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週内合意か ルノー、日産への出資比率引き下げ 「対等」でユーザーにはどのような変化が?

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週内合意か ルノー、日産への出資比率引き下げ 「対等」でユーザーにはどのような変化が?

出資比率引き下げ 週内合意か

ルノーが日産の持株比率を15%に下げる合意が、早ければ週内にも成立する見通しが出てきた。

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無論、まださらに時間を要する可能性もゼロではないだろうが、パリ・モーターショーを機にルノー・グループの経営陣に加え、PFA(2018年にフランス政府主導で設立されたプラットフォルム・オートモビルという国内自動車関連企業の水平的コンソーシアム)の会長で、大臣職経験者のリュック・シャテルに続いて、ブリュノ・ルメール経済・財務大臣やマクロン大統領も会場に姿を見せた以上、フランス側のコンセンサスはまとまりつつある。

フランス政府の課す条件としては、アライアンスの利益を守れるなら、の1点に集約される。

フランスの電動化戦略はEV化というより、外交上でアメリカを含む産油国のイニシアチブや影響力を逃れるための「化石燃料外し戦略」の色合いが強い。

とはいえその最初のステップはEV化とソフトウェア開発の推進で、ゼロエミッション・ヴィークルの割合が増えれば加速度的にカーボン・ニュートラルは達成できるはず、かつ排出権や循環型サービスといった派生ビジネスに先乗りできそうというヴィジョンだ。

目下、EVについては中国メーカーの進出が著しい以上、一刻も早くICE事業と切り離してEV専業の会社として、フランス国内に資本を投下して国産のEV開発と生産体制を立ち上げたい。

その資本の元手が、ルノーが今、手放すことを検討している日産の持株という訳だ。

買い戻すための資金を日産がどこから調達するかといえば、ブルームバーグによれば合意が得られ次第、日産は中国から資金を還流させる方針という。

加えて日産はルノーが51%以上の出資で立ち上げるとされるEV専業会社「アンペール(アンペア)」への参画を求められており、さらに15%の出資割合が取沙汰されている。

つまり買い戻し資金プラス、追い銭を預けて来ないといけない。

ルノー・グループは逆に、それを元手に国内に1万人の雇用創出をフランス政府に約束している。よってルノーの株価はむしろ上昇している。

ルノーと日産 対等のメリットは?

ルノーと日産の間で持株比率が対等になるメリットは、開発の独自性が増すことだろう。

それぞれの国策、つまりエネルギーやインフラ政策、市場需要の変化に対し、より適したクルマづくりができるということだ。

すでに既存のEVでも急速充電の規格が異なるとおり、V2Hのような住居への給電を含む充給電の双方向やり取りとなってくると、また共有化は難しくなるし、レベル4以上の自動運転化技術を含む制御やソフトウェア開発、個人情報の扱いについても、法整備とのマッチングやコンプライアンスが要る。

よってデメリットとして、欧州と日本、それぞれの保護主義化、市場のブロック化に繋がる危険もある。

とくにフランスのメーカーがステランティス・グループも含め、取り組んでいる循環型経済モデルは、バッテリーをはじめ回収とリサイクルによって使用済みプロダクトを原料にすることを前提とする以上、地産地消を各地域でオペレートする色合いが濃くなる。

つまり利便性は高いがローカルなEVが、洋の東西や南米、ともすればアフリカなどで開発されていく可能性だ。

だがすでに日産とルノーの間で新しいEV専用プラットフォームはアリアとメガーヌEテックで示されているとおり、工場の生産ラインの構築というインダストリアル・レベルで共有されている。

鉄やガラス、ゴム、プラスチックといった衝突安全基準に関わるようなハコもの周りの原料の購買、パーツやモジュールの共有化については、スケールメリットは相変わらず得られるだろう。

ただしセルを含むバッテリーの組み立てや調達、ソフトウェアや制御ノウハウの開発といったものは、すでにeパワーとEテックというそれぞれのハイブリッドの違いに見られるように、グローバル共有よりも仕向け地ごとに細分化されていくのだろう。

ユーザーにはどのような影響が?

これがユーザー目線でどういうことかといえば、四輪のジオメトリーや乗車した際の室内のサイズ感や操作系は似ていても、インフォテインメントやネットワーク経由による制御や情報サービスはまったく異なる可能性が出てきた、ということだ。

むしろ情報サービスやアプリ、インフォテインメントのインターフェイスについては、共有化できることがネットワークとしての強味を、ユーザーには利便性を発揮するはずだが、悪い意味で独立独歩になる可能性も出てきた。

調達コストをグローバル化してCMF(コモン・モジュラー・ファミリー)と呼ばれるプラットフォームというかモジュール群を共有バスケット化した、カルロス・ゴーン時代の遺産を、新しいアライアンス体制の下で日仏それぞれのコンストラクターがどれだけいかせるか? そこが焦点ともいえる。

ハードウェアの調達コストのみがメリットで、ネットワーク自体にメリットがなければ、次々世代のEVプラットフォームは独自開発となってアライアンスは消滅するとも考えられる。

ICE側の事業については、ルノーは国外へのアウトソーシング、つまり中国のギーリー・グループと協業を模索している。

ルノー/ボルボの旧い提携関係を思い起させるところもあるが、シリンダースリーブ入りのエンジンブロックを共有していた時代ならいざ知らず、今は日産の知財権に多々引っかかるともいわれている。とくに多気筒エンジンのノウハウ、ハイブリッドの制御技術、表面加工のようなすり合わせ系が、中国側の求めるところだろう。

安易な譲歩は後々、アメリカ市場で日産の首を絞めることに繋がるであろうため、この点を日本政府が警戒していること。もしかするとちゃぶ台返し要素になりかねない可能性が海外では指摘されている。

いずれEV事業とICE事業のアジェンダを確定させたいルノーの意向と、悲願の独立を果たしたい日産の意向が、強く働いていることは確かだ。

日産の決算発表会が予定されている11月8日をXデーとして、三菱を含めてアライアンス3社による何かしらの発表セレモニーがおこなわれるという見通しもある。

ただしまだ、EV化による囲い込み的な保護主義やブロック化の不利益をユーザーが被らない可能性は、今のところ保証されていない。

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みんなのコメント

11件
  •  EV嫌いの巣窟日本より、ヨーロッパへ投資する方が将来の展開が期待出来ると思う。
     何をどういおうと欧米や中国がEVの開発にしのきをけずっているのは事実。好き嫌いの問題ではなく、いずれそれらのマーケットで車を売っていくにはEVの開発に力を入れるしかなくなる。
     「その気になればトヨタはいつでも簡単にトップになれる」と言ってる日本で無理にEVを売ろうとしても時間と金のムダ。
  • もう少し国内ユーザーの方を見てほしい。
    プリンス+日産なんだから
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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