■アメリカ市場のニーズに適合したスポーツカー初代「フェアレディZ」
日産「フェアレディZ」は、同社を代表するスポーツカーで、長い歴史を持つモデルです。
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前身モデルとなる1962に登場したフェアレディ(SP/SR型)は「ブルーバード」のシャシを流用したオープンボディで、最終モデルでは145馬力を発揮する2リッターエンジンを搭載した、国産初の最高速度200km/hオーバーカーでした。
フェアレディは日本のみならずアメリカ市場でも受け入れられましたが、さらなるニーズに適合するために、初代「フェアレディZ」へと進化して登場しました。
しかし、環境問題や市場の変化により、フェアレディZも代を重ねるごとに大きく変わっていきました。そこで、フェアレディZの初代モデルと最新モデルがどのくらい変わったのかを紹介します。
●1969年発売の初代「フェアレディZ」
1969年、日産はアメリカ市場でのニーズに適合した新しいスポーツカーとして、初代フェアレディZ(S30型)を発売しました。
欧州の高級GTカーのようなスペックと、ロングノーズとファストバックの魅力あるスタイルをまとい、軽量ボディにストラット式四輪独立サスペンションによる走りのよさ、そして、なめらかに吹け上がる直列6気筒エンジンで、多くのファンを掴みました。
また「スカイラインGT-R」と同じ、ミクニ製ソレックス・ツインチョークキャブレターを3基装備した、S20型2リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載した「フェアレディZ432」や、北米と英国向けに販売されていた「DATSUN 240Z」と同じ、トルクフルな2.4リッター直列6気筒エンジンを搭載する「フェアレディ240Z」シリーズも発売し、若者たちの憧れの的となりました。
アメリカでは「Z Car(ズィー・カー)」と呼ばれ、製造台数の多くは北米向けに輸出されるほどの人気を獲得します。フェアレディZが大ヒットしたことで、英国のスポーツカーメーカーが、次々と北米市場から撤退したほどです。
ボディサイズは全長4115mm×全幅1630mm×全高1280mm(フェアレディ240ZGを除く)で、当時としてはハイパワーなエンジンを搭載していたので痛快な走りを実現していました。
しかし、1973年にはオイルショックの影響などからZ432と240Zの国内販売が終了され、海外仕様だけが「DATSUN 240Z」として2.4リッターエンジン搭載車の輸出が継続されました。
1974年にはリアシートを備えた4人乗りモデル「フェアレディZ 2by2」が発売され、ユーザーの拡大を図ります。
輸出仕様は2.6リッターエンジンを搭載した「DATSUN 260Z」が登場。1975年には2.8リッターのインジェクション仕様のエンジンへスイッチした「DATSUN 280Z」と、排気量を拡大。
1978年に2代目フェアレディZ(S130系)がデビューするまで販売は継続されました。
■スポーツカーとしての資質を取り戻した最新型「フェアレディZ」
●2008年発売の最新型「フェアレディZ」
2008年に発売された6代目「Z34型 フェアレディZ」は、初代に原点回帰したようなスタイルが話題となりました。
搭載されたエンジンは「スカイラインクーペ」などで採用された、最高出力336馬力を発生させる3.7リッターV型6気筒エンジンで、高レスポンス、高出力、低燃費、低排出ガスを実現していました。
ボディサイズは全長4250mm×全幅1845mm×全高1315mmと大柄ですが、先代よりもショートホイールベース化されました。
リアタイヤの接地荷重を高めるためリアタイヤが100mm前方に移動され、初代フェアレディZから続く独特のドライブフィーリングを再現したといいます。
発売後にも進化は続き、追い越し加速やコーナー脱出時の加速性能向上のために、エンジンの中速回転域のトルクアップを図るコンピューターチューニングや、ボディ補強パーツ追加、サスペンションマウントブッシュの見直しなど、細かなチューニングがマイナーチェンジ時に施されています。
2013年6月には、さまざまな専用装備を与えられた高性能プレミアムスポーツクーペ「フェアレディZ NISMO」がラインナップされ、これも改良を続けられながら現在も販売中です。
2019年3月にはGT-Rと併せてフェアレディZ誕生50周年記念モデル 「フェアレディZ 50th Anniversary」が発表され、7月に発売。2020年3月末までの期間限定モデルとなっています。
一方で、2009年に発売されたソフトトップのオープンモデル「フェアレディZ ロードスター」がありましたが、2012年をもって国内市場から姿を消してしまいました。
発売から11年目に突入し、GT-Rと並んでロングセラーモデルとなっていますが、いまのところ次期型の噂は聞こえてきていません。
※ ※ ※
5代目フェアレディZの発表時に、国内のフェアレディZファンは3.5リッター自然吸気エンジンに刺激を受けることが少なく、人気が落ち込みました。
しかし、年次での改良が続けられたことや、6代目ではフェアレディZらしさであるロングノーズが復活したことにより、再びフェアレディZに乗ることを検討する人が増えたといいます。
初代と最新のフェアレディZを見たとき、クルマ好き以外は後継車種だと判らないかも知れません。
とはいえ、その佇まいや、スムーズに吹け上がるエンジン、リアタイヤの挙動が掌握できるドライビングフィールは、紛れもなくフェアレディZそのもので、初代から一貫したポリシーを保ち続けている、数少ないクルマだといえます。
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