと考えられている。

トヨタ・ミライやヒュンダイ・ネクソなどの水素燃料電池EVのコストが高いのは、生産規模が小さいからであり、商用車の使用を増やすことで、コスト削減が可能となる。

水素はエネルギーの常識を変える可能性もある。

中国と欧米の間のかけひきにより、バッテリーと希土類鉱物の供給が制限される可能性があり、結果的にヨーロッパでは、再生可能な水素の安定した供給網が実現することもありえる。

貯蔵に関する問題も解決か

水素燃料の車両への貯蔵に関する問題も、解決しつつある。

現在、水素は高圧で貯蔵する必要があり高いコストがかかる。

また、クルマに搭載するのが非常に難しく、高価なフィラメント・ワインディング・タンクが必要となっている。

米国ノースウェスタン大学の研究者と科学者のチームは、「金属有機フレームワーク」と呼ばれる新しい材料を開発した。

これにより、特定のスペースに、はるかに低い圧力で、はるかに大量の水素ガスを、貯蔵することができる。

材料はスポンジのようにガスを吸収し、圧力をかけてガスを放出することができる。

この技術により、今日のバッテリーパックと同じフロア下のスペースに、水素タンクを収められるようになる可能性がある。

JLRの次期型MLA多燃料自動車プラットフォームへの、追加のパワートレインとしても理想的なものとなるだろう。

ドイツでは、コンパクトな水素タンクが開発されており、フランスの部品サプライヤーであるフォルシアは、燃料ガス1kgあたりの生産コストが400ポンド(5万円)となる新しい熱可塑性水素貯蔵タンクに取り組んでいる。

重量とコストに関するエンジニアリング上の理由もあり、水素燃料電池技術は、確かに少なくとも大型車では、バッテリー電気パワートレインよりも優れていると言えるだろう。

現行型トヨタ・ミライの3つの水素タンクは重量が87kgで、5kgの燃料ガスから航続距離500kmを提供する。

一方、バッテリー電動モデルであるテスラ・モデルSロングレンジは、約540kgの95kWhバッテリーから、最大で515kmの航続距離を提供する。

燃料電池スタックや小型バッテリーを追加した場合でも、水素燃料電池車がBEVよりも重量の点で優れていると言えるだろう。

現在のEVバッテリーの生産コストは、kWhあたり約118ポンド(1万6000円)であり、95kWhのバッテリーパックの製造コストは、約1万1000ポンド(153万円)と言われている。

フォルシアの、年間約3個の限定生産の熱可塑性水素タンクでさえ、同様のパワーでたったの1820ポンド(25万円)となっている。

かつては将来性がないと見なされていた水素燃料電池技術は、実際には自動車産業の脱炭素化競争の勝者となる可能性がありそうだ。

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みんなのコメント

2件
  • 水素作る為の電気で走らせりゃいいだろ。
  • フォード製のディーゼルを積んだ4代目前期方がまだ昔の匂いがしていいのかも。
    ランドローバーもイケメンになりすぎたしgクラスも可愛くなりすぎて泥臭さが足りない。
    イケメンスマートは他のメーカーに任せてゴツいマッチョなオフローダー残して欲しいな。。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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