GMのキャデラック部門は2020年2月10日、ロサンゼルスで2021年型モデルとなるフルサイズのラグジュアリーSUVの新型「エスカレード」を発表した。新型エスカレードは、自動車業界初の「湾曲型OLEDディスプレイ」、「AKGオーディオシステム」を標準採用し、さらにオプションでハイウェイでの高度運転支援システム「スーパークルーズ」を設定している。
第5世代となるこの新型エスカレードは、最新のラグジュアリーSUVとしてフルモデルチェンジされ、ドライビングダイナミクスの向上、居住スペースやラゲッジスペースを大幅に拡させ、このカテゴリーのリーダーにふさわしいアップグレードを遂げている。2020年の秋頃に発売が開始される。
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エクステリアとインテリア
新型「エスカレード」は、キャデラックのアイコンである縦長のデイタイム・ランニングライトを採用し、新たに細身のホリゾンタル・ヘッドランプを追加して、ワイド感と力強さ強調。垂直配置のバーチカルリヤライトも引き続き採用しているが、繊細なエッチング仕上げを施した、深味のある3Dレイヤーデザインを追加。標準装備される22インチホイールは、新型エスカレー」の堂々とした存在感を強調している。
今回初めて、「エスカレード」に新グレードの「キャデラック・スポーツトリム」が登場した。ブラックメッシュグリルやブラックトリムがエクステリアの特長となっている。「ラグジュアリー」モデルと「プレミアムラグジュアリー」モデルには、明るいガルバノフィニッシュが、最上級の「プラチナム」には、専用のインテリア、エクステリア・ディテールが装備される。
インテリア・デザインも一新され、キャデラックのコンセプトモデル「エスカーラ」をモチーフとしてデザインされている。初めて内装に「ギデオンウィスパーベージュ」コンビネーショントリムを採用。この高性能かつファッション性の高いインテリアでは、中央部分に「エスカレード」特製ファブリックを配している。
ステッチやキルティングパターンを備えた独自のシートデザインを採用し、8色のカラーやトリムの選択ができることも大きな特長になっている。
新しい「湾曲型OLEDディスプレイ」は、インテリアの中心にあり、従来のダッシュボードに単に標準的な長方形のディスプレイを取り付けるのではなく、デザイナーが車内環境の全体を統合し、カスタマイズすることを可能にしている。その結果、テクノロジーとハンドメイドのディテールがシームレスに融合し、新鮮で一体感のある画期的なキャビンとなっている。
「OLEDディスプレイ」はセンターディスプレイ用タッチスクリーンコントロールが組み込まれており、室内のすべての機能を操作するためのロータリーダイヤル式コントローラーや、ステアリングホイールの操作系も備え、電子制御と物理的なスイッチの組み合わせにより、直感的な操作が可能になっている。
ボディサイズは全長5382mm(ロング:5766mm)、全幅2059mm、全高1948mm、ホイールベース3071mm(ロング:3407mm)。車両重量は2560kg(ロング:2880kg)とフルサイズにふさわしいボディとなっている。プラットフォームは従来どおりGMCの「GMT」を採用している。3列シート・レイアウトで、3列目のシートスペースはクラス最大だ。
ARも装備
新型エスカレードは自動車業界で初めて「湾曲型OLEDディスプレイ」が採用されている。対角線の長さが965mm超のディスプレイエリアを備え、解像度は4Kテレビの2倍を誇る。この技術により、鮮明な画像、完璧な黒色を再現し、現在生産されている自動車用ディスプレイの中で最も豊富な色彩を実現している。
このシステムには、3つのスクリーンが組み込まれている。ドライバーの左側は対角線の長さが182mmのタッチ操作パネル付きドライバー・インフォメーションセンターで、ステアリングの奥は対角360mmのクラスター・ディスプレイが、さらにドライバーの右側は対角430mmのインフォテインメント・スクリーンが装備されている。このOLED(有機EL)は紙のように薄く、そのディスプレイを最適な状態で視認できるよう湾曲させてある。
鮮やかな色や画質を特徴とするOLEDは、一般的なディスプレイを覆うフードの必要がなく、より明るく乱反射のない環境を作り出す。このOLEDを採用したことで、さらなる拡張性を備えたことになる。
オプションの最新型「拡張現実(AR)対応ナビゲーションシステム」が搭載でき、ストリートビューのライブ表示や目的地の方向を指示するディレクションオーバーレイ機能などを実現している。
また標準装備の「サラウンドビジョン」は、4台の外部カメラで撮影した車両周辺の状況を、解像度2メガ・ピクセルのバードアイビュー(マルチアラウンドモニター)で表示する機能を持っている。
トレーラーのけん引を容易にする「トレーラリング・インテグレーションパッケージ」(オプション)では、最大9種類のカメラビュー(リヤカメラガイドラインを含む)が表示できる。「リヤカメラミラー」(オプション)は、従来のリヤビューミラー画面にリヤカメラの映像を表示する機能がある。
さらにオプションの「ナイトビジョン」は、前方視界を改善するため赤外線を利用して夜間の歩行者や大型動物などを検知し、センタークラスターディスプレイに表示する。
リヤエンターテイメント
リヤシート用の新型「リヤシートエンターテインメント」は、12.6インチタッチ式ディスプレイを左右シートバックに備え、ナビゲーション機能の他、HDMIおよびUSB入力を介してゲーム、音楽、ビデオを再生するストリーミング機能を備えている。
この画面には、アンドロイド・スマートフォンの画面を表示することも可能だ。さらに目的地のサジェスチョン機能では、後部座席の乗員からディスプレイを通じて前席のナビゲーション画面に推奨ルートの提案を送信し、ドライバーの返答を求めることができるようになっている。
オーディオは、有名ミュージシャンがライブで使用するAKGスタジオ・システムなど業界初のスピーカーやマイクも統合したAKGオーディオテクノロジーを採用し、前後の乗客の会話がマイクを通してスムーズに行なうことができる。もちろん「AKG製オーディオシステム」は、プロ仕様のスタジオサウンドで圧倒的なオーディオを楽しむことができる。
標準装備の「AKGスタジオシステム」には、14チャンネルのアンプを備えた大容量密閉型サブウーファー付きの19スピーカーシステムを搭載。オプションで28チャンネル仕様のアンプを3基と36のスピーカーで構成されるハイエンド・システムとなる。この「スタジオ3Dサウンド」により、レコーディングスタジオで目の前にアーティストがいるかのように感じるサウンドが実現している。
スーパークルーズ
新型「エスカレード」は、フルサイズSUVとして初めて高度運転支援テクノロジーの「スーパークルーズ」をオプションで搭載できる。このシステムは、3次元LiDAR、高精度地図データ、高精度GPS、最新のドライバーアテンションシステム、さらにカメラおよびレーダーセンサーのネットワークを使用して、アメリカ、カナダにおける20万マイル(32.2万km)以上のハイウェイでハンズフリーでの走行を可能にしている。
このシステムでは、自動車線変更する場合はドライバーが進路変更したい側のウインカーを出すだけで、隣の車線に進路を変更するようシステムが作動する。
またドライバーアテンションシステムも備えており、「スーパークルーズ」の起動中にドライバーが道路により注意を向ける必要がある場合、その状況を検出してシグナルを送ることでドライバーの注意力を維持させるよう補助する。また最新の技術進歩により、「ダイナミックレーンオフセット」も可能だ。
「スーパークルーズ」で走行中、他の車両が接近してすれ違うときなどにドライバーが不安にならないように、走行している車線をわずかに移動し進路を調整することができる。また、ドライバーインフォメーションセンターに新しいメッセージが届き、特定の状況で「スーパークルーズ」が利用できない場合にドライバーに警告を発する。
パワートレーンとシャシー
標準搭載される最新の6.2L・V8・OHVエンジン(エコテック3)は、直噴、可変バルブタイミング、オートストップ/スタート機能、ダイナミックフューエルマネジメントテクノロジー(気筒休止)を搭載し、425ps/623Nmの出力を発生。またエスカレードで初となる3.0L・直6ターボ・ディーゼルエンジン(デュラマックス)も選択できる。このエンジンはパワーバンド全域で強大なトルクを発生し、最大出力は280psながら最大トルク623NmはV8ガソリンエンジンと同等レベルとなっている。
いずれのエンジンでもトランスミッションは10速ATで、トレーラー牽引に対応するスペックとなっている。
歴代のモデルより一段と室内スペースを拡大した新型「エスカレード」は、路面からの振動を遮断し、優れたレスポンスと正確なドライビングを実現するため、新たなシャシーテクノロジーを装備している。
リヤは新開発されたマルチリンク式独立サスペンションを採用し、運動性能や乗り心地を大幅にレベルアップ。またキャデラック独自の「マグネティックライドコントロール」は引き続き装備され、世界最速の反応速度を誇っている。
このシステムは、センサーを使用して路面変化を連続して読み取り、ダンパーの減衰率を瞬時に変更。一般的なコンピュータ制御式ダンパーよりもはるかに速く反応し、大型のSUVでは共振しがちなボディの上下動、ボディロール、振動を低減させることができる。
またオプションで新型「エアライドアダプティブ・サスペンション」も装備できる。マグネティックライドコントロールと組み合わせた4輪エア・サスペンションで、連続して負荷に応答した車高調整と地上高の調節を行なうことができる。ハイウェイ走行時はシステムは自動的に車高を下げて空力性能を向上。さらにドライバーが任意に5cm車高を下げたり、オフロードで車高をアップすることも可能。なお電子制御リミテッドデフもオプションで装備できる。駆動方式はFR、4WDを選択することができる。
この新型「エスカレード」の日本への導入時期は未定だが2021年春頃と想定されている。
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